第21回 「当事者の目」と「俯瞰して見る目」

今回から少し趣向を変えて、僕の思う「ソリューション営業」についてお話ししたいと思います。
僕がどのような気持ち・姿勢でお客様に接してきたか・・・少しでも皆様に伝わったら嬉しいです。

碁の世界に「岡目八目(おかめはちもく)」という言葉があります。
岡目とは、「傍目(はため)」という意味であり、場外で碁を観戦している者の方が、実際に戦っている者より、冷静に俯瞰(ふかん)して見られるので、八目得をする手を読めるという言葉が由来らしいのですが、言葉の響き的には、傍観者や評論家が自分の能力を棚に上げて、あれこれ偉そうなことを言うようなイメージもあって・・・定着していた本来の意味が廃れてしまったように思います。
(僕の読んだコラムでは「八目先の手を読める」とも書いてありましたので、こちらをベースに話を進めさせていただきますね。)

僕たちのようなソリューションビジネスを生業とする者にとって、本来の意味の「岡目八目」のような姿勢は大切であると思っています。
営業として提案したソリューションシステムを、その提案趣旨に従い実現していくには、お客様の経営者、部門長、営業、経理、物流、生産、情報システム、オペレータ視点の間で、リーダーシップを取って稼動までのロードマップを仕切る必要があります。
そこに、営業として「当事者」でいると共に、「岡目八目」のような俯瞰して全体像を見て先を捉えつつ進める姿勢が大事ということです。

例えば、システム導入がうまくいかないケース。
ある時は、お客様の中で社長とシステム担当者との意見のズレ・・これは、総論で方向性を決めたものの、実際に作業に入ってみるとその実現に難しい障害がある場合に見られます。

または、お客様側のシステム担当者とサポートするSEチームのぶつかり合い、契約内容に関する認識の食い違い等々・・・システム導入には多くの人が絡むわけですから、問題の大・小は別として、少なからず“何かしらの問題”が現場で発生したりします。

その時、まだ修行中のソリューション営業の場合には、ユーザ社長や、各部門責任者、システム担当者、サポート側のSEの意見をそのままの内容で、相手に伝えて調整しようとしてしまうことが多いです。しかし、そんな丸投げでは根本的な問題解決にはならない。と僕は思います。
結果的に不必要なシステムを追加することになったり、過剰な忍耐をお客様に押しつける形になることが多く・・・と、後味の悪い結末を迎えがちになるからです。

そこで、営業が当事者の面から一歩引いて「岡目八目」のように俯瞰して全体像を見ると、自ずと先が見え効果的に物事を進めることができたりします。(起きている問題点を整理しながら進め、相互理解を得ることでうまくいくケースが多い。)

では、「何かしらの問題」が起きたと仮定して整理してみたいと思います。

  1. もう一度最初から、今回新しいシステムを導入することになった経緯を丹念に辿ってみて、全員がその趣旨を理解する。(実はこれが一番大切です。)
  2. 例えば、営業事務のシステム化に問題があるとすれば、なぜそういった問題になっているのか?という「現実」「事実」のみを切り出して客観的に話し合う。実際の担当者の個人的テーマとしない。(仮に個人の資質で発生した問題であったとしても、そこに言及すると感情的な対立が矢面になりがちで問題の本質から離れる傾向にあるから。)
  3. とにかく、営業は「自分の言葉で話す」。「誰々さんが、こう言っていました」という表現は避ける。(営業は「当事者の目」と「俯瞰的な目」を養い、自らの言葉で客観的に話し合う場を持って解決の糸口を見つける努力をすること。)

・・・などなど、難しい部分もありますが重要で大切なことだと思います。

ただし、この三つを実現する上で、最低限守るべきことがあります。
それはお客様に提案したシステムフロー、ユーザの業務フローなどのベースを営業自身がちゃんと理解しておかないといけない、ということです。これは基本中の基本。そうしないと、話が上っすべりになってしまうからです。

「岡目八目」の「岡(傍)目の人」が、なぜ八目先を読めたかといえば、「岡(傍)目の人とは、その碁の決勝戦には出られなかったものの、その決勝戦に出られる人に近い技能を持った人が立ち会っていたからです。
ソリューション営業も同じく、「当事者である自分」と「俯瞰して八目先を捉える自分」といった、自らを鍛えなければいけないと僕は思っています。

この記事の著者

株式会社大塚商会

大塚ナビィ

入社して以降、ソリューションビジネス一筋。数々のお客様に、ITシステム導入をサポートし、大きな効果を上げ、その評価も高いベテラン営業。今までの数多くの経験と知識を、コラムとしてスタートです。趣味は、食べ歩きとテニス。あだ名は「歩くhanako」

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