第11回 スマート社会を見据えたプレイヤーたち<7>

2012年7月1日より施行された再生可能エネルギー特別措置法(電気事業者に対して、再生可能エネルギーによる発電電力を一定価格で一定期間買い取ることを義務付けるもの)により、「太陽光発電の屋根貸しビジネス」が立ち上がり、注目されています。

工場や倉庫、オフィス、住宅等の屋根もしくは遊休地を発電事業者に貸し、事業者が太陽光パネルを設置して電力会社に売電、貸し手は賃料を得る、というスキームです。

各地方自治体は、遊休地の有効活用(賃貸収入、事業税等の税収増等)を目的としたメガソーラーの誘致に力を入れ、民間でもさまざまな取り組みが開始されています。今回はその取り組みの一部をご紹介したいと思います。

●神奈川県
学校の校舎や団地などの県有施設の屋根を民間事業者に貸し出し、太陽光発電パネルを設置する「屋根貸し」事業計画を発表。
県は「屋根貸し料」を事業者から徴収し、事業者は発電した電気を売って利益を得るスキーム。
2012年7月に本件事業者が決定(4事業者)し、計20施設・25棟(屋根面積計約32,000㎡)を対象に、設置容量は約2,214 kW、県の使用料見込合計は年間4,963,857円となっています。
また、合計年間発電量は2,327,588 kWhと見込まれているため、単純計算すると事業者の売電収入は年間約9,800万円となります。

●全国農業協同組合連合会(全農)と三菱商事
全農と三菱商事は、全国の農業関連施設(大型畜舎、物流施設、食品工場等)の屋根を使った太陽光発電事業に参入。
約600億円を投じ、2014年度末までに20万kWの発電能力を目指しています。
設置先数は400~600か所、1か所あたり3,000~5,000m2を想定し、設置面積合計200万㎡に対して設置する予定です。
発電した電気は全量を売電し、十数年で投資を回収する予定です。

●オリックス
取引先の工場や物流・商業施設等の屋根を借りて太陽光発電パネルを取り付ける新たな発電事業を開始。
約240億円を投じ、3年間で100カ所以上の屋根に10万kWを設置予定。
屋根を貸す企業はオリックスから20年間賃料収入を得るスキームです。

●大東建託
2012年8月から、全量買取制度の屋根貸しを利用し、オーナーと一体になって賃貸建物の屋根を活用する太陽光発電スキームを開始。
同社が賃貸管理を受託している管理物件の屋根を借りて発電事業を実施するもので、2014年度には発電規模50MW(計3,500棟)を想定。
売上高は2013年度に7億円、2014年度に14億円を見込み、オーナーは屋根の賃料収入が得られるスキームです。

以上のように、ほんの一部ではありますが、再生可能エネルギー特措法を機に太陽光発電の新たなビジネススキームへの取り組みが活発化している事例をご紹介させていただきました。

今まで「賃貸する」という概念のなかった屋根や遊休地の有効活用となり、その周辺(保険やメンテナンス等)でも新しいサービスが生まれています。
また今後、技術革新が進んでいった際に、そうした「場所」を持っていることは、新たなエネルギービジネスにおいても、強みになっていく気がします。

次回は9月11日(火)更新予定です。

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