第2回 スキルマップの作り方

第1回のコラムで「タレントマネジメントとはその人が持っている才能(タレント)を見える化し、活用していくための管理手法である」と説明しました。今回は「見える化」を実現するツールである「スキルマップの作り方」について解説します。

■スキルマップとは何か?
スキルマップとは「業務において、要員が必要な力量を有していることを確認し、記録するための表」です。もう少し丁寧に説明すると「仕事に必要なスキルの一覧表であり、社員一人ひとりが自らスキルチェックを行うことで本人の得意分野/不得意分野を明らかにし、本人の目標設定や会社の人材育成上の参考とするための表」であると言えます。このスキルマップに関する問い合わせが最近急増しています。

■なぜいまスキルマップなのか
それでは、なぜいまスキルマップがこれほど注目されているのでしょうか。これにはいくつかの背景が考えられます。第一に産業構造の変化です。サービス業においては「人」が唯一の経営資源です。そのためサービス産業化が進むとスキルマップのニーズが拡大します。第二に技術者の世代交代です。高度成長期を支えたベテラン技術者から若手へのスキル継承は各社にとって喫緊の課題ですが、ここでもスキルマップが重要な役割を果たします。第三に経済のグローバル化です。社内からグローバル人材を選抜し、現地採用のローカル人材を公平に評価・登用するためにもスキルマップは有効です。こうした背景から、いまスキルマップが強く求められているのです。(図表1)

図表1 スキルマップが求められる背景

■官公庁も後押し
官公庁もスキルマップを後押ししています。経済産業省は日本企業の競争力強化を目的にITスキル標準、経理・財務スキル標準、知的財産スキル標準などを策定してきました。一方厚生労働省は労働者の能力評価の「ものさし」として職業能力評価基準(46業種)を順次整備してきました。この他東京都は独自に東京版スキルスタンダードガイドラインを発表しています。

■金融界における注目度
TVドラマ「半沢直樹」ですっかり有名になった金融庁検査ですが、ここでもスキルマップが注目されていることをご存じでしょうか。実はドラマと違い、最近の審査ではむしろ銀行の「攻めの経営」を後押しするために銀行のガバナンス体制を中心にチェックされるようです。そしてその銀行が企業や個人顧客のニーズに応えてより質の高い金融サービスを提供できるのかどうか、いまのビジネスモデルのままで将来に亘る持続可能性があるのかどうかなどが人材面からもチェックされます。スキルマップを導入して定期的なスキルアセスメントを行っている銀行は、この新しい金融検査も問題なくクリアできているようです。

■スキルマップによる「見える化」と「自律」
スキルマップの開発手順は図表2の通りですが、特にフェーズ1の「経営理念の理解」が重要です。スキルマップの目的は現状保有するスキル(As is)を把握することと、会社が期待する将来の人材像(To be)を社員に対して示すことです。スキルマップは経営者から社員に対するスキル・ガイドラインです。社員はこれを熟読することによって今の自分に何が足りないのか、今後どのようなスキルを身に付けたら会社から評価されるのかなどを自然に理解できます。するとそのうちに自分で必要な勉強を開始し、仕事に対する心構えが目に見えて変わって来る自律的な社員が出現します。そうなればしめたものです。「見える化」と「自律」。これこそが人材育成のキーワードであり、スキルマップの真の目的なのです。

図表2 スキルマップの開発手順

■宮本武蔵もスキルマップを知っていた!?
実は、宮本武蔵の「五輪書」には「スキルマップ」に通じる要素が多数含まれています。以下は「地の巻」の記述ですが、「兵法の道、大工に例えたること」として次のように説いています。
●大将は大工の棟梁として天下の規矩(きく)、その国の規矩、その家の規矩を知ること。(スキル基準、行動規範を定義する)
●士卒たるものは大工にして(中略)手ずから道具をとぎ、色々の道具をこしらえること。(スキルを磨き、スキルの幅を広げる)
●大将は人を見分けて使うこと。(適材適所の配置)
●大将は気の上中下を知ること。(モチベーションの管理)
これって、タレントマネジメントそのものだと思いませんか。

■次回予告
さて次回は「スキルマップの最新事例紹介」として東京都港区で約40年の歴史を持つラジオ番組制作&音楽プロデュース会社「株式会社ヤング・スタッフ」におけるスキルマップ作成事例をご紹介します。スキルマップ導入のきっかけ、狙い、期待効果などについて幹部の方へのインタビューも含めて「実況放送」いたします。どうぞご期待下さい。

図表3 ヤング・スタッフ社のスキル・グランドマップ

(^^) 始めてみませんか、タレントマネジメントへの取り組みを…

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次回は8月19日(火)更新予定です。

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