プリペイド式電子マネーの国内発行枚数は?

答え:3億2,000万枚

電車に乗る時やコンビニでの会計などで、小銭や財布を探すことなくピピっと支払いを済ませられるのは、何とも便利なもの。今、キャッシュレスで電子的に決済ができる仕組みが急速に普及しています。日本の現状と展望とはいかに。(IT Leaders特約)

[2017年 1月20日公開]

普及に加速がつくプリペイド式のICカード

今日は仕事が立て込んでいるから、お昼はコンビニで済ませよう。好みの弁当と飲み物を手にしてレジに向かい、いつも小口決済に使っているICカードをリーダーにかざせば、独特の電子音が鳴ってお会計は完了! 今や日常的に見かけるようになったシーンです。

もし、現金以外に支払い手段がなかったとしたら、人手を介した小銭のやり取りに時間がかかり、ただでさえも混雑する昼休みのコンビニには、レジの前に今の何倍もの長蛇の列ができていることでしょう。ICTの進化と普及が、我々の暮らしをより便利でスマートなものへと変えていることを実感できる一コマです。

では、いわゆる電子マネーとして使われているプリペイド式のICカードは、どのぐらい発行されているのでしょうか。2016年12月に公表された日本銀行の決済動向を参照すると、その数は約3億2,000万枚に達しています。この数字は、「Suica」「ICOCA」「PASMO」などの交通系、「nanaco」「WAON」などの流通系、そして専業系の「楽天Edy」の実績を集計したもの。単純計算で国民1人あたり2~3枚所有していることとなり、そろそろ飽和状態かなとも思いますが、実際にはまだ月間200~300万枚ほどの増加傾向にあるようです。

日本銀行の決済動向

これらのカードには、媒体自体に貨幣価値を持たせる非接触IC型電子マネーに分類され、無線通信やセキュリティなどを含むシステム全般としてソニーが開発した「FeliCa」という技術が採用されています。カードをかざすリーダー/ライターとのデータのやり取りを瞬時にこなすことができるのがFeliCaの最大の特長で、それ故に特に国内では、電子マネーや交通乗車券、IDカードなど、レスポンスが要求される領域で適用が進んでいます。

先進国の中で日本はまだ現金主義

いちいち財布から紙幣や小銭を取り出さなくても支払いができるという観点では、ほかにも幾つもの手段が提供されているのが昨今の状況。貨幣価値をサーバーサイドで管理するタイプのプリペイドカードとしては、特定の飲食店や小売店が発行しているハウスカード(例:スターバックスカード)や、MasterCardやVisa、JCBのロゴが入った国際ブランドのカード(例:おさいふPonta)などがあります。

そのほか、買い物と同時に口座から使用額が引き落とされるデビッドカードや、キャッシュレスでの支払いという点では歴史が長いクレジットカードも含めて、電子決済の方式はしばらくは多様化の道を歩みそうです。

こうして見ると、日本でも電子決済の比率がかなり高まっているようにも思えますが、実態はどうなのでしょう。参考材料を調べていると、興味深いデータに出くわしました。それは、クレディセゾンが2016年3月期の決算説明会の際に公開した資料の中にある「日米の個人消費に占める決済手段別シェア比較」です。日本においては経済産業省や各種リサーチ会社の公開データを元に、米国においては決済業界に特化したメディアThe Nilson Reportのデータを元に、2014年度の実状を同社が独自推計した参考値ですが、おおよその状況をとらえることができます。

日米の個人消費に占める決済手段別シェア比較

それによると、日本ではクレジットカードやデビットカード、電子マネーカードによる支払いは、まだ20%ほど。現金払いが半数を超え、まだまだ主流であることが伺えます。一方の米国はというと、前者が60%近くを占め、後者は2割を下回っている状況です。

米国は世界でも突出したカード先進国というイメージが強いかも知れませんが、さにあらず。国際ブランドVISAを展開するビザ・ワールドワイド・ジャパンが2016年2月に開催した戦略説明会の場では、興味深いデータに言及がありました。個人消費支出に占めるカード決済の比率を国際比較したもので、それによると、韓国やカナダ、オーストラリア、中国が米国を上回っているとのことです。

2020年に向けて日本の電子決済環境が大きく変わる!?

日本において現金払いが主流となっている背景には、従来からの商習慣や国民性などいくつもの事情が絡み合っているといえそうですが、グローバル、特に先進国のトレンドとしては電子決済の勢いが加速していることは間違いありません。

観光立国として外国人の訪日機会を増やしたり、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを一つの契機に日本の洗練度をアピールしたりするには、さまざまな場面において諸外国の人々が安全かつ便利に電子決済できる環境の整備が不可欠です。第二次安倍内閣が掲げる成長戦略として2013年に閣議決定され、改訂を重ねている日本再興戦略においても、観光地や地方のキャッシュレス環境の普及などを推進することが盛り込まれ、今まさに取り組みが進んでいるところ。そこを強く意識して世の中を見ていれば、ここ数年に起こるであろう決済環境の変化に気づくことでしょう。

もちろん、技術も市場ニーズも常に変化するものであり、“これが最終形”というものはありません。ただ、短期的にとらえれば、人々が常に持ち歩いているスマートフォンやウェアラブルデバイス、あるいは生体認証などによって、いつでもどこでも、本人が望む支払い方法で決済できるという仕組みの整備が進化の一つの方向性になるのではないでしょうか。

また一方では、ブロックチェーンが代表するように、決済を含む金融業界に大きなインパクトをもたらす基礎技術も胎動し始めました。人類が、物々交換に代わる経済取引の仕組みとしてあみ出した“お金”のやり取りの姿が大変革期を迎えているだけに、テクノロジーの動向から目が離せません。

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