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e-文書法 国税関係書類のスキャナ保存
国税関係書類のスキャナ保存とは、紙で保存する必要がある国税関係書類(領収書、請求書、納品書など)を、真実性・可視性を確保するための一定の要件の下、スキャンした電子データで保存することを認めるものです。スキャナ保存により、業務の効率化やコスト削減など多くの効果が期待できます。同じ7年間保存するなら、電子化を検討してみませんか?
国税関係書類を電子化するメリット
ファイリング作業不要
証憑(しょうひょう)をバインダーにとじ、リスト化する作業が削減できます。
物流・保管コスト削減
7年間書類を保存するためのスペースや倉庫代、物流費が削減できます。
検索性向上
キーワード検索が可能になり、業務効率が向上します。
解説
電子帳簿保存法は民間からの要件緩和の要望が多く、2015年に領収書と契約書の金額制限、電子署名などの要件が緩和されました。また、2016年にもスマートフォンなどでの入力が可能となる要件緩和が行われました。要件が緩和されてからは、スキャナ保存の承認件数が大幅に増加するなど、電子化を検討する事業者が急激に増えています。
さらに、2019年度税制改正大綱においても、重要書類(請求書、領収書など)の過去分電子化が緩和される内容が記載されました。スキャナ保存の仕組みを導入することで、保管費用削減、税務調査・会計監査対応の負担軽減等のメリットが得られます。
各プロセスで求められる要件
それぞれのプロセスで必要になる要件を抜粋してご紹介します。
電子化
証憑を電子化します。証憑の発生枚数や紙の状態、ファイル名の付与方法等をご相談しながら、適した入力機器や配置をご案内します。
- 複合機やスキャナ専用機でスキャンする場合:フルカラー200dpi以上
- スマートフォンなどのカメラで撮影する場合:388万画素以上
- 受領者自身が電子化する場合:受領した翌日からおおむね3営業日以内に証憑に自署してタイムスタンプ付与
- 受領者以外が電子化する場合:受領後最長2カ月と7営業日以内に電子化して入力
- 誰が入力したのかを記録
- 証憑原本とスキャン元画像を見比べて確認
タイムスタンプ付与
電子化した時点で証憑が存在していたこと、電子化以降改ざんされていないことを証明します。スキャナ保存運用において、欠かすことのできないものです。
- 日本データ通信協会認定のタイムスタンプを付与する
- スキャン後速やかに付与
文書管理システムに保管
スキャナ保存要件を充たす文書管理システムの導入は必須です。
- 「取引年月日、取引金額」などさまざまな項目で検索
- 削除ボタンを押しても削除されない。変更で旧版が消えない
- タイムスタンプの一括検証
- 解像度、階調、書類サイズの情報を保存
- 関連帳簿と相互に関連付けし確認できる
証憑処分
電子化した証憑の原本は、定期検査終了後廃棄することができます。膨大な書類を段ボール箱に入れたまま、安全かつ確実に廃棄できる溶解処理サービスをご提供しています。
- おおむね5年以内に全ての事業所の検査を実施する
その他
- 相互けん制、再発防止の体制
- 文書管理規程や電子化手順書の用意
関連動画
電子帳簿保存法の改正により、国税関係書類のスキャナ保存要件が緩和されました。「SMILE V / eValue V ドキュメント管理」のタイムスタンプオプションと、「SMILE V 会計」の証憑電子保存オプションを連携し、証憑と帳簿を関連付けて保管する運用イメージを動画でご紹介します。
関連するソリューション
e-文書法に関連するソリューションをご紹介します。
文書管理システム SMILE V / eValue V ドキュメント管理
「SMILE V /eValue V ドキュメント管理」の「タイムスタンプオプション」なら、スキャン登録した証憑へのタイムスタンプ付与、タイムスタンプの一括検証などが低コストで行えます。「SMILE V /eValue V ドキュメント管理」の検索機能や版管理機能と合わせて、証憑の電子化による業務効率化、コスト削減に貢献します。
契約業務プロセスの効率化を促進 eValue V ドキュメント管理連携テンプレート with Adobe Sign
契約内容の社内稟議から、外部との契約締結、署名完了した契約書の保管、契約書の有効期限管理までを全て電子化できます。処理済みの書類は「SMILE V / eValue V ドキュメント管理」で適切に管理され、電子帳簿保存法対策も支援します。
紙文書の処分というとシュレッダー処理が思い浮かびます。しかし、紙の繊維を切ってしまう断裁処理は、リサイクルの効率を下げてしまいますので、あまりお勧めできません。リサイクルを考えるなら、溶解処理がお勧めです。また、シュレッダーの場合、復元性がゼロではありません。機密保持を考えても、断裁処理ではなく、溶解処理を選択しましょう。「メルティBOX」では、機密文書・機密書類を溶解処理し、リサイクルへ活用します。
導入事例
e-文書法対応の文書管理システムを導入した事例をご紹介します。
動画あり
株式会社熊平製作所
- 地域・規模
- 中国・四国、101~1,000名
- 業種・業界
- 製造
- 事業内容
- 金庫設備、入退室管理システム、セキュリティゲート、映像監視システムなどの開発・製造を行うトータルセキュリティ企業
- 導入業務
- 共通業務
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更新日:2021年 1月19日
インターネットを介してあらゆる情報が簡単に拡散できる時代となり、そのデジタルデータが本物であることを証明する方法(デジタルエビデンス)がビジネスの場で求められています。このコラムでは正しい情報を伝えるためのポイントをお話しします。
- 柴田 孝一
- セイコーソリューションズ株式会社
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