日本の「ICT発展度」は世界第何位?

答え:第11位

GDPで世界第3位の経済規模を誇る日本だが、ICTの普及という面での評価は意外に低い。一方でICTの活用と企業業績は比例するといわれ、また、日本のICT産業の世界的な存在感が薄れつつあるという印象も強い。日本のICT発展度をどう見るべきか、国際的なランキングをもとに考えてみたい。(プレジデントオンライン/JBpress特約)

[2016年10月24日公開]

三つの領域でICT発展度を比較

国連の国際電気通信連合(ITU)が2015年11月30日に、「Measuring the Information Society Report 2015」というレポートを発表した。「IDI」(ICT Development Index)という指標に基づいて各国のICT発展度ランキングを毎年発表するこのレポートで、日本は11位にランク付けされた。

この11位という数字をどう受け止めれば良いのだろうか。GDP世界第3位の国として考えれば、もっと高くても良いはず、という見方もあるだろう。だが、それは早計だ。

IDIのランキングでは、アメリカは15位。中国に至っては82位でドミニカやモルディブより下位に甘んじている。ちなみに1位は韓国、2位がデンマーク、以下、英国、スウェーデンと続く。

IDIの比較領域は大きく三つに分かれている。「ICTアクセス」と「ICT利用」、そして「ICTスキル」だ。

ICTアクセスで問われているのは、固定電話や携帯電話の契約率やインターネットの帯域幅、PC保有率、世帯別のインターネットへのアクセス率など、インターネット利用のためのインフラ環境の充実度である。1位はルクセンブルクで、アイスランド、香港と続く。インターネット環境が整っているといわれる韓国は9位で、日本は11位だ。

次のICT利用の個別指標は、インターネットの利用率とブロードバンド回線の契約率。この領域の上位は1位がデンマーク、次がノルウェイ、3位が英国、4位が韓国だ。日本は10位に位置する。

そして三つ目の比較領域はICTスキル。具体的には成人識字率、中等教育就学率、高等教育就学率の三つから成る。実はこれが日本にとって最も大きな問題となっている。この分野における日本のランキングは35位。チリやモンゴルより低い。高等教育就学率は韓国の98.4%、デンマークの79.6%、アイスランドの81.4%と比べて、日本は51.5%に過ぎない。

ICTの活用という面でも世界から後れをとる日本

IDIは2007年から毎年行われてきた調査で、日本は2011年の8位が最高である。このランキングからどんなことが分かるのだろうか。

まずこの調査は、あくまでもICTの利用者側についてのランキングであることには留意しておきたい。三つの領域で比較しているのは、ICTがどれだけ身近にあるのか、どれだけ利用されているのか、利用技術が備わっているのか、という点だ。

結果を見ると、アメリカや中国、ドイツ(14位)といった経済大国ではなく、韓国、デンマーク、アイルランドといった比較的小さめの国で、ICT環境が充実している国が上位を占めている。経済規模や「国力」につながる調査項目はない。「ICTでどれだけ経済を活性化し、国力を高めているかが大切なのではないか」という指摘も聞こえてきそうだ。

それでは、日本の企業はこれまでICTを活用してきたのかといわれると、決して威張れるものではなさそうだ。世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表している「ICT競争力ランキング」では、2005年の8位を最高に、10位そこそこから20位あたりを行ったり来たりしている。2015年はなんとか10位に入り、2014年の16位からランクアップした。

だが、世界経済フォーラムの国際的な競争力のランキングでは、日本は6位につけている。日本のICTは、実経済の実力より後れを取っていることが分かる。「経済力に比べてIT投資が少ない」といわれ続けてきた日本の姿が、ここでも裏付けられたといえそうだ。

実際に総務省の調べでは、日本、米国、英国、ドイツの4か国の中で、設備投資全体に占めるICT投資の割合は日本が一番低く、2000年に入ってからその差が急速に開きつつある。

効率化の追求だけではなく攻めの活用を

日本政府や日本企業はICTを軽んじてきたわけではない。日本政府は常にIT戦略を国家戦略の中心に位置づけ、IT立国を目指してきた。2000年にはe-Japan構想が掲げられ、高速の情報通信網が全国で拡充された。2009年ごろにはICTインフラの分野で断トツの1位の評価を得たこともある。

2013年には安倍政権が「世界最先端IT国家創造宣言」を採択。それから毎年、内容が改定されてきた。そこでは、電子政府化による行政サービスの向上やマイナンバー制度導入による利便性の向上、行政のデータを一般に開放するオープンデータの活用、IT活用による農業の国際競争力の強化などが“これまでの成果”として謳われている。

だが、これらは本当に成果を上げてきたのだろうか。確かに役所の手続きが便利になり、スピーディーになった部分もある。オープンデータでは少数ながら意欲的なアプリケーションも生まれてきた。しかし、マイナンバーは、運用方法が直前まで変更されたり、カードの発行業務に手間取ったりするなど、評判は決して良くない。

企業にとっても政府にとっても、最も大事なことは、ICTでどんな新たな価値を生み出すのか、ということだろう。これまでのように効率化ばかりを追求していると、どうしても“守りのICT活用”になる。

“攻めのICT活用”をしている国の例として、バルト三国の一つであるエストニアがある。エストニアは1991年に旧ソ連から独立して以来、短期間のうちにIT立国として躍進を果たした。同国が挑んだのは、世界初のインターネットによる国政選挙をはじめ、既成の枠にとらわれないICT活用だ。国民IDカードは、運転免許証にもバスの定期券にもなる。便利だから国民はどんどん利用する。それが徹底されることで、デジタル化された小さな政府が出来上がる。

「おもてなしの国」といわれる日本だが、各国のサービスが進化していく中で、日本も新たなサービスの価値を生み出していかないと看板倒れになりかねない。2020年の東京五輪に向けてサービスレベルを向上させ、本当のおもてなしの国になるために、ICTのイノベーティブな活用が望まれている。

協力メディア

プレジデントオンライン/JBpress

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1月中旬に公開予定

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