第3回 SNS?「で、そこから何をしていくか」

もちろんSNSくらい知っている。現代人だから。
でも「じゃあ旅行会社がSNSで何ができるんだ」と突っ込まれると、実はよくわからない。SNSがコミュニケーションツールとして定着したことはわかるが、その先がわからないのだ。

「旅行ビジネスにおけるSNSは現在、SNS問題を抱えている。つまりSそこから、N何を、Sしていくか」――などと、SNSのことが、いまひとつよくわからない不安を駄洒落で誤魔化すのが精一杯だ。

しかし、意外にこの点では皆さんお悩みのようで、先日、旅行業界誌「トラベルジャーナル」が主催した旅行業界向けセミナー「SNSで激変するネット空間をいかに有効活用するか」の旅行会社のSNS担当者によるパネルディスカッションでも、明確な答えは見いだされなかった。

現状では、旅行に関心のある人々を、とりあえず自社ホームページまで引っ張ってくるための動線として活用できる、活用しているというあたりが結論だった。

SNSを動線として機能させるのは確かにアリだろう。しかしそこまで。SNSで旅行需要を喚起したり、旅行のモチベーションを高めたり。それが可能なのか、それには、どういう方法があるのか。

某オンライン旅行会社の会長は「SNSが団体旅行のプラットフォームになる」と語っていた。どこまで具体的な方法論を思い描いているかわからないが、たしかに同窓会とか同好の士とかをネット上で組織する力が強いSNSは、新しい団体旅行を創出していくかもしれない。

もっとも正解は、とにかくSNSの利用者、消費者の声に注意深く耳を傾けることかもしれない。先日のセミナーでも「旅行会社の企画担当者が、自分が今訪問している海外の情報を何気なくツイッターでアップしたら、早速お客側から『次は○○のツアーを企画するのね。それならお友達を誘っておくわ』と反応があり、勝手に消費者が旅行会社や旅行会社のツアーを宣伝し、広めてくれるケースもあった」という報告があった。

情報コミュニケーションツールとしてこの世に新しく生まれたばかりのSNSである。思いがけない活用方法を含めて、SNSの使い手たちの手元をじっくりと観察する中から意外なアイデアがひらめくかもしれない。

SNSの普及に困っている旅行業界人もいる。ネイチャー系のツアー事業者だ。絶滅危惧種の鳥や、希少な花などを見せるため、とっておきのスポットにお客を連れていく。お客はスマホか何かでSNSで「見つけた!」「やった!」とかつぶやく。すると、周辺にいた別のツアー客がその場所へめがけて押し寄せるという。だから、スマホや携帯電話の携行を認めないネイチャーツアーも海外にはあるという。

SNSの可能性と問題点を含めて、「そこから、何を、していくか」がこれから試される。

次回は6月の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社トラベルジャーナル

高岸 洋行

繊維業界紙記者、旅行業界誌編集長を経てフリーライター。
現在は旅行業界専門誌「週刊トラベルジャーナル」を中心に、旅行業界の動向に関する記事を執筆。海外取材も22カ国・70回以上。得意分野はアウトバウンドとインバウンドを含む国際旅行ビジネス全般。

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