最終回 宿泊サービスの新トレンドは

インターネットを利用したサービス開発は、あらゆる分野で活発に進んでいる。
旅行ビジネスの分野も、もちろん例外ではない。

最近注目される動きが、インターネットを通じた貸部屋仲介サービスだ。
Couch Surfing(カウチサーフィン)やAirbnb(エアビーアンドビー)が有名で、部屋を貸すホストも旅行に利用するユーザも世界中に広がっている。

特に08年にサービスをスタートしたAirbnbはただ今急成長中。
今年1月には利用実績500万泊を達成。このうち昨年2月からの1年間で400万泊分を上乗せする急成長ぶりだ。サイトに登録・掲載されている部屋も世界192カ国・1万9,000都市にまで広がっている。
ネットワークの広がりの点ではスターウッドやヒルトンといった大手ホテルチェーンも顔負けだ。

実際の利用者にも話を聞いたが、評判は上々。特に都市部においては、ロケーションや部屋タイプなどホテル以上の豊富な選択肢から選べる点が魅力とされているようだ。

ホストの評判もいい。ホストは手数料としてAirbnbに宿泊料金の3%を収める。一方で部屋の破損などのトラブルに備えた補償規定があったり、掲載する部屋の写真を撮影するプロカメラマンを派遣してくれたり。ホストは3%に見合った支援を受けられると感じているようだ。

ユーザからもホストからも上々の評価を得て成長しているAirbnbだが、問題は今後も成長を続けられるかどうか。貸部屋仲介サービスに、まだまだ成長の余地はあろうが、問題は競合の激化だ。

Airbnb自体も、04年にサービスをスタートした先行のCouch Surfingの成功を意識しての参加とも言えなくもない。内容・コンセプトは若干異なるが、貸部屋仲介サービスという意味では同じだ。Airbnbの成功が類似サービスの起業を促している面もある。

日本でもroomstay(ルームステイ)といったサービスが登場している。このように世界的に貸部屋仲介サービスが増加した場合、どう差別化して生き残っていくかが大問題だ。何しろ商品である部屋はホストが所有していて差別化しようがない。ここが商品の差別化を図れるホテルチェーンなどとの違いだ。

で、どうする?ポイント制ではコスト増になるし、選択肢を広げるためのネットワーク拡大にも限界がある。各サイトが差別化できなければ「貸部屋仲介サービス需要」というパイを、細分化してしまうだけに終わりかねない。

ただし料金は各ホストが自由に設定できるから、単純な価格競争には陥らない。「結局、価格でしか差別化できませんでした」とはならない強みがある。貸部屋仲介サービス・サイトは、まだまだ大きな可能性を秘めている。

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この記事の著者

株式会社トラベルジャーナル

高岸 洋行

繊維業界紙記者、旅行業界誌編集長を経てフリーライター。
現在は旅行業界専門誌「週刊トラベルジャーナル」を中心に、旅行業界の動向に関する記事を執筆。海外取材も22カ国・70回以上。得意分野はアウトバウンドとインバウンドを含む国際旅行ビジネス全般。

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