第19回 人材ポートフォリオ監査(J社事例1)

この人材ポートフォリオ監査の経営への活用方法について、具体的にJ社の事例を使ってお話ししましょう。

■J社の概況
J社は、神奈川県横須賀市で自動車部品の製造業を営んでいます。
J社の売り上げの約70%は、大手自動車メーカーT社の系列会社への部品納入です。
現社長が会社を創業してから約50年、T社からの度重なる厳しいコストダウンの要請にも、全社一丸となって、何とか応(こた)えてきました。
ご子息への会社承継を考えていた社長から、労務全般に関するご相談を受けたのは、社長55才、5年後に60才を迎えるというタイミングでした。

■まずは、各種指標を整理しました
まずは、J社の当期(第24期)と前期(第23期)の決算書から数値を拾い、労務に関する各種指標をまとめて増減の比較分析をしました。
増収減益決算となった要因は、1人当たりの付加価値が減ったにもかかわらず、逆に1人当たりの人件費が増えてしまったために、全体の利益率が低下したことでした。
付加価値に対する人件費の割合を示す労働分配率でみると、前期の61.1%から64.9%へと大きく上昇しています。

<J社の各種指標>

■次に、労務諸表の作成です
次に、J社の業務が効率的に行われているかどうかをチェックするために、人員に関する数値をまとめた「労務諸表」を作成しました。

労務諸表は、「人材バランスシート(BS)」と「労務プロセスシート(PS)」からなります。「人材BS」は、一定時点での保有人材の構成を表し、「労務PS」は一定期間内の保有人材の変動状況を表すもので、財務諸表における「貸借対照表(BS)」と「損益計算書(PL)」に近い意味合いのものです。

<J社の人材バランスシート>

<J社の労務プロセスシート>

労務諸表の作成によって、組織ごとの人員とその比率、正規社員と非正規社員の構成比率が分かります。
J社の場合には、製造部門の人員が全体の60%以上を占めており、かつ正社員の比率が約90%と、かなり偏った人員構成となっていることが明らかになりました。

次回は10月10日(水)の更新予定です。

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