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第61回 決断までの時間
米国の能力開発の権威、ケリー・グリーソン氏は、決断について次のように述べています。
「成功を収めた人たちは、決断にほとんど時間をかけず、その決断を変えるときに時間をかける」
事実、成功者と言われる人たちは、決断の質よりもスピードを重視しているように思えます。
先日、船井総研の取締役専務執行役員の大野潔が、昔、クライアント企業の社長から、後継者を選ぶケースで相談を受けたときの話をしていました。
候補者は2名、現・片腕の専務と駆け出しのご子息。
しかし、大野のアドバイスは、「社長の好きにしたらいい」であり、具体的なアドバイスをしなかったそうです。
もちろん、社長は「高いコンサルタントフィーを払っているのに、なぜこんなに肝心なときにアドバイスしてくれないんだ!」とお怒りでした。
それでも、大野は、本件に関しては答えなかったそうです。
そして、その後、社長が後継者を選ばれたときに(結果的にはご子息を選択)、初めてなぜアドバイスしなかったのかを理由を言いました。
理由は、「どちらが選ばれたにしても、その選択肢に基づいて、やっていけばよいから」です。
それぞれの要件設定によって、やり方が変わるだけで、全力でよい未来を創っていくのは、同じなのです。
ご子息を選ばれたのであれば、その選択肢が最良の結果をもたらすように動くのみです。
もしも、片腕の専務を選んでいたとしても、同様です。
成功者と言われる人たちが、決断に時間をかけないのは、こういう覚悟が腹にあるからだと言えるのでしょう。
次回は4月9日(火)更新予定です。
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