全世界の携帯電話サービス契約数予測(2020年)は?

答え:88億

携帯電話は、今や人々の生活に欠かせない機器となりました。この傾向は日本など先進国だけに限らず、アジア、南米、アフリカなどの国々にも広がっています。果たして、地球で生きる全ての人が1台ずつ携帯電話を持つ時代は来るのでしょうか?(クラウド Watch特約)

[2016年 7月15日公開]

世界の携帯電話市場はまだまだ発展中

仕事と家庭、その両面において、今最も身近で重要な機器といえば、やはり携帯電話でしょう。オフィスへのちょっとした連絡はもちろん、トラブル発生時の初動対応、さらには飲み会の連絡まで、あらゆる場面で利用されていることは、皆さん既にご存じのとおり。街に出かけて、携帯電話を使っている人を一人も見なかった……なんていう世界は、もうちょっと想像できません。

携帯電話がすっかり普及しきった日本ですが、では世界はどうでしょうか? 日本の矢野経済総合研究所によると、2014年末における世界の携帯電話サービス契約数は約75億。国連の調べによる同年末の世界人口が72億4,400万人とのことですから、計算上は既に「1人に1台」が全世界レベルで実現しているのです。

この調査には続きがあり、将来の予測値も掲載されています。2016年には80億、2017年には82億、2018年には84億、2019年には86億、そして2020年、東京オリンピックの開催年には「88億」(87億6,924万件)へ達する見込みだそうです。

増加要因の筆頭に挙げられるのが、新興国・発展途上国への導入が進んでいる点です。例えば中国は、モバイルキャリア大手3社の加入者数の合計が2014年時点で12億4,000万。また、インドでも2015年10月には10億加入の大台に達したといいます。まさに巨大市場です。

ただ、この2国はもはや成熟市場とされ、今後の加入増をけん引するのは、ASEAN、中央アジア、中南米、一部のアフリカ諸国だと考えられます。軍から民政への移管が急速に進むミャンマーはまさにその代表格で、日本のau ( KDDI ) も2014年から現地の事業者と連携して、通信サービスの提供に乗り出しています。

コミュニケーション、決済などあらゆる場面で使われる携帯電話

なぜ毎年2億もの携帯電話サービス契約が増えていくのか。それはもちろん「便利だから」の一語に尽きますが、国の事情なども当然絡んできます。例えば、固定電話がいっさいない地域であれば、街々の間の電話線敷設を人海戦術でゼロから行うより、電波の基地局を要所ごとに建設した方が明らかに安上がりです。また、日本でも「携帯電話さえあれば自宅に固定電話は不要」と考える人が相当数いるくらいですから、携帯電話を優先するのは当然の発想と言えます。

そして何より、情報の入手手段として電話は非常に重要な存在です。仮に、数カ月かけて作った作物を仲買人に売るとします。この時、仲買人の言い値でただ引き渡してしまうのか、それとも、遠方に住む知人から相場情報を仕入れたうえで価格交渉するのか。おそらく、この違いは収入に大きく跳ね返るでしょう。

普及著しい携帯電話端末そのものを、別サービスに転用するという例もあります。中でも「M-PESA」は、いまだ銀行が普及していないアフリカ諸国において、安全に決済・送金を実現するシステムとして一定の地位を得てきているといいます。

このように、文化や習慣の違いは国ごとにあれど、「遠隔地コミュニケーション」を(安価かつ手早く)実現するための手段として、携帯電話はますます重要な存在となっていくことでしょう。

モバイル普及を後押しする施策も

世界でのインターネット利用率をさらに高めようという動きも、大手IT企業を中心に進められています。世界最大手SNSであるFacebookが主導する「Internet.org」は、主に発展途上国におけるインターネット接続率を改善するための取り組みです。具体的には、現地の通信事業者と提携し、特定サイトにのみパケット通信料課金なしで接続するためのアプリを公開しています。2014年8月にまずザンビアで導入され、その後も「ネットワーク中立性」への懸念などに応える形で、対象地域を拡大させています。

インフラ構築の面では、Google傘下の「Project Loon」が有名です。Wi-Fiアクセスポイントを取り付けた気球を空中に漂わせ、地形の影響などでケーブルの敷設や基地局(鉄塔)が建設できない地域においてネット接続を実現させようというものです。2013年にニュージーランドで実験を開始し、その後もインドネシアなどで取り組みが続いています。

経済上の理由でそもそも携帯電話を入手できない人々はどうすればいいでしょうか? この点はかなり改善が進んでいて、特にAndroidスマートフォンは極めて安価なモデルが市販されるようになってきました。Googleが端末メーカーと共同で展開する「Android One」プラットフォームはその最たる例です。2014年に発売されたモデルは、ストレージ容量4GB・500万画素カメラで100米ドル前後とのこと。スペックをグッと抑えつつ、まずはともかく使ってもらえる・買ってもらえる端末になってきています。

人口減の日本ではIoTが躍進?

翻って日本ではどうでしょうか? 電気通信事業者協会(TCA)の発表によると、国内主要3社の携帯電話契約は2015年度末の時点で1億5,648万件。2016年6月1日時点の総人口が1億2,696万人(概算値)ですから、1人1台をちょっとだけ上回っています。仕事用と個人用で使い分けている人も身近にたくさんいらっしゃるでしょう。

総務省は「平成26年(2014年)情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の結果を発表しています。約2年前の調査となりますが、それでも既にスマートフォンの全年代利用率は62.3%。フィーチャーフォン(ガラケー)の42.2%を上回っています。

とはいえ、日本で気になるのは少子化問題です。各種統計調査でも、人口減少社会への転換は明らかとなっており、これに引っぱられる形で携帯電話契約数は横ばい、ないし右肩下がりになることが予想されます。

ただ、この状況に一石を投じそうなのが「IoT ( Internet of Things ) 」です。ありとあらゆるモノをインターネット接続させるという概念で知られ、例えば外出先から電源オン/オフや温度調節ができるエアコン、計測値を自動でクラウドへアップロードする体重計は既に現実のものとなっています。

さらに増加が予想されるのが、人をいっさい介さない機械間通信、いわゆる「M2M ( Machine to Machine ) 」です。電力やガスの量を自動で検針してくれるスマートメーター、在庫状況を自動で管理者に通知する自動販売機などが今後身近になっていくと思われます。

大手調査会社であるIDC Japanでは、国内のIoT市場が2020年まで年間平均成長率16.9%で成長し、13.8兆円に達すると見込んでいます。

国内IoT市場 ユースケース(用途)別/産業分野別予測を発表 (IDC Japan)

ネットが進化してもセキュリティへの懸念は変わらず

スマートフォンやIoTの普及で人間社会はますます便利になっていくでしょう。その一方で、大きな懸念となっているのがセキュリティです。

ネットの歴史は、マルウェア(悪質な被害を与えるプログラムなどの総称)との戦いの歴史です。日本におけるブロードバンド普及期である2000年前後には、いわゆる「マクロウイルス」が猛威を振るいました。定番ビジネスソフトであるMicrosoft Officeのマクロ機能が悪用され、「データファイルを開いただけなのに被害を受ける」という事態が生まれてしまいました。

その後も、悪意ある第三者による攻撃はますます悪質化・多様化していきます。ワンクリック詐欺のよう金銭詐取、パスワードの使い回し癖を突くアカウント乗っ取りの手口まで増加してしまいました。

そして現時点で大きな脅威となっているのが標的型攻撃です。一般に、マルウェアとかサイバー攻撃と呼ばれるものは、普及したプラットフォームを狙って無作為に広まるのが普通でした。利用者数が多いからMacではなくWindowsを、あらゆるブラウザーで採用されているからFlashの脆弱性が狙われる、というのが当たり前だったのです。

標的型攻撃は、その発想とは真逆。ある特定の企業・団体の秘密を奪いたいから、その組織に最適化した手段で攻撃するのであって、その攻撃方法は多岐に亘ります。正規パスワードを盗むためにメールを従業員それぞれに送りつけたり、はたまたネットワーク構成を徹底的に調べ上げられて脆弱性を突かれたり…。攻撃方法がごくピンポイントなため、ネットに流布するマルウェア全般の対処を優先したセキュリティソフトではこれらの脅威を検知できない可能性も高くなります。2015年の日本年金機構の情報流出は、まさに標的型攻撃によるものでした。

その一方、2014年に起きたベネッセの情報流出は、内部関係者による不正な情報持ち出しの事例とされています。さらにIoTに関して言えば、三菱自動車製の特定車種において、外部から無線LANを使って第三者にヘッドライトや空調を操作されてしまうという例が確認されました。

このように、セキュリティと一口に言っても、実はその症状・対策は全くもってケースバイケースです。特にIoTは、無限の可能性を秘めた理念だけに、何かあった場合の被害拡大が懸念されます。

とはいえ、セキュリティへの懸念ゆえにネットをいっさい使わないという選択肢は、おそらくあり得ません。自動車の安全確保は、交通法規の制定に始まり、次第にエアバッグなどの運転者保護、衝撃吸収型ボディによる歩行者保護、そして最新の自動ブレーキへと段階的に発展してきました。インターネット、ひいてはモバイルもまた、今後生まれうる脅威に警戒しつつ、最新の対策を施しながら、進化していきます。そのためにも、私たち1人1人が常日頃からセキュリティを意識していきましょう。

協力メディア

クラウド Watch (http://cloud.watch.impress.co.jp/)

「数字で理解するテクノロジーの進化と真価」協力予定メディア

ビジネス・IT系のメディアとの「数字」を切り口にしたコラボレーション記事です。ご期待ください。

プレジデントオンライン/JBpress
1月中旬に公開予定

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