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第6回 吉田松陰にみる『やる気』の源泉
ある営業部長さんからは、
「仕事を楽しんでる姿を部下に毎日見せている。でも、あいつら(若者)は、全然やる気になっていない」と言われた。
私が思う以上に、若手社員の育成に頭を悩ませているマネージャーは多いようだ。
今一つやる気のない人にやる気を出させるにはどうしたらよいか?
ポイントは、『自己重要感』だと思う。
人は誰でも「自分の存在を認められたい」「自分は重要な存在だと思ってほしい」という欲求を持っている。
かつて日本に吉田松陰という人がいた。
彼がわずか2年あまりの間、教壇に立った松下村塾から高杉晋作、伊藤博文、久坂玄瑞をはじめ、多くの幕末の志士を輩出したことはあまりにも有名なのだが、ここでは、違うエピソードを紹介してみたい。
松陰は、24歳の時に、国禁を犯し、牢屋(野山獄)に投じられた。
松陰以外の囚人は11名。在獄49年の人を筆頭に古株も多かった。
出獄できる見込みもなく、やる気どころか表情の変化もなかったという。
そんな中、松陰は、その獄舎を学び舎にしてしまった。
夢も希望も捨てた囚人たちが自ら松陰に教えを請うようになった。
一体どうやったのだろう?
松陰は、「教えてもらった」のだ。
・字のうまい者からは習字
・俳諧(はいかい)が得意な者からは俳句
「是非私の師になってください」
松陰はそれぞれを先生と呼び、教えてもらいまくった。
社会に出れば家族からも忌み嫌われる自分がここでは先生と呼ばれる。。。
囚人たちが心に自己重要感を取り戻したことは言うまでもない。
獄全体がいつの間にか活気に満ち、囚人たちだけでなく、牢番も松陰の孟子の講義に耳を傾けるようになった。
いつの間にか野山獄は学び舎になっていた。
部下の努力、成長、変化、貢献、心配り、ねばりに素直に感謝しているだろうか?
部下の落ち込み、悩み、挫折、後悔、失敗に対して元気づけているだろうか?
「やる気がない」と嘆く前に、是非、部下の自己重要感を満たしてあげてほしい。
次回は11月9日(金)の更新予定です。
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