2040年の全世界における発電電力量は?

答え:36兆4,500億kWh

米国政府のエネルギー情報局(EIA)の予測によれば、2040年の全世界における発電電力量は36兆4,500億kWhになるという。2012年には21兆5,600kWhだったので、現在の約1.5倍を超える量だ。これは、それだけ電力消費量が増えていることを示している。電力消費量は、先進国で抑制されても、発展途上国の増加分があるため、依然として増加基調が続く。地球温暖化にも影響する電力消費に対して、ITはどんな役割を果たすことができるのだろうか。(プレジデントオンライン/JBPress)

[2017年 3月 3日公開]

今後も増加し続けると予測される電力消費量

2016年5月に米国政府のエネルギー情報局(EIA)が公表した2016年版の報告書によれば、2005年から2012年まで年率3.2%のペースで伸びてきた全世界の発電電力量は、2012年からは2040年に向けて年率1.9%平均に鈍化する。一方、発展途上国では3.3%のペースで増えていくという。予測値はGDPの成長率を元に算出されているので、そうなるのも当然といえる。

生活が現代化すればするほど、電気への依存度は高まる。今の日本ではあらゆる活動が電気を抜きには考えられない。東日本大地震の計画停電で、電気がなければ日本の社会は成り立たないことを痛感した人も多いはずだ。

問題は電力源をどう確保するか、である。EIAの報告によると、今後、全世界の電源構成は、水力発電や風力発電、太陽光発電などの再生可能エネルギーと、CO2排出量が比較的少ない天然ガスによる発電量が増加し、地球環境への負荷が大きい石油や石炭のシェアは低下していくと見られている。

2012年、石炭による発電シェアは全世界の発電量の40%を占めていた。これが2040年には29%まで小さくなる。その時点の再生可能エネルギーによるシェア予測と同等である。

再生可能エネルギーの中でも成長率が最も高いのは太陽光発電で、年率8.3%で増えると予測されている。次いで風力発電が6.7%と続く。

太陽光発電と風力発電の割合が増えることは地球温暖化問題にとっては朗報であろう。しかし、最も伸びが大きいとされる太陽光発電でも、発電量全体のわずか2.6%にしか過ぎないのだ。

一定の成果を上げたGreen ITという取り組み

実は、電力の消費量とITとは密接な関係にある。

「Green IT」という言葉が使われるようになったのは2006年頃のことだ。地球温暖化につながる温室効果ガスの排出削減の枠組みを決めた京都議定書が2005年に発効し、2008年からその実施が義務付けられていた。まさに省エネルギー対策は“待ったなし”の状況だった。

こうした中で提唱されたGreen ITには、二つの側面があった。電力を消費するIT機器やデータセンターなど、ITそのものの省エネルギー化を進める「Green of IT」と、ITによって電力消費の削減を実現する「Green by IT」である。この枠組みは現在も変わらない。

「Green of IT」としては、PCやサーバーの省電力化に加え、サーバー統合による電力消費の削減、データセンターの設計変更による運用にかかる電力消費の抑制などがある。ユーザー企業側としても、省エネ設計されたIT機器を導入するなどして、Green of ITに貢献した。

メーカーサイド、ユーザーサイド双方の努力の結果、Green of ITは着実に成果を上げている。ミック経済研究所が2015年12月から翌年の2月にかけて実施した「データセンター市場と電力消費・省エネ対策の実態調査」によると、2015年度の国内のデータセンター市場は、前年比8.0%増でありながら、電力消費量は7.6%増に留まった。売り上げの伸びを電力消費の伸びが下回ったことになる。

ちなみに同調査では、大きな削減効果が期待された省エネ対策として、外気を直接サーバールームに取り入れる「外気冷却」を挙げている。直接外気冷却システムを利用しているデータセンターでは、部分的ではあるが一定の省エネ効果が得られているという。

データセンターで一番電力を消費するのは冷却にかかる電力である。そのため、以前は「寒冷地にデータセンターを移転してはどうか」という議論もあった。最近は冷却機能が強化された省エネ効果が高いデータセンターが増えたことによって、電力の消費量を抑えながらIT活用を加速させることができるようなった。

エネルギーの世界でも破壊的革命が起きる

もう一つの「Green by IT」はどうか。実はこちらの方が圧倒的に大きな省エネ効果をもたらしている。

2006年当時、想定されていたのは、ペーパーレス化による紙資源の消費の抑制や、テレビ会議システムやテレワークの導入による人の移動の抑制だった。こうした取り組みは、今ではどの企業でも当たり前に行われている。これらが大きな効果を上げていることは間違いない。

人や物の移動だけでなく、ITによって電力の消費を最適化する「BEMS」(ビルエネルギー管理システム)や「HEMS」(家庭エネルギー管理システム)といった取り組みも広がっている。あらゆるところで無駄なく電力を使うことが、今後さらに大きな省エネ効果につながるだろう。

ただし、Green ITの省エネへの取り組みは、いってみれば「守りの省エネ」の側面が強い。

もちろん、テレワークなどを活用してワークスタイルを変革することで、企業としての競争力を強化するという攻めの側面も持っている。しかし、世の中のあらゆる領域でITの役割が大きくなった今、もっと別の面でのITによる省エネ、つまり「攻めの省エネ」への展望も拓けつつある。

例えば、冒頭に取り上げた太陽光発電の発電量を増やす鍵は「太陽光をどれだけ電力に変換できるか」という変換効率にある。変換効率が2倍になれば、太陽光発電は同じ面積で2倍の電力を発電でき、2040年までの年率8.3%の伸びが単純計算で年率16.8%になるというわけだ。

ITの進化は、さまざまな世の中の常識を打ち破ってきた。コンピューターの処理能力は長足の進化を遂げ、かつてのスーパーコンピューターが今は手のひらサイズになり、なお進化し続けている。世界的な開発競争が続くスーパーコンピューターは今でも3年で約10倍に性能が向上している。

こうしたコンピューターが最も得意とするのは、分析とシミュレーションだ。10倍速く処理できれば、今まで1年かかっていた処理を1カ月程度で行える。3年で10倍になるのであれば、さらに3年後にはわずか10日程度でその処理を実行できる。そのスピードでシミュレーションと分析を繰り返せば、太陽光発電の変換効率を劇的に向上させ続けることも可能だろう。今では考えられない発電方法も実用化されるかもしれない。

ITの進化は、ビジネスの世界だけでなく、エネルギーの世界でも破壊的な革命を起こすことになるに違いない。

協力メディア

プレジデントオンライン/JBPress

記事と関連する製品・ソリューション

  • 電気代の削減

    電気代の削減をするには、まず現状を知ることから。今自社でどれだけの消費電力があるかご存じですか? 電力の「見える化」で現状把握すると、自社にあった電気代削減方法を見つけられます。

  • 新電力で電気料金を削減

    大塚商会は、高圧電力契約・特別高圧契約のお客様向けに電力プランをご提案します。電気の品質、安定した供給はそのままで、電力のコスト削減を実現します。