第9回 スマート社会を見据えたプレイヤーたち<5>

エネルギー消費機器(空調・給湯・照明等)、創エネ機器(太陽光発電・燃料電池等)、蓄エネ機器(蓄電池・電気自動車等)をネットワーク化し、エネルギーを管理するシステムを「ホーム・エネルギーマネジメントシステム(HEMS)」と言いますが、これにより、PCやスマートフォン、タブレット端末などでエネルギー状況を「見える化」することができます。

今年に入り、市場では徐々に家庭内電力の「見える化」サービスが出揃い始めています。今回は、家庭内電力の「見える化」サービスの紹介と、今後普及するために何が必要か?を考えてみたいと思います。

昨年11月、株式会社NTTスマイルエナジーは、太陽光発電システムを設置した家庭向けに、太陽光発電の発電状況、家庭内での電力消費状況をPC・スマートフォン等で確認することのできるサービス「エコめがね」をリリースしました。

(※同社HPより抜粋)

これは、太陽光発電でどれだけ発電しているか?どれだけ家庭で消費されているか?電力会社への売電量はどのくらいか?を可視化することで、消費者の節電意識を高めることができると共に、故障が把握しづらい太陽光パネルの状況を「見守る」というサービスです。メンテナンスフリーと言われてましたが、実際にはパネルが故障することもあり、かつ、故障の把握が困難でもあった太陽光パネルにおいて、非常に良いサービスだと思います。

この少し前の昨年8月には、NECが家庭内の電力利用量や電気料金をクラウドで「見える化」するサービスを販売開始しています。これは太陽光発電は関係なく、現在の家庭内の電力状況をPC等で確認することができるサービスで、事業パートナー(建材メーカーやホームビルダー等)を通じて提供されています。

(※同社HPより抜粋)

また今年1月には、NTT東日本が家庭内電力の見える化サービス「フレッツ・ミルエネ」の提供を開始しました。これは電力会社からの供給電力や、分電盤計測器・電源タップで収集する家庭内の消費電力状況をタブレット機器やパソコン等の画面で確認することができるサービスです。

(※同社HPより抜粋)

今年4月19日から2014年1月末までにHEMSを設置する場合、補助対象として指定された機器であれば、補助金(定額10万円)も支給される状況となっており、普及の契機となるかどうかが試される年といえそうです。

「見える化」は、電力状況が可視化されることにより、節電への意識が芽生えることで電気代削減につながることが期待されます。ただ、普及のためには、その削減幅(額)と、サービスの導入費用とのバランス、また節電意識・活動を継続できるための何らかのインセンティブ・モチベーションが重要だと思っています。

また本来「HEMS」とは、低価格の深夜電力を蓄える、ネットワークに繋がった家電(スマート家電)をコントロールして最適な状況に制御する、といった家庭内エネルギーマネジメントシステムであり、今はそうした未来への入り口として「見える化」サービスが市場に認知され始めた段階です。業界の垣根を超え、こうした未来を創るための最低限の共通仕様(メーカー間等)が整備されることを期待します。

次回は6月5日(火)の更新予定です。

この記事の著者

株式会社アイアンドシー・クルーズ 代表取締役

上村 一行

外資系コンサルティングファームにて経営改革PJT等に従事後、ベンチャー支援企業役員を経て、グリーン×ネット事業を展開する株式会社アイアンドシー・クルーズを設立、代表取締役に就任。(得意分野:グリーンビジネスの事業支援、新規事業支援)
株式会社アイアンドシー・クルーズ

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