第22回 マンモス西を探して・・・

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「マンモス西の乾物屋の商売は順調だろうか?子供は何人だろう?ドヤ街の悪ガキと今でも付き合いはあるのだろうか?奥さんの紀子さんは、本当はジョーが好きだったって・・・知っていたのかな西は・・・きっと知っていたんだろうな、きっと!・・・ジョーを懐かしむことはあるだろうか。『昔、矢吹丈いうボクサーがおりましたやろ』なんてお客に話したりして、ひとしきり思い出話で盛り上がった後、どんな表情を浮かべるのだろう・・・」

 (「明日があるさ マンモス西を探して」 朝日新聞出版 重松清氏 著より)

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世の中、皆がヒーローになれるわけではない。
それぞれ自分自身に折り合いをつけながら生きていくのだと僕は思います。
いつも、経営者の方とお話していて思うのですが、顧客の信頼を勝ち得ながら、貪欲(どんよく)に事業強化していく姿勢には頭の下がる思いです。

しかし、そんな懸命に取り組むお客様でも、資本主義の冷酷なルールで動くボードゲームは、モノポリーゲームと同じで、勝者を生み出す一方、数多くの敗者を生み出します。
できれば、誰だって「カッコウよく勝者として生きたい!」と、願っていますが、なかなか難しい!でも、事業に対して熱く思えるだけで、よいのではないでしょうか?
誰もが、矢吹ジョーのような完全燃焼の生き方ができるわけではなく、むしろ、現実に折り合いをつけて、マンモス西として生きる道を選ぶ・・・

あるお客様と商談を進めさせていただいた時の話です。
その会社の常務が、「大塚ナビイさん、僕は何度か転職して今の職に就いているんだけど、転職は恥ずかしいと昔は思っていたし、人にもあまり言えなかった・・・でも、今は『キャリアステップ』という便利な言葉があるんですよね。この会社では、存分の評価をしてもらって、重要な仕事に就いていますが、でも僕は、やっぱり恥ずかしい・・・この気持ちが消えたら、僕が、僕でなくなるような気がしています。大塚ナビイさんは、笑うかもしれませんが、今回のシステム投資は、自分自身にとって最大のチャレンジです・・・今までの人生で、こんなに社長をはじめ、社内の多くのメンバーから期待をされていること、信頼の手ごたえは初めての経験です。だから絶対に石にかじりついてでも成功させたい!」
と、まっすぐに僕の目を見据え話しをしてくださいました。

その話は、朴訥(ぼくとつ)で表現方法もストレートで、年下の僕に話すのもためらわれるような言葉で・・・でも、常務の熱い気持ちがドクンドクンと伝わり、「ああ必ず成功させよう。成功させなければ・・・」と僕も常務の気持ちに引っ張られて思いました。

こんな経験ができるのも、この仕事にやりがいを感じる時でもあります。
豪華客船の中では、エンジン音を気にせず楽しむことができますが、小型船では大声で話し合わなければ声も通らないように、中堅中小企業で頑張っておられる方は、自分の仕事の評価も、一切のごまかしなど効かない中で取り組まなければなりません。

同時に、その気持ちはストレートに伝わってくるのです。
「明日のジョー」も、登場人物が、すべてジョーのように真っ白な灰になるべく打ち込めるのではなく、挫折(ざせつ)を味わいながらも、それでも懸命に生きようとするマンモス西のような生き方の中にも、別の道を選択し生きる「明日のジョー」がいるように思います。

基幹システムの構築を通して、その過程で、数多くの人の仕事への姿勢や、考え方、そして生き方に触れることが数多くあります。
「多様性(多様な価値観)」こそ、人間の生物としての真価と言いますが、ソリューションビジネスの中にその深い琴線が潜んでいるように思います。

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