第21回 J社の企業改革プラン【1】

幸いなことに、いやいや仕事ではありますが、まだ高業績だったJ社には、将来の改革に向けて、多少の財源は確保されていました。
そこで、経営陣は、5年後の経営改善に向けて、以下の改革プランを練り上げました。

<J社の改革プラン>

このプランの基礎になったのは、「人材ポートフォリオ監査」により明らかになった製造部門と正規社員に偏った人員構成を、どう変えていくかという視点でした。
生産性を上げるために、いかに製造部門の低コスト化を図り、より付加価値の高い業務に正規社員を振り向けていくかがポイントでした。

改革プラン【1】:徹底的な製造の効率化
設備投資とシステム投資により、徹底した自動化を進めます。
人手が必要な工程も、製造方法の見直しやマニュアル化で、パート社員などの非正規社員でも対応できるようにすることによって、製造にかかる平均人件費を引き下げると同時に、受注量の急激な変動にも柔軟に対応できる生産体制を作り上げます。

また、製造部門の正規社員の一部は、研究部門と営業部門へ配置転換することとし、これまでの「言われたものを、言われたとおりに作る」だけの作業仕事から、「自分で考え、自分でやってみる」、本当の仕事に挑戦することによって、社員のモチベーションを引き上げる戦略です。

改革プラン【2】:研究開発への経営資源の重点投入
プラン【1】によって生まれた、余剰人員を新製品の開発や新規分野への進出検討に投入していきます。
研究部門だけでなく、営業部門への配置転換も合わせて行うことによって、縦割り組織の弊害がでないような配慮も重要です。
「うちの研究部門は、売れないものばかり作っている」
「営業は、技術のことなんか、これっぽっちも分かっていない」
などとならないよう、市場を見据えた研究開発が重要です。
特定の取引先への依存体質から脱却できるかどうかに、J社の将来がかかっているのです。

改革プラン【3】:目標管理制度の導入
成熟期の会社にありがちな年功的・勤続的な人事制度を、業績評価主義へと変えるために、目標管理制度を導入することによって、各人に求める成果を明確化します。
仕組みを変えずに、意識変革だけ求めるのは、経営者の傲慢(ごうまん)です。
あらかじめ、各人ごとに明確な目標を定め、その目標に向けた行動計画を立てることが重要です。
目標だけで、そこへの計画がなければ、偶然の目標達成しかありえないのです。

次回は11月14日(水)の更新予定です。

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この記事の著者

社会保険労務士法人 大野事務所

大野 実

社会保険労務士法人大野事務所 代表社員。青山学院大学大学院兼任講師【経営労務監査法務】。
開業以来35年、経営労務監査や労務診断等を多く手がける。
栄える会社のキーワードを「顧客支持」「社員活性化」「社会調和」と考え、「社員」が生き生きと働ける処遇制度やシステム構築のための設計から運用・実務に関する支援業務を行っている。
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