第47回 病院のメンタルヘルス/ストレスチェック

労働安全衛生法が改正され、2015年12月より従業員が50名以上の企業は、「ストレスチェック」を実施することが義務化されました。さらに従業員が医師との面談を希望した場合、それも実施しなければなりません。

ある調査会社のアンケート調査結果によると、「ストレスチェックの義務化」について、46.7%の人が「まったく知らなかった」と回答し、最多の回答でした。次いで「ストレスチェックという名称くらいは聞いたことがある」が15.3%と続きます。実施の義務化が直近に迫っていますが、まだまだ広く知れ渡っていないことを表しています。50名以上の企業の中にはもちろん、医療機関も含まれます。「ストレス」は精神科領域ではあるものの、医療の範疇ですので、前述したようなことは少ないと思っていました。ところが、実際に知っている人は総務課や人事課といったストレスチェックを実施する側の人が多く、医師や看護師など現場の人でストレスチェックが義務化されることを知っている人はそれほど多くないようです。

心療内科など標榜している医療機関では、「ストレスチェック」の結果、高ストレス者であり医師や産業医の面接指導を受けたいという受診機会(患者)が増えますので、より多くの企業とタイアップすると外来収益が増える可能性があります。さらに医療機関が健診施設を併設している場合、その健診施設の顧客(企業)のストレスチェックはどのように実施しているのかをぜひ確認してください。企業側にしてみれば法定健診とストレスチェックを同時に実施したいと考えるのは当然のことです。ワンストップサービスを目指してください。


ストレスチェックについて
ストレスチェックについて基本的なことをおさらいしておきます。ストレスチェックは設問に答えていただくアンケート調査です。厚生労働省では57項目の設問を用意して推奨しています。この設問の回答内容によって高ストレス者かどうかを判定することになります。当然ですが、回答内容や結果は非常にセンシティブな情報になりますので、その情報の取扱いには十分な注意と配慮が必要です。結果の返却についても、本人と産業医には個人とその結果が明らかな結果表が返されますが、ストレスチェック対応部署(総務課や人事課など)には、個人と結果については明らかにしてはいけません。個人名を伏せて部署ごとの傾向分析などは実施が可能ですが、個人が不利益を蒙らないようにしなければいけないのです。したがって人事権を持つ人がストレスチェックの担当者になることもできません。実施については厚生労働省のホームページ内に「ストレスチェック実施マニュアル」も添付されていますので、参照してください。


ストレスチェックと面接指導の実施に係る流れ
 出典:厚生労働省「ストレスチェック制度説明資料」


ストレスチェック質問項目(厚生労働省推奨57項目)
出典:厚生労働省「ストレスチェック制度説明資料」

ストレスチェック制度説明資料「改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度について」(厚生労働省Webサイト)

そもそもストレスチェック実施義務化の背景に、自殺などに代表されるように精神的な健康を害して、社会活動が行えないという社会的損失があります。高ストレス者が多い企業は生産性が低いと言っても過言ではありません。

さらに医療機関に勤務している方々は、患者の命や身体を扱う仕事になりますので、緊張を強いられる職場であり、仕事内容です。他の業界よりもストレスがかかる職場かもしれません。医療機関に勤務している人でストレスが全くない人はいないでしょう。医療はサービス業と言われていますが、高いストレスの医療者から、満足できる医療サービスを受けられるはずがありません。今では患者の満足度を上げて患者を多く集めることを病院も一生懸命努力していますので、まずは病院職員自身が、ストレスと上手に付き合い、仕事をする職場環境にすることが大事です。ストレスが溜まっているかどうかは、自分では気づかないこともあるので、今回のストレスチェックを自分たちのために、上手に活用する(職場環境の整備等)ことを考えてみてください。

皆さんは、どう思いますか?

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次回は11月18日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
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