前年より75%増加した世界のフィンテックへの投資額は?

答え:223億ドル

金融とITテクノロジーを融合させて新しいサービスを生み出す「フィンテック(Fintech)」への関心が高まっている。そもそも金融商品は情報とテクノロジーによって生み出されてきた。それだけにITの力で破壊的イノベーションを成し遂げやすい世界だ。しかも、その広がりは金融機関を超えて、社会的な仕組みまで変えようとしている。(東洋経済オンライン/JBpress特約)

[2017年 2月17日公開]

急成長するフィンテック、銀行の敵なのか味方なのか

金融ビジネスをITの力で変革する新たな金融サービス「フィンテック」(Fintech)が、世界中で急速に広がっている。その武器はかつてない利便性の良さであり、圧倒的な低コスト化の実現である。フィンテックが登場してきた背景には、ITリテラシーの向上とモバイルデバイスの普及、ITの進化などがある。

グローバルなコンサルティングファームのアクセンチュアが2016年4月に発表した調査によると、2015年のフィンテックへの投資案件は1108件に上り、投資額の合計は前年より75%増加して、223億ドルになったという。

急成長するフィンテックは、銀行にとって脅威になるのだろうか? 同調査では、サービスの提供先を主に金融機関とするフィンテックを「共生型」とし、自ら市場に参入して金融機関と競合するフィンテックを「破壊型」と定義して、それぞれへの投資額を比較している。

今回の調査結果からは興味深い傾向が読み取れる。2010年と2015年の投資額の比較で見ると、北米では共生型フィンテックへの投資が40%から60%に増えている。

日本でも共生型が勢いを増している。日本の代表的なフィンテックアプリケーションである個人向けの資産管理ソフトを提供する「マネーフォワード」は、銀行との連携を加速させている。2016年10月にはみずほファイナンシャルグループなど、提携銀行などから11億円の資金を調達している。既存の金融機関と連携した方が機能を充実させやすいのは当然だろう。

一方、欧州やアジアでは破壊型フィンテックへの投資が全体の8割を超えている。欧州では2010年に62%だった破壊型フィンテックへの投資が、2015年には86%を占めるようになった。

同調査では、この違いの原因として、「特にロンドンを除く欧州・アジア地域でフィンテック市場が未成熟であることを示唆」していると指摘する。市場が未成熟なところでは、金融サービス自体が普及していないため、金融機関に代わる機能を果たすものとしてフィンテックが捉えられているというのだ。

Webサイトも持たないアプリだけの銀行も登場

グローバルに見れば、これまでの金融サービスを覆すような破壊型フィンテックの活動が活発化している。2014年にはイギリスでアプリケーションだけの銀行である「Atom Bank」が銀行業の免許を得て開業した。店舗はもちろん、ウェブサイトすら開設せずに、スマホやタブレット上だけで営業する銀行だ。

「スマホの中だけの銀行なんて信用できない」 そんな声が聞こえてきそうだが、果たしてそうだろうか。モバイルバンキングに抵抗を感じない人も増えているし、スマホの認証機能を使うことでセキュリティも確保できる。Atom Bankがスマホだけに絞ったのは、その方がセキュリティを確立しやすいと考えたからだとも言われている。

Atom Bankが成功するかどうかは不透明だが、銀行という金融ビジネスの根幹の構成要素が大きく変化してきていることは見逃せない事実だ。

お金を預かり、融資して、決済する。これが銀行の本質的な役割である。その意味で、銀行はサービス業である。しかし、実際に銀行を開業するためには、さまざまな“設備”が必要だった。現在の銀行には立派な店舗があり、窓口があり、ATMが設置されている。もちろん、奥には堅牢な金庫が鎮座している。銀行はサービス業でありながら、実は設備産業だったのである。この高いハードルをITが変えつつある。スマホやPCがあれば、金融サービスを行うアプリは誰にでも開発できるのだ。

確かに預金や貸付は厳しい規制があって参入は難しい。そこでは既存の銀行やクレジットカード会社などが持つ機能を利用することになる。だからこそ持ちつ持たれつの関係が生まれる。「共生型」の投資が拡大している理由もそこにある。

では、銀行はいつまでも安泰なのかと言えば、必ずしもそうとは言えないだろう。銀行の持つ機能の多くはフィンテックに移行していく。例えば、融資という面でも大きな変化が起きている。世界最大の通販サイトを運営するアマゾンでは、2014年からアマゾンで物品を販売する事業者向けにローンを提供する法人向けの融資サービス「Amazon レンディング」を開始した。同様のサービスはスマホでのクレジット決済サービスを提供する「スクエア」でも始まっている。

これらの新しい融資サービスの特長は、迅速な審査でスピーディに融資を実行できることだ。日々の決済情報という独自のデータを活用することで、それが可能になった。利用者からすれば、面倒な手続きを踏むことなく、手軽にお金を借りられる。お金そのものは銀行にあっても、その姿は利用者から見えなくなっていくのである。

お金の流れを変えることで新たな価値がもたらされる

こうしたフィンテックの波は、保守的で銀行への信頼が厚い日本市場にも大きな影響を与え始めている。昨年後半から広がっているスマホでの決済サービス「モバイルペイメント」の本格化もそれを象徴していると言えるだろう。LINEが提供する「LINE Pay」、アップルが提供する「アップルペイ」、グーグルが提供する「アンドロイドペイ」など各社が続々とサービスを開始している。

注目したいのは、これら全てが金融機関ではない異業種からの参入であることだ。しかも、いわゆるネット企業である。異業種からの参入といっても、従来からある“多角化”とは本質的に違う。あくまでも本業の延長線上で金融サービスを展開しているのだ。本業とのシナジーでこれまでに世の中になかった価値を提供するのが狙いである。

LINE Payであれば、LINEで食事に行く仲間を募り、LINE Payで簡単に割り勘ができるようになる。LINEのユーザにとっては「便利になった」ことが嬉しい。アップルペイではクレジットカードだけでなくSuicaも使える。Suicaを登録しておくことで、交通費の支払いはもちろん、コンビニなどでも買い物ができる。追加入金もスマホの操作でいつでも簡単に行える。こうした利便性は今までにはない付加価値につながり、ますます利用者が増えていくことだろう。

前述したように銀行の本質的な役割は、お金を預かり、融資して、決済することだ。融資サービスはすでに始まっていて、決済サービスも次々と生まれて急速に普及していることはすでに述べた。残るのは預金だ。

しかし、ここでも次なる展開が待っている。“仮想通貨”である。日本ではブームが沈静化したと思われているビットコインだが、実は世界では着実に広まっている。フィンテックと仮想通貨は共にデジタルデータの取引であり、相性がいいことは言うまでもない。銀行の持つ3つの本質的役割のすべてが、フィンテックに移行する日もそれほど遠い将来ではないかもしれない。

フィンテック投資は、欧州とアジアが世界市場を牽引し、2016年も継続して拡大(アクセンチュア最新調査)

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