第4回 企業には第2の利益がある――その4 第2の利益とPDCAサイクル

第2の利益について、前回までの3回にわたり、販売管理を例に説明させていただきましたが、今回はトップマネジメントのPDCAサイクルにおける第2の利益についてお話ししたいと思います。

一般に、PDCAサイクルは以下の様に図示されると思います。

競争が激しくなればなるほど、優れた経営戦略と、それを実行する体制の強化が必要になります。
トップマネジメントのPDCAサイクルが適時適切に運用されるためには、次のポイントを検討する必要があります。

【1】経営者が理念・経営目標・事業計画を明確にして従業員に伝えているか

従業員から見れば経営者の考え方を共有して、ある程度、普遍的な使命をそれぞれの立場で感じていることが必要と考えます。使命感からそれぞれの立場でのリーダーシップが生まれ、生産性がアップします。また、適切な理念・目標の下で醸成された企業風土は、不正に対する抑止力ともなり得ます。

【2】事業計画と予算が整合しているか

特に販売予算は売上高・粗利ベースで作成され、事業計画と整合していることが重要です。また予算は実績と比較分析できるように、セグメント別、部門別、製品別、顧客別、営業担当者別等の様々な切り口で作成される必要があります。

【3】予算作成に際し前提条件が明確になっており実績との差異分析ができるようになっているか

予算実績差異分析の結果をふまえ、今後どのような手を打つべきか検討できるような内容である必要があります。ただ、実績数値と予算数値を比較し一喜一憂するのではなく、要因分解等により自社の弱みを明確にすると共に、企業努力に因らない外部要因による予実差異についても、当該企業外部のリスクをヘッジする手法・規模等を考えることは極めて有益です。

【4】月次管理損益計算書とその管理資料は予算と同様な切り口で実績の集計が可能か

予算は詳細に作るが実績が予算作成ベースで集計されていないケースがあります。作成基準が同一でないものの比較は、予算実績差異分析のそもそもの意義を弱めてしまいます。

【5】PDCAサイクルの結果と人事評価が連動しているか

PDCAサイクルの結果が人事評価に十分に反映されていないケースが多いと思います。ただ目標をトップダウン的に押し付けるだけでは、成長を伴う継続的な予算達成は難しいでしょう。従業員へのインセンティブ付与は極めて重要です。

以上の点を再点検して、トップマネジメントのPDCAサイクルから生ずる第2の利益の獲得を目指していただきたいと思います。

今回も含め、4回にわたり、第2の利益の意味と第2の利益獲得を目指す経営管理体制の強化についてお話をしてきましたが、次回は、我が国の中小・中堅企業における次世代への経営の承継について話を進めたいと思います。
第2の利益は経営の承継の局面でも重要な役割を果たします。

次回は2012年2月8日更新の予定です。

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この記事の著者

株式会社プロネット 代表取締役

高橋 廣司

株式会社プロネット代表取締役・公認会計士。監査法人では「第2の利益」の概念を提唱し起業家支援業務・株式上場(IPO)支援業務を中心に活動を行う。約35年間の監査法人での経験を経て2011年6月に真の専門家集団のネットワークをベースに中堅企業・起業家への「トータル支援サービス」を実現すべく株式会社プロネットを設立する。
監査法人での経験から従来の事業承継を包括する「経営承継」が必要との自説から『成功した経営者の「次の戦略」―第2の利益を獲得する経営承継』を日本経済新聞出版社から2011年11月出版。
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書籍:成功した経営者の「次の戦略」―第2の利益を獲得する経営承継

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