第5回 中小・中堅企業の次世代への経営承継 ―その1 同族経営は3代で終わる―

会社を承継するにあたり、一番大切なことは何でしょうか?法律的に会社の株式をきちんと承継することでしょうか?それとも実務的に考えて、代表取締役社長やCEO(最高経営責任者)に就任して会社の意思決定の権限を持つことでしょうか?

たしかに、会社の株式を保有したり社長に就任したりすることで経営権を握ることは、重要なことかもしれません。しかし私は、後継者が承継した会社を将来にわたって継続的に発展させていくことができる「経営の仕組み作り」こそが、会社の承継において最も大切なことと考えています。

よく「同族経営は3代で終わる」と言われます。これは、第1世代の創業経営者と同じ資質の経営者が2代、3代と継続して輩出されることの難しさを物語っています。創業社長の60パーセントが設立1年目で倒産し、70パーセントが5年以内に倒産する事実を考えれば、ある程度の会社を築いた社長は、やはり選ばれた能力を持つ人物と評価されるべきです。だからこそ、その様な優れた方々(先代経営者)のために最適化された会社を(真の意味で)承継することなど、形式的・外形的に経営者に就任するだけでできるはずがありません。大切なことは会社経営そのものを承継することなのです。

私はこのような考え方を、従来の「事業承継」に対し、「経営承継」という概念として提唱しています。これまでの事業承継は、子供への承継を中心とした親族内承継が前提とされており、そのための準備として、人的承継としての後継者教育と物的承継としての株式承継がメインテーマでありました。そこには、承継後の企業を如何にして継続的に成長させていくか、という企業体質強化の視点はありませんでした。

多くの経営者が、会計事務所・税理士事務所から提案される株式対策のための相続対策を、事業承継対策として実行してきたに過ぎなかったわけです。たしかに右上がりの経済状況が続くのであれば、事業承継対策で十分であったかもしれません。しかし、先行き不透明な事業環境の中では、これまでの「事業承継」では不十分です。これからは会社を継続的に発展させる仕組み作り・企業体質強化のために、経営そのものを承継する「経営承継」という考え方に転換が求められるのです。

従来の「事業承継」は相続税対策・後継者教育を中心とした対策が主でありましたが、私が提唱する「経営承継」は、これまでの4回にわたってご説明してきた「第2の利益」の獲得を主軸とする、経営管理戦略・労務戦略・税務戦略を組み合わせた対策を遂行してゆくことで達成されるのです。

今回は従来の「事業承継」に対する概念としての「経営承継」のご紹介をさせていただきました。次回は経営承継の内容についてより詳細に話を進めてゆきたいと思います。

次回は2月22日更新予定です。

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