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第25回 全社員が経営者目線で業務を遂行できる仕組みを作るには?
【1】成長を支える管理体制の構築にはシステムが有効
さて、前回・前々回コラムでご紹介したA社のシステム導入事例から導き出せる結論があります。
それは企業成長を支える管理体制の構築にはシステムの活用が有効であるということです。
企業成長にとって有益な管理体制とは、「経営者がいなくても、経営者目線で業務が遂行される会社」の仕組みを作ること、つまり「属人的でない組織を作ること」と定義できるでしょう。
この「属人性の排除」はいいかえると、「いつでも」「誰でも」「どんなときにでも」決まった処理が確実に実行される仕組みといえます。
一定の条件が整った際、定められた規則にのっとり「いつでも」「誰でも」「どんなときにでも」同じ決まった判断、作業、処理を正確に繰り返すことができるのは、やはり人よりも「システム」の方が適合しています。
【2】経営承継にも有効なシステムの活用
システムは下記のような高度な業務プロセスの実現にも力を発揮します。これらの業務を人海戦術で対応するにはなかなかの苦労を伴いますが、人手では対応が難しい業務処理こそシステムの得意分野なのです。
<高度な業務プロセスの例>
・月次決算を月初10日以内に締める
・月次単位における粗利益予算と実績の対比分析資料を作成する
・上記対比を製品別・得意先別などセグメント別に実施する
高度な業務プロセスが日常業務の中で当たり前のように遂行され、正確な経営データが早期に集約できる体制が整えば、創業社長の天才的な「どんぶり勘定」がなくとも、後継社長が客観的なデータにもとづき創業社長の考えと近い経営判断を下せる可能性が高まります。
つまり、システムの導入は経営承継を考える上でも有効な施策と言えるのです。
【3】システム導入を積極的に検討しましょう
ここまで見てきたように、システムを有効活用することによって、日常の業務処理や管理体制のレベルを引き上げることだけでなく、社長の描いた経営戦略の実現や、正しい経営判断を後押しすることが可能となります。
企業の成長を継続的に実現していくために、また、経営承継を効率的に実現するために、システム導入は有効な選択肢の一つといえます。
それでは、A社のようにシステム導入を成功させるためには、どのようなポイントに注意すべきなのでしょうか。
次回コラムでは自社に必要なシステム機能の検討、ふさわしい導入・開発パートナー選びなど、システム導入における具体的な選定のポイントについて考えてみたいと思います。
次回は8月28日(水)の更新予定です。