IoT×生産管理システムのすすめ ~生産性や原価精度、品質などの向上を実現~

モノのインターネットと呼ばれるIoT(Internet of Things)。年々実用化が進み、近年では製造業の生産現場でも活用されるようになっています。そのため大塚商会はテクノシステムと提携し、独自のIoTソリューションを提供。その概要、導入のメリットなどについて、テクノシステム株式会社 常務取締役 山田 克明氏および株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SP1課 課長代理・セールスリーダー 柵山 英之に聞きました。

プロフィール

テクノシステム株式会社 常務取締役 山田 克明 氏

テクノシステムは製造業向けソリューション(FAおよびOA)関連の事業を中心にビジネスを展開。近年は製造現場のデータ収集に対するニーズに応えるため「実績班長」を開発・製品化し、大塚商会と提携して製造業向けのIoTソリューションを提供しています。山田氏は、かつてはFA(Factory Automation)関連事業を担当。その後OA(Office Automation)分野も手掛け、近年では「実績班長」を活用したIoTビジネスを推進しています。

プロフィール

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SP1課 課長代理・セールスリーダー 柵山 英之

大塚商会で製造業のシステム導入における問題解決策を知り尽くした専門組織「製造SP」において営業を担当。大塚商会に転職する以前は、製造業にて生産技術関連を手掛け、生産設備の製作、PLC(Programmable Logic Controller)を駆使した開発などを通じてFAに精通していました。その経験を生かし、現在は主に生産管理システムを活用したIoTソリューションを展開しています。

  • * 肩書きは2018年9月時点のものであり、閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

「IoTと生産管理システム連携」の概念とニーズの高まり

工場の装置をデータでつなぎ、見える化を実現する「工場のIoT」。そこからさらに、生産管理システムとの連携におけるニーズや動向についてご紹介します。

生産効率の向上や適切な原価管理を実現する「IoT×生産管理システム」

中堅・中小製造業におけるIoTの概念をご説明ください。

山田:一般的なIoTというと、最終製品である冷蔵庫などがインターネットに接続し、外出先から操作したり、温度などの情報を確認したりといったことを想像するかもしれませんが、中堅・中小製造業は最終製品ではなく、部品加工を専門に行っているケースが多く、そうした「製品のIoT」に関わることはあまり多くありません。中堅・中小製造業の場合は、製品ではなく「工場のIoT化」への関心が高まっています。

工場のIoT化とはどのような仕組みでしょうか。

柵山:基本的な考え方としては工場の装置が保有しているデータをいかに有効活用するか、ということです。装置のデータといえば、FAやMES(Manufacturing Execution System)などを思い浮かべるかもしれませんが、最近のIoTがそれらと異なるのは、生産管理システムをはじめとした各種管理データと連携させて分析などを行うという点にあります。例えば、工場で製造する際、装置側でさまざまなデータが生まれます。一方、生産管理システムには受注情報や在庫情報、原価情報が蓄積されています。そのデータをクラウド環境で連携させることで、適切な改善活動計画を立てることができ、効率化やコスト削減につなげることが可能になるのです。

山田:一般の家電製品のIoTは、製品が直接インターネットにつながり、遠隔地で情報を把握できるのに対して、工場のIoTの場合は、装置が直接インターネットにつながるわけではなく、実績収集システムなどの仕組みを経由してからインターネットにつながるということが特徴です。そうすることで、クラウド環境に装置のプロセス情報と生産管理システムの原価情報や生産管理情報などを融合して一元管理することが可能になります。

テクノシステム株式会社
常務取締役
山田 克明 氏

工場の見える化をきっかけにIoT化を促進

中堅・中小製造業におけるIoTの認識は広まっているのでしょうか。

柵山:IoTは昨今さまざまなメディアで取り上げられているので、製造業においても単語としての認知度は高いです。お客様の中にもIoTに関心を寄せるものの、その実態についてはよく分からないというケースも少なくありません。そこで大塚商会では、装置のデータと生産管理システムのデータをクラウド環境でつなげて分析を行うことを製造業におけるIoTと定義付け、ご説明するようにしています。

関心が寄せられているということは、それだけニーズも高まっていますか。

柵山:特に、経営層の方々が興味を示すことが多いです。例えば離れた拠点に工場を抱えているお客様の場合、工場の見える化を図り、稼働状況などを把握したいというニーズが寄せられます。そうした場合、工場のIoTが有効な手段になりますので、見える化をきっかけとしてIoT化に進むというケースがあります。

山田:あるお客様は稼働率の見える化を実現させましたが、当初は「現状の稼働率は80%程度なので90%ほどに改善したい」と漠然と考えていたところ、実際に装置の数値を収集してグラフ化してみると、現状は80%どころか70%を下回っていたことが分かりました。こうしたケースから見える化の重要性が分かると思いますが、IoTを活用することで、さらにはどの時間帯にどの製造で稼働率が低下しているのかということまで分析でき、それを稼働率改善に役立てることができるようになります。このように具体的に工場のIoTがどのような成果につながるのかということが分かると、お客様は大きな関心を寄せるようになります。

株式会社大塚商会
本部SI統括部 製造SP1課
課長代理・セールスリーダー
柵山 英之

生産管理システムと実績収集システムにより構成される製造業のIoTソリューション

大塚商会はテクノシステムと提携して製造業のIoTソリューションを提供。そのソリューション概要と導入のメリットについて解説します。

リアルタイムに実績データを収集

見える化した装置の情報と生産管理システムとの連携は具体的にどのような仕組みで実現できますか。

山田:私たちが提供するソリューションは、大塚商会が提供する生産管理システム「生産革新 Ryu-jin SMILE V(以下、Ryu-jin)」とテクノシステムが提供するIoT実績収集システム「実績班長」によって構成されています。「Ryu-jin」側では生産計画情報を保有しており、そこから生産指示情報が「実績班長」に送られます。工場の装置は「実績班長」の生産指示に基づいて生産を行い、その結果を「実績班長」に戻します。そうすることでリアルタイムに装置や作業の実績を収集することが可能になるのです。

例えば、原価管理にこの仕組みを活用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

柵山:一般的に原価管理の運用は紙ベースの生産指示を製造現場に渡し、それに基づいて製造した結果、実際に使った材料の使用数を第三者が手入力するという作業になるため、人的なミスが発生しがちです。しかし、それを参照する経営層は、正しいデータとして見ることになります。そこで、製造装置に使った材料のデータを収集する仕組みを導入し、それをIoTで生産管理システムと連携すれば、人的ミスを大幅に減らすことが可能になり、より正確な原価管理が実現します。もちろん手作業を大幅に削減できるので、作業を効率化することにもなります。

山田:製造業における実績原価を算出するためには、材料費、人件費、出来高などの情報が必要ですが、「実績班長」では人が関わった工数、製品ごとの出来高情報(生産数・不良数・保留数)、原材料の使用情報などを、作業を実施した時点の数値として収集することが可能になります。また「Ryu-jin」は不良分析を行うこともでき、装置からの不良情報を受け取り、製品の品番ごとの不良率を把握できます。こうした活用は生産実績の連携になりますが、製造プロセス(進捗)の連携も可能で、工場のIoTはこの製造プロセス(進捗)の方がメインになるかもしれません。

では、その製造プロセス(進捗)の連携の具体例を教えてください。

山田:「Ryu-jin」側の生産計画情報には、例えば1時間で生産できる個数といったように基準タイムが含まれています。一方で装置側から実際に生産できた個数が送られてきます。両者を照らし合わせることで、遅れなどの状況を把握することができます。

柵山:一般的なイメージとして、装置が作るのだから、一定のスピードで安定的に生産されるだろうと思われるかもしれませんが、実際は室温の違いや材料の成分や寸法公差などにより、必ずしも安定して生産されるわけではありません。そうした事情から、実際の生産状況をしっかりと把握できる仕組みを作ることが重要になるのです。

IoT×生産管理システム概要

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生産性、原価精度、品質の向上を実現

生産現場の状況を一目で把握できる仕組みが整っているということですね。

山田:「実績班長」では装置の稼働状況をチャートで表示する、あるいは稼働率をグラフ化するなど、さまざまな角度から見える化を支援します。また複数の装置をリアルタイムに一覧表示することも可能です。それぞれの装置の計画数、実績数、進度、累積数、累積進度を一覧で把握できます。

IoT稼働収集システム─稼働実績

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そうした情報を把握するために、従来は多くの手作業を必要としていたのでしょうか。

柵山:従来は生産管理システムの情報に基づいて紙の作業指示書や作業手順書、機械設定情報などを別途発行し、それを現場に手渡していました。現場ではそれらの指示に基づき加工手順や設定値を機械に手入力し、さらに結果を生産管理システムにフィードバックする作業実績についても手入力していました。IoT化すれば、生産管理システムと現場の装置が実績収集システムを介して連携するので、そうした手作業のほとんどを自動化することが可能になります。結果として、入力工数削減による生産性の向上、人的ミス削減による原価精度の向上、設定ミス削減による品質向上、管理の一元化などの多くのメリットがもたらされます。

IoT稼働収集システム─装置状況一覧

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OAの領域を扱う大塚商会とFAの領域を専門とするテクノシステムが協業

大塚商会が製造業のIoTのソリューションを提供するようになった経緯についてお聞かせください。

柵山:大塚商会はOAの分野を得意としてきました。OAを扱う企業が製造業のIoTを扱おうとしても、FAの領域に踏み込むことが難しくなります。一方でFAを扱う企業がIoTを推進しようとしても、FAの領域内にとどまってしまい、こちらも困難が伴います。そこでOAを扱う大塚商会とFAを扱うテクノシステムとが手を組むことで、市場のニーズに即したOA&FA融合ソリューションを提供することになりました。

山田:テクノシステムはFA分野の事業も展開していますので、工場の実態に即したソリューションを提供してきました。その成果として、新しい装置だけでなく、古いタイプの装置であってもIoT化することを実現できるようにしました。データ連携のためのプロトコルとドライバーがそろっている最新の装置に直接つなぐことはもちろん、PLCが制御している一般的な装置であっても専用のプロトコルを使用して連携できます。さらには古い装置であれば、I/Oからの出力信号を使う、あるいはセンサーを取り付けてランプの点灯状況を取得するなどといった手法で稼働状況を収集することが可能です。こうした情報を「実績班長」で収集し、「Ryu-jin」と連携することで実用性の高いIoTの仕組みが出来上がります。

両社が協業して展開するソリューションにより、製造業におけるIoTの普及が期待されますね。本日はありがとうございました。

本ページで紹介したソリューション

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「IoT×生産管理システムのすすめ」について本ページで読めるテクノシステム 山田氏と大塚商会 柵山のインタビュー記事を、印刷して読みやすい冊子でご用意しました。
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