第94回 未来に引き継ぐ意識

今回は、「事業承継」だけではなく、組織のリーダーとして求められるであろう「未来に引き継ぐ意識」に関して考えてみたいと思います。

未来に引き継ぐ意識

皆さん、こんにちは!

先月から今月にかけては、天皇陛下のご即位に関連する行事が多くありました。台風による災害が続きましたが被災された方々にも心を砕き、日本国民の安寧を願う天皇陛下のお人柄が表れるようなシーンやエピソードも数多く、メディアをにぎわせていたように思います。

今回、天皇陛下は上皇陛下が「生前退位(譲位)」される形で皇位継承されたわけですが、退位される側も即位される側も多くの柵(しがらみ)や葛藤、反対意見などもある中でのご苦労は、私たちの想像を超えるものだったのではないかと思います。

さて「皇位継承」ほどではないにしても、企業経営において「事業承継」という問題は極めて大きなテーマであり、課題であることは紛れもない現実ではないでしょうか

今回は、「事業承継」だけではなく、組織のリーダーとして求められるであろう「未来に引き継ぐ意識」に関して考えてみたいと思います。

とある経営者との話

先日、昨年「事業承継」をされた企業の元経営者と現経営者の方々とお話をさせていただく機会がありました。元経営者の方がこんな話をされていました。

多くの中小企業 において「事業承継の問題」は大きい。特に創業家筋の経営者が第三者に譲ることは、難しいことが多い。まして経営がうまくいっている会社であるほど難しい。それは「渡す側」の意識の中に「今までうまくやってきた自負」もあるし、これからの経営に対する不安がないとはいえない。

しかし、そもそもそうなる時期が来ることを想定して、ずいぶんと前から「未来」に向けた準備をしてきていたかどうかも大きいのではないか。
そういう準備もせずにその「場面」を迎えたとしたら、それは大変だと思う。

「任せる」と決めたのであれば「覚悟を持って任せないとアカン」と思っている。だから私は一切の口出しをしない。

未来に引き継ぐ意識

前述した経営者の言葉の意味するところは、何も経営レベルにおける「事業承継」だけに当てはまる内容でないのではないでしょうか……。

役員・管理職・一般従業員……それぞれの立場の中でそれぞれのレベルの「引き継ぐ」ことはあるわけで、その巧拙は「未来に引き継ぐ意識」の有無によって、左右されるのかもしれません。

例えば「現場の営業」という立場であったとしても、自分の目の前の業績を上げるだけのことを考えていると、お客さんとの長期的な関係はないがしろにされ、仮に手八丁口八丁で何らかの取引を頂けたとしても、担当が変わり後任に引き継いだ後に、クレームや関係性が破綻するなんて話は、枚挙にいとまがありません。

まして、そうした「未来に引き継ぐ意識」の希薄な方がいつまでもその重要性に気付くことなく、何らかの弾みで「経営者」になってしまったとしたら……。

映画「ペイ・フォワード 可能の王国」

「ペイ・フォワード 可能の王国」(原題:Pay It Forward)という映画があります。

実は、私の人生においても極めて重要な位置付けにある映画なのですが、最大のメッセージとしては「もし君たちが世界を変えたいと思ったら、何をするか?」だと思います。

「世界を変える」と聞くと大げさのように聞こえるかもしれません。もちろん壮大な視点でも構わないわけですが「自分の周りの世界を変える」と解釈すれば、グッと身近になるのではないでしょうか。

つまり「未来の自分の周りの世界に目を向け、現在の自分自身の思考・行動を振り返る」ことがスタートであり、そこからしか「未来に引き継ぐ意識」は芽生えないのかもしれません。

「自分さえ良ければ……」「今、楽しければ……」そんな刹那的な思考がまん延し、それを肯定的に捉えてしまっていては「明るい未来」をどうやって紡ぎ出すのでしょうか。

少なくとも「経営者」という立場におられ、何らかの形で組織や人を束ねている方にとって「未来に引き継ぐ意識」は、必須の視点なのかもしれませんね。
今後とも、よろしくお願いいたします。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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