第25回 お客様と話すときは、お客様の言葉を使おう(3)

第23回 お客様と話すときは、お客様の言葉を使おう(1)

第24回 お客様と話すときは、お客様の言葉を使おう(2)

【問題点】という言葉が出ましたので、少し触れたいと思います。
私たちが取引をさせていただいている、中堅、中小企業が直面する【問題点】とは何でしょうか?数多くのお客様をお伺いして話をお聞きすると、おおむね下記の点になります。

  1. キャッシュフロー・・・お金が一番大切です。それをどう回すか?創業時代を振り返り、当社の社長が話されたエピソードの中にもそのことがあります。
  2. 販売管理費の削減・・・利益を生み出す部門以外に投資などしたくない。筋肉質の経営を目指している。
  3. 人材育成・・・大企業並みの給与も支払えない中で、人材を、どうモチベーションを上げて、成長させるか?
  4. 次の事業・・・いまのビジネスの成長はもちろんだが、次のビジネスで大きく飛躍したい。もしくは、多角化でリスク分散を図りたい。

この四つです。「大工と話すときは、大工の言葉を使え」と言ったソクラテスのように、自分たちが対応させていただいているお客様の本質を知らなければ、その企業にしっかりとエッジの効いた楔(くさび)を打ち込むような提案はできません。
僕たち、大塚商会のソリューション営業のコアコンピタンスは中堅中小企業の現実をいかに知るか?と言っても過言ではないと思っています。
だからこそ、この四つの【問題点】(=経営課題)を最重点で意識をして、お客様と話をすることが大切だと僕は思っています。

さて、いよいよデモンストレーションの当日。
当社は、2番目の登場でした。話し始めは少しギクシャクした展開でしたが、手前みそですが、予想以上に当社内メンバーの連携はすばらしく、15分後には熱を帯び、お客様から意見が飛び交うようになってきました。思った以上に議論が白熱したのです。

しかし、その時、お客様のメイン担当部長から、「これ以上続けても・・・」と、タオルが投げられるような、一番恐れていた流れになりました。これは既にお取引と実績のある当社以外のSIer様と、話を半ば決めていたような・・・もちろん、僕の経験から察するところですが。

でも、その時、お客様のある担当者がこう切り出されました。
「大塚ナビィさんの提案は、この基幹システムだけじゃないんです。勤怠も、経理も、事務用品の発注管理も、いまの当社の課題点すべてを提案してくださっています。私は、パソコンをノートに変えるだけで、プリンタを新製品に入れ替えるだけでに1/10以下の消費電力で済むことを、大塚ナビィさんに教えてもらいました。コピーの用紙をストックしなくてよいことも、保管スペースの無駄と、湿気を含んだ紙のコピー機への影響も知りませんでした。大塚ナビィさんの提案の数だけ、私たちは選択肢を持つことができています。しかも、こんなに当社の様々なポジジョンのメンバーが、これだけ議論を交わしている・・・こんなプレゼンが今まであったでしょうか?」
拙(つたな)いながらもゆっくりと話された、その担当者のおかげでデモは継続されました。

最後に、私が話すことになりました。
「僕は、今回提案させていただいたことで自分自身も勉強になりました。ありがとうございました。今回出席させていただいた当社メンバーの中で最年少の僕ですが、このメンバーは一つのチームとして本日まで懸命にご提案する内容を考えてきました。いま、僕はこのチームの一員として提案させていただいていることに、少々自信が持てている次第です。そして、それ以上に活発にご議論いただいたお客様も、今回の基幹システム導入に、熱い思いがあることと、熱いチームであることを知りました。気持ちを言えば、この二つのチームで今後のシステム化を取り組めば「1+1=3」も4も10にもなるんじゃないかなって、いま、思っています。それだけです。本当は、当社に選定していただきたいって話をしたかったのですが、うまく言えなくて・・・」
その時、自然と出てきた言葉でした。

「そんな『買ってくれともいえない』気の弱い営業からは、ウチは買わないよ!」と、営業系の役員が野次を飛ばされてその場が、どっと沸きました。

そして、一週間後、決定の連絡。
お客様から決定のご連絡を頂けた喜びと、「ここからが本当のスタートだ!」と身の引き締まる思いに社内メンバーみんなで奮えたことは今も忘れられません。大変感動した案件でした。

ソリューション営業の真価は、受注を頂いてからが本領発揮になります。
ある時は、お客様とサポートメンバーとの潤滑剤であり、場合によっては、当初お約束したシステム提案の投資対効果を果たす守護神の役割を担ったり、またはシステム全体のバランスを見た上で、全体最適か、部分最適かの判断をお客様に申し上げる苦い役回りであったり、お客様の信頼に応える役目が大きいように思います。
そして着実に成果の上がるシステムにした上で、更なる信頼関係を築く・・・の繰り返しです。

企業の資産を分類すると、従来の事業資産、知的資産に加え、三つ目のエモーショナルキャピタル(情的資産)社員の活力や結束力が大切だとよく言われるようになってきました。
それをお客様とシステム構築を通しての結びつきにも、企業という枠組みを超えて活用できるようにすることが、よいシステムへの第一歩になるような気がします。まだまだ、奥が深いビジネスだなあっと・・・

~完~

次回は11月下旬の更新予定です。

この記事の著者

株式会社大塚商会

大塚ナビィ

入社して以降、ソリューションビジネス一筋。数々のお客様に、ITシステム導入をサポートし、大きな効果を上げ、その評価も高いベテラン営業。今までの数多くの経験と知識を、コラムとしてスタートです。趣味は、食べ歩きとテニス。あだ名は「歩くhanako」

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