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第6回 スマート社会を見据えたプレイヤーたち<2>
2社目のご紹介は、「IT」と「マーケティング」を上手く活用しながら、電力会社との関係を構築し、電力会社・同社・ユーザが3者win-winとなるスキームで成果を上げている企業をご紹介します。
● 「Opower」
2007年にサンフランシスコで設立された、エネルギー関連ソフトウェアのスタートアップです。現在はヴァージニアに本拠地を構えており、2010年にはオバマ大統領が訪問したことでも有名なスタートアップです。
全米で60社を超える電力会社と契約締結しており、1,000万超のユーザ宅の月々の電力消費量を集計したうえ、その分析レポートを送付しています。いわゆる「見える化」サービスですが、近隣ユーザとの消費電力の比較や月別の消費電力推移に加え、各家電製品の消費電力量をグラフ化して郵送で届けています。また、その家庭の状況(家のサイズや家族構成等の情報)に応じて、ユーザごとへの節電を支援するための分かりやすいアドバイスも実施しています。
※レポートイメージ(同社HPより)
いわゆる「見える化」と「ユーザフレンドリーなサービス」の結果として、平均として2-3%の電力消費量を減らす効果が3年以上にわたり出ています。スマートメーターの普及率はまだ低いため、Opowerでは従来のメーターにも対応していますが、今後スマート化が進めば進むほど、より精緻で的確な情報を提供できるようになっていくと想定されます。
また、こうした「見える化」領域では、Microsoft・GoogleもHohm・Powermeterというサービスで市場参入していましたが、途中でサービスを停止しています。停止理由としては、電力会社の協力が得られず、電力消費量データが得られないためにユーザにとって意味あるアプリケーションとならなかったことが一つの要因となっているようです。
そうした背景下、既に60社以上の電力会社と契約を結んでいるOpowerは、更なる展開として、Facebookと提携し、節電アプリを2012年に公開すると発表しています(米国)。アプリの特徴としては、既に同社が提供している各種サービスに加え、「友達との競争」「チームでの節電」など、SNSならではのコミュニケーション性やゲーム性を取り入れたものとなるようです。
次回は3月6日更新予定です。
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