第23回 お客様と話すときは、お客様の言葉を使おう(1)

「大塚さん、最終提案で残ったけれど3位だよ。ここから頑張らないと、負けてしまうよ。他社は過去に当社と実績があるけれど、大塚さんは、ナビィさんからの電話がスタートだったからね・・・」
いつもブルーの作業服に身を包んで感情を表にしないその課長から、付け加えてこうも告げられました。

「だけど、初めてだから期待しているところもあるんだよ。」

今回の提案が難しいことは、RFPを入手した段階でわかっていました。
しかも、先行する他社に対し最後発。残っただけでもラッキー。でも、ここからどうやって挽回するか?
帰り道。運転する車の中で・・・名案は浮かんできません。遠い道程を1時間半以上かけて帰社した時には、すっかりブルーな気分になっていました。

そのお客様は、世界的にも有名なI社の関連企業(製造業)。
その敷地は広大で、受付を過ぎてからも車を降りることなく直線で1キロ近い距離を走ります。当社の取引は過去ありません。さて、どうしたら、お客様に受け入れて頂ける提案にまとめ上げられるのか?

事務所に戻ると、既にMGRが製造業専任の営業とSEメンバーを集めて最終突破に向けたミーティングを実施していました。
「やったな、大塚ナビィ君!」と声を掛けてくれましたが、僕は沈んだ口調で「ギリギリで引っかかった3位だったんです。逆転は難しいですよね・・・」と、話して顔を上げた時に、はたと気づきました。僕以外の全員が満面の笑みなのです。

中でも、SEの課長が「あれだけ時間のない中で作成した『レアな提案』が残ったこと自体、お客様が当社に何かを期待しているってことだよ。その期待の本質を突いた最終提案ができれば、間違いなく逆転受注だよ!」と、言ってくれました。
僕は、何が何だかよくわからなかったのですが、少なくとも「厳しい・・・」と思っているのは僕だけで、他の誰もがこの案件は逆転で決められると考えているようで・・・正直、驚きでした。

さて、少し当社の話をしましょう。
当時、当社は扱う商品(製品)ごとに営業担当を分けるスタイルでビジネスを推進していました。
のちに多少の組織改編があり、一部、担当商品の制限がなくなったり、今までの自分が担当していた商品をいかに販売するか?といった【プッシュ型提案】から、「お客様のニーズをどう読みとるか?そこに、数多くある商品の何をどう組み合わせて提案するのか?」への変革が行われ、【プル型提案】が大切なテーマになりました。
この価値観の転倒は、ビジネスをファーストアプローチから180度変革をもたらしました。

もちろん、商品をベースにした商談もありますが、本来はお客様の「顕在化した困った」や、「潜在的な困った」を聞き出していくことがファーストアプローチであり、何よりお客様の全てを知って、求めているものを見つけ出す「徹底した分析力」こそが、営業資質の一番に求められる状況に変わったのです。少しずつ、こういった変化を受け入れ、自分の血と肉としていくことが、日々の仕事への取り組みで一番大切なことになりました。

~ つづく ~

次回は10月24日(水)更新予定です。

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