メディアの回廊

国内有力メディアが大塚商会向けに書き起こしたオリジナル寄稿記事をまとめてご覧いただけます。

日本のCIOの設置率は?

答え:29.5%(専任者はわずか3.3%)

経営とITはもはや切り離せないものと言われる昨今の状況に照らせば、IT戦略をとりまとめ実益に結び付けるうえでの指揮官となるCIO(最高情報責任者)が活躍する舞台は整っているはずだ。では、日本企業においてCIOの設置状況はどのような水準にあるのだろうか。(プレジデントオンライン/JBPress特約)

[2017年 1月10日公開]

“本当のCIO”が少ないのは、「必要を感じていない」から

「日本には本当の経営者がいない」と言われる。日本の伝統的な企業では、新卒で入社して、叩き上げで社長になるケースがほとんどだ。幹部候補生として業績を上げ、経営陣の1人に選ばれ、出世レースで勝ち残った人が社長になる。ただし、その会社の出世レースでは勝者でも、他社で通用するような経営者は少ない。これが「経営者はいない」と言われるゆえんだ。社長の肩書きは持っていても、欧米企業のトップのようなプロの経営者、つまりCEOではないというわけだ。

それでは最高情報責任者「CIO」はどうだろうか。やはり同じように「日本に本当のCIOはいない」のではないか。日本では15年ほど前からCIOという役職に注目が集まり、さまざまな企業のCIOの活躍が伝えられるようになった。そうした動きを見ていると、CIOの設置が増えているように感じられる。しかし、実態はどうも違うようだ。

それを示す調査結果がある。経済産業省の「情報処理実態調査」である。昭和44年から実施されていて、平成26年に実施された調査結果が、平成27年6月に発表されている。そこで明らかになった日本企業におけるCIO(この調査では「情報システム統括役員」)の設置率は29.5%に過ぎない。しかも専任者はわずかに3.3%だ。それ以外は他の役職との兼務とされている。実に7割の企業に兼任CIOすらいないことになる。

なぜCIOが置かれていないのか。この調査によると、第1の理由は「必要性を感じていない」である。CIOを設置していない企業の46.2%がそう回答している。次いで「必要だが対応できていない」という理由が23.7%だ。

一方、政府や地方自治体では、必ずCIO職を設置している。2000年のIT戦略本部が内閣に設置されるとともに、全中央省庁でCIOやCIO補佐官が設置された。地方自治体もこれにならって設置が進められた。2013年5月には政府CIO法(内閣法等の一部を改正する法律)が成立し、CIOに相当する「内閣情報通信政策監」職が新設されている。法律で縛られているから当然ではあるが、この部分だけをとればITガバナンスの体制は、企業より整っていることになる。

専門分野を持つ経営者の中でCIOの育成が最も難しい?

しかし、CIOを育成するのは、難しいのが実状だ。もしかしたらCEOよりも難しく、「C(□)O」の中で最も育成が難しいのはCIOかもしれない。なぜ、CIOを育てるのが難しいのか。CFOと比べてみると理解しやすい。

CFOとは「最高財務責任者」。言うまでもなく財務の専門家である。イメージとしては大学で商学部や経済学部などを卒業した新卒入社者が、経理部門や財務部門に配属され、実務をこなしながら、会社のお金についての専門知識を身につけていく。やがて、部門長になり、取締役になり、CFOに任命される。

別のコースも想定できる。銀行や証券会社などで金融の専門家として、企業への融資をしたり、企業買収や企業合併を手がけたりしてきた人が、CFOとして企業に入ることも多い。ベンチャーキャピタルなどからの転身組もあるだろう。

このように、お金の専門家としてのキャリアは分かりやすい。しかも、財務会計は企業の活動に通信簿をつけることであり、融資、買収、合併といった仕事は企業の経営戦略そのものである。常に経営現場の至近距離にいるので、経営者としての勉強も積み重ねやすい。特別な知識やスキルを持っており、なおかつ経営的なセンスがある人材を育てやすい。

一方、CIOはどうだろうか。CIOに求められる素養としてまず欠かせかないのが、ITについての知識や理解であり、ITをどう活用するかという知見だ。企業内でこうした素養を磨く近道は、システム部門に配属されることだ。そこでプログラミングやシステム設計のスキルを身につけ、システム開発プロジェクトを経験していく。

ただ、それだけでは、CIOに必要な経営者としての素養は身につかない。極論すれば、これまでシステム開発の現場で身につけられたのは、技術職としてのスキルでしかなかった。多くの企業にとっては、本流ではない領域のスキルである。そこに、経営的な視点が求められることはまれだった。だからCIOは育てにくかったのだ。

ITがビジネスの主役に、CIOを育成しやすい環境に

しかし、今、CIOを育てる状況は大きく変わりつつある。ITがビジネスの主役に躍り出てきたからだ。

例えば、クルマを1台も持たない世界最大のタクシー会社である「Uber」や、自前の部屋を持たない世界最大の宿泊サービス会社である「airbnb」のように、ITの力で世の中の常識を変えてしまうようなイノベーティブな企業も出現している。

既存の企業でも、経営におけるITの比重は急速に高まっている。金融業界では、ITを活用したFintechが、金融サービスの世界を変えようとしている。製造業でも、ITでモノづくりの方法を変革し高度化する“インダストリー4.0”が進行中だ。特に、自動運転が現実になりつつある自動車業界では、ITが製造工程を変え、業界構造を変え、サービスを変え、世の中における自動車の位置づけさえも変えつつある。

こうした変化を促しているのが、ビッグデータ、クラウド、アナリティクス、モバイルといったITの先進のトレンドだ。顧客の動きをリアルタイムに把握して、最適なサービスや情報を提供するというアプローチは、B2Cの領域だけでなく、B2B、あるいはB2B2Cの領域でも適用できる。つまりどんな企業でもITで収益強化を図ることができる。まさに今、あらゆる産業分野で、ITによるビジネス変革=デジタルトランスフォーメーションが起きているのである。

こうなるとCIOは育成しやすくなる。ITの役割は、効率化や自動化、コスト削減から、企業にとって生命線となるビジネスを生み出すことへとシフトする。IT戦略がビジネス戦略になり、ITを扱う専門家は経営に寄り添うようになる。この構図は先ほど説明したCFOの育成過程に近い。当たり前のように、ITの専門家が経営者目線を身につけていくことになるというわけだ。

冒頭で取り上げた「情報処理実態調査」では、専任CIOが存在している企業では「攻めのIT投資」の効果があったという結果も示されている。“本当のCIO”が増えることは、日本の企業に再び活力をもたらすはずだ。

協力メディア

プレジデントオンライン/JBPress

「数字で理解するテクノロジーの進化と真価」をもっと読む

記事と関連するソリューション・製品

  • 大塚商会のビジネスコンサルティング

    大塚商会では、これまで100万社にも及ぶお取引実績から得られたノウハウと、IT活用における確かな実績をもとに、お客様の「企業価値を高める」ためのさまざまなコンサルティングサービスを用意しています。

いまどきのIT活用のおすすめ記事

まずはお気軽にご相談ください。

製品の選定やお見積りなど、100万社ものお客様に支えられた多数の実績でお客様のお悩みにお応えします。まずはお気軽にご相談ください。

お電話でのお問い合わせ

【総合受付窓口】
大塚商会 インサイドビジネスセンター

0120-579-215(平日 9:00~17:30)

Webでのお問い合わせ

お問い合わせ

*メールでの連絡をご希望の方も、お問い合わせボタンをご利用ください。

ページID:00131513