ITとビジネスの専門家によるコラム。経営、業種・業界、さまざまな切り口で、現場に生きる情報をお届けします。
第12回 スマート社会を見据えたプレイヤーたち<8>
「グリーンシフト」
国家戦略室より「グリーン政策大綱」の概要が明らかにされました。
予算編成や仕組みづくりは衆院選後の政権に委ねられるものですが、骨子としては下記のとおりとなっています。
【グリーンエネルギー革命実現に向けた先導的5分野】
- 自然の恵みの最大活用
(太陽光、風力、地熱、水力、バイオマス、海洋エネルギー) - 世界最高水準の省エネの更なる深化
(住宅・ビル、運輸、産業、コジェネ) - スマートコミュニティ等による需給一体管理・効率化
(スマートコミュニティ、コンパクトシティ、面的なエネルギー・熱利用) - エネルギー利用の幅を広げる蓄電池
- 世界をリードするグリーン部素材
グリーン政策大綱は、化石燃料依存度を抑制するエネルギー戦略およびグリーンへのシフトをいかに成長につなげるかという成長戦略を踏まえ、グリーンエネルギー拡大のロードマップを示すものです。
具体的な数値目標としては、
- 2030年までにホーム・エネルギー・マネジメントシステムを全世帯に普及させる
- 家庭用燃料電池を2030年までに530万台普及させる
- 次世代自動車の新車に占める普及率を2030年までに最大7割まで拡大する
- 2020年までにEV用普通充電器200万基、急速充電器5,000基を導入する
- ゼロエネルギー住宅を2020年までに標準的な新築住宅とする、
等が掲げられています。
上述したとおり、具体的な仕組み等はまだまだ今から、ではありますが、すでに民間主導で動いている領域も多々あり、こうしたロードマップに沿って創出されるであろうビジネスの幅は広がりそうです。
例えば、HEMSにより全世帯のエネルギーが見える化されたときに何が生まれるか?どんな付加価値をつけたビジネスが創れるか?もちろん普及には課題がたくさんありますが、その普及過程においてもどんなビジネス機会が生まれるか?
各領域で登場してくるであろう製品自体もそうですが、普及を支えるためのインフラ領域、ユーザへの提供価値として直結するサービス領域、それぞれのレイヤにおいて新たなビジネスが生まれてくると思います。
従来のように、電力業界・エネルギー業界・通信業界・自動車業界・製造業界などの縦割りの世界で括られた業界変革ではなく、これからのグリーンエネルギー革命は業界横断で進んでいくものです。全く異なる業界からの参入およびベンチャー企業の参入も大いに期待される領域だと思います。
次回は2月12日(火)更新予定です。
前の記事を読む