2020年における全世界のデジタルデータ量は?

答え:44ZB(ゼタバイト)

IT機器の普及によって、生活はどう変わったでしょうか? フィルム式のカメラを使わなくなった? 手書きの機会が減って漢字をすっかり忘れてしまった? 友達の連絡先は全部携帯電話に入っていて電話番号そのものは思い出せない? そうやってあらゆる情報がデジタル化し、クラウドへ集積していく中で、地球全体のデータ量もまた爆発的増加を遂げているのです。(クラウド Watch特約)

[2016年 9月26日公開]

ITの世界では何事も「加速度的」と言うけれど……

人は1日にいったいどれくらいの「デジタルデータ」を産み出しているのでしょうか? 例えば仕事でメールを書くとして、1通の字数が全角500文字ならおよそ1KB。それが10通なら10KBになります。加えて、表計算ソフトで営業成績を計算したり、クリップアート付きのプレゼン資料を作ったりすれば、それこそ数MBのファイルがドンドンできあがることでしょう。

また、仕事が終わればプライベートでメールを書いたり、SNSに短文を投稿したりすることもあるでしょう。そしてなんといっても大きいのが写真です。1,000万画素のスマホカメラで写真を1枚撮れば、それだけでもう3MBは普通。食べた料理の写真を全て撮り、飲み会でセルフィーを撮りまくる方なら、1日で50MBを下らないはずです。

パーソナルな視点からみても、これだけのデジタルデータが蓄積されていくわけですから、企業間取引の現場ではさらに膨大なデータが生まれていきます。発注書や納品書のように、従来なら紙でのやりとりが当たり前だった書類は近年急激に電子化していますし、サーバーの通信ログはもちろん、作業の証跡になるようにデジカメ画像を添付するなんて例は、おそらく20世紀の段階では到底考えられなかったでしょう。

このように、個人・企業が産み出すデジタルデータは年々増加していきます。世界でも最大手のストレージ開発企業である米EMCコーポレーションでは、IDCと共同調査の結果、地球上で生成されるデジタルデータの年間生成量が2013年は4.4ZBであったのに対し、2020年には10倍の44ZBに達すると予測しています。

そもそもGB(ギガバイト)の何倍?

EMCではこの「全世界の1年あたりのデジタルデータ生成量」を「デジタルユニバース」と表現しており、直近の2014年の発表によれば「2年ごとに規模が倍増」していると言います。

さて、ITに詳しい方ならMB(メガバイト)やGB(ギガバイト)という単位は既におなじみでしょうが、さすがにZB(ゼタバイト)は初耳という方も多いでしょう。PC用のハードディスクではTB(テラバイト)という表記が比較的身近ですが、そのTBの1,000倍がPB(ペタバイト)。さらにその1,000倍がEB(エクサバイト)、その1,000倍がようやくZB。つまり、44ZBとは44兆GB。実に途方もない数値なのです。

ここまで来ると、もう市販の8桁表示電卓では到底計算しきれないレベル。EMCが挙げる一例としては、仮に全データを厚さ7.5mmのiPad Air(容量128GB)に分割保存するとして、その実機を積み上げていくと高さは25万3,704kmに及び、これは地球と月までの距離の約3分の2。また、平均的な世帯では容量32GBのiPhone65台分に相当するだけのデータ量を既に産み出していますが、これが2020年には318台分までに増加するとみられます。

爆発的データ増加要因の一つ「IoT」

我々の実生活を振り返ってみても、確かにデータ量がドンドン増えていくことは理解できます。しかし、ここまでの規模に達する要因とは何なのでしょうか?

その答えの一つがIoT(Internet of Things)です。これまでなら単独で動作していた電機製品がインターネットに接続されることで、新たなパラダイムシフトが起こると考えられ、IT・産業界を中心に期待を集めています。

これまで単独で動作していた機器がインターネットに接続されるわけですから、それだけでも単純にデータ量は増えていきます。そして「モノのインターネット」という訳語からも分かるように、朝起きて夜眠るといった人間の生理を一切無視したような活用が想定されます。24時間連続稼働などは前提中の前提でしょう。

IoTは極めて広範な概念であり、その定義は人によっても異なります。ただ、比較的身近な具体例としてはスマートメーターが挙げられるでしょう。これまで一般に、電力検針用のメーターは毎月1回、係員が客先へ実際に足を運び、目視でその数値を確認していました。人海戦術あってこそのシステムです。

対してスマートメーターは、内蔵された通信機能で電力使用量を逐次測定し、電力会社に送信します。係員の負担が当然減るだけでなく、機器の高度化によってたとえば1時間ごとの電力使用量などが容易に測定できるようになります。当然、ログに類するデジタルデータは従来より増加するでしょう。

実際のところ、2016年4月にスタートした一般家庭における電力自由化は、スマートメーターの利用を前提としたシステム設計がなされているといっても過言ではありません。これにより、電力会社の切り換えといった諸々の手続きも効率的に行えるわけです。

実は身近なIoT~もう既に使っているかも?

もっと身近な例で言えば、ネットワークカメラもまたIoTの一つのカタチです。自宅に設置して別室あるいは屋外から赤ちゃんやペットの見守りに使えます。

ITに詳しい人からは、こういった用途について「何を今さら言ってるの。こんなこと何年も前からできるじゃない」という声も聞こえてきそうです。ただ、よくよく考えてみますと、果たして10年前に1万円でネットワークカメラが買えたでしょうか? 当時全盛のフィーチャーフォン(ガラケー)の小さな画面で、赤ちゃんの微細な表情を確認できたでしょうか?

つまり、機器の低価格化や周辺デバイスの普及度によっても、IoTへ求められる要素も変わってきます。おそらく今後、ネットワークカメラに対してはさらなる高度化が求められるようになり、たとえば動態反応があったときだけ撮影を行うといった現在の技術レベルを超え、顔判別で今誰が家にいるか分かるようになったり、車に設置するドライブレコーダーをネットワークカメラのように扱えたり、さらなる進化が考えられます。

医療・健康も期待される分野でしょう。「ウェアラブルコンピューティング」の領域で語られることも多いですが、歩数計・運動量計・血圧計・心拍計・体重計はIoTの王道と言えます。

健康は全ての人類が追い求める要素。注目度は極めて高い一方、研究には多大な時間とコストがかかります。これらを最小化するため、IoTは有効な技術となっていくはずです。

増えていくデータの「分析」がますます重要に

ネットワークへ接続する機器がそもそも増加していく傾向があるのに加え、扱うデータについてもテキストから静止画、そして動画へと高容量化する現状を鑑みれば、2020年のデジタルデータ量が現在の10倍になるという予測も、ある意味当然かもしれません。

ただ、データ容量が過大になるということは、当然問題も発生すると考えられます。まず思いつくのはストレージのコスト。データが生成されるスピードはそれこそ天井知らずですが、保存にはハードディスクなり磁気テープなり、なんらかの媒体が必要になる以上、コストも発生します。もちろん、このデータを送受信するための回線費用も無視できません。

そして、それ以上に問題となるのが「集めたデータをどう活用するか」という点です。IoTによって集められたデータはまさに「ビッグデータ」そのもの。センサー技術はますます発展していますから、POSレジにおける購買者像の特定といった段階を超え、店舗内で客がどんな導線を通って売り場までやってくるかといった「人流」の解析も視野に入っています。

しかし、データが集まっただけでは意味がありません。「銀座のデパートで日曜午後に紳士服を買った人がスイーツ売り場にも足を運ぶ確率は75%」「そこで買うケーキの平均単価は1個800円以上」といった、数字に隠れた法則性を見つけることこそがビッグデータの意義です(この数値はあくまでも架空ですので念のため)。

この法則を、まるで知見がないゼロの状態でどう見つけ出すのか。最初のうちはトライ&エラーを繰り返すしかありませんが、分野の深化にはコストパフォーマンスの向上がかかせません。分析の専門家の育成はもちろん、AI技術の普及も求められていくでしょう。

人口減少社会を補う必須テクノロジーに?

IoT、ビッグデータ、クラウドは密接に関連しており、どれ一つとしてかかすことのできない技術です。しかし、車の自動運転のような、人間の生命をも左右する技術の確立には課題も多いとされます。たとえば、サーバーとクライアント間の通信速度はウェブ閲覧には現在の技術で十分かもしれませんが、カメラ・センサーによる周辺環境把握をハンドル操作へと反映させるという観点では決して十分とはいえず、ましてやクラウドと連携させるとなると、わずかな遅延が問題になり得ます。

そこで近年、「エッジコンピューティング」が注目されるようになってきました。ネットワーク構成的にはよりクライアントに近い「エッジ」(末端)に専用サーバーを構築し、そこで直接処理したり、あるいはIoTとクラウドを仲介することで通信遅延を抑止したりするという発想です。

現状のIoTやビッグデータは、必ずしも完璧な存在ではありません。とはいえ、人口減少が既に始まった日本社会では、働き手の確保という観点からも先進ITやロボット技術を無視できなくなるでしょう。人手不足をIT技術で補う───そんな社会の実現に向けて、本気で歩み出す時期が到来したのかもしれません。

協力メディア

クラウド Watch (http://cloud.watch.impress.co.jp/)

「数字で理解するテクノロジーの進化と真価」協力予定メディア

ビジネス・IT系のメディアとの「数字」を切り口にしたコラボレーション記事です。ご期待ください。

プレジデントオンライン/JBpress
1月中旬に公開予定

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