第31回 顧客志向の支出戦略

来年以降は、景気が大幅に冷え込むという予測があります。これに、少しでも「そうかもしれない」と感じるなら、今のうちにコスト構造の見直しを図っておかなくてはならないという方向性に、異論はないでしょう。

特に、購買コストの見直しは、急務です。他社が、そのときになって、あわてて取り掛かる前に、最適なかたちに収めておきましょう。

相見積りをして、価格を抑えるのも重要ですが、ポイントは、無駄なものにお金を払わないということです。無駄なものとは、顧客に直接関係のないものです。

例えば、先日「カンブリア宮殿」で採り上げられたアマゾン・ドットコムは、WEBサイトには徹底的にお金をかけています。しかし、オフィスはとても質素でした。同社創設者・社長のジェフ・ベゾス氏は、「お客様に関係のないところに、お金は使わない」と断言していました。ネットビジネスを営む同社のオフィスに、顧客が来ることはありません。そうして倹約したお金は、顧客のために使うのです。

先日、K運輸様にて、大型トラックの購入費用について、見直しを行ないました。

先に述べたような、顧客志向の判断基準で見直していったところ、様々な品目が不要とされることとなりました。それらはドライバーの嗜好にそった品目であり、顧客のためのものではないという判断です。

さらに、塗装についても、できるだけ安価にできるよう、高くない塗料一色での施工に変えます。実は、これらの品目・項目は、「以前から、こうしているから」という理由で、慣例的に、無駄にオプション発注されている場合が多いのです。

また、その他にも、ディーラーからではなく、自社調達した方が安く上がるかもしれない備品等については、現在、調査を進めています。

このような取り組みを進めるときに、よく出てくるのが、ドライバーの採用活動における効果についてです。ドライバー嗜好の仕様のトラックの方が、リクルーティング力があるという意見です。

確かに、一部(多く?)の求職者への訴求効果はあるかもしれません。しかし、あらためて考えなければならないことがあります。それは、「そんなドライバーが欲しいのか?」ということです。本当は、高いコスト意識を持ちながら、品質重視で、顧客志向なドライバーが欲しいのではないでしょうか?

もしも、そうであれば、ドライバー嗜好ではない、無駄を省いたトラックを用いて、利益を最大限上げた方が、よほどドライバー志向です。

安く買って、投資回収サイクルを早め、できるだけ新しいトラックに乗せてあげた方が、採用効果は高いかもしれません。

いずれにせよ、かけるべきところにお金をかけ、無駄は徹底的に省く施策を、できるだけ早く打っておいていただきたいと思います。

次回は7月10日(火)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社船井総合研究所 上席コンサルタント

橋本 直行

物流企業の業績アップ専門コンサルタント。ホームページやDMを使った案件発掘マーケティングや、同行営業などの実践的サポートを得意とする。物流企業経営研究会「FUNAIロジスティクスソサエティ」主宰。
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