2019年までにロボットに置き換わる業務の割合は?

答え:25%

わざわざ人手をかけてデータを再入力したり、誰がやっても同じ結果になるルーチンワークをこなしたりと、日々の仕事の中には、お世辞にも生産的と言えない業務があるものです。ここをソフトウェアで代替するテクノロジーとして注目されているのがRPA(Robotic Process Automation)。その最新動向とは?(IT Leaders特約)

[2017年 3月17日公開]

人手による再入力やルーチンワーク。PCに向かえど実態は「非生産的」業務!?

企業が先を争うようにして「1人1台のPC環境」を整え始めたのは、1990年代の半ば以降のことだったでしょうか。営業資料などのビジネス文書を作成したり、電子メールで報告・連絡・相談をしたり、各種の業務システムにデータを入力したり…。今やPCが無ければ、もっと言えば、コンピューターを活用した仕組みが無ければ、仕事は回らないと言っても間違いありません。

画面に向かいキーボードやマウスを軽やかに操作している姿は、いかにもテキパキと仕事をこなしているように映ります。当人にしても、少しでも効率的に仕事を進めようと懸命になっているはずです。しかしながら、PCに向かって作業している“中身”をつぶさに見つめ直してみると、「なぜいちいちこんな作業をしなくてはならないのだろう?」と思うような場面もしばしばあるのではないでしょうか。

例えば、外回りの営業担当者から送られてきたメール文面を見ながら受注システムにデータを転記する、顧客管理システムを検索して該当者に適用すべき割引率を目視で調べてから表計算ソフトで見積書を作成する、複数の業務システムから最新実績値を抽出し所定のフォーマットにまとめて上司にレポートする、といった類の作業です。

そもそも電子化されているデータなのに人手で入力し直したり、社内で定められた手順やルールに則って一律に処理したりするのに、人間ならではの“高度で知的な判断”は必要ありません。いわば、非生産的な雑務に貴重な時間を割いている場面が少なからずあるというのが、多くの企業に当てはまる実態です。

IoT(モノのインターネット)、クラウド、アナリティクス、モバイル…。さまざまなテクノロジーが同時並行的に進化を遂げ、それらを巧みにビジネスに適用することが今後の競争力に直結すると声高に叫ばれています。事実、これまでは不可能だった斬新な事業モデルで躍進する先駆的な事例も出始めました。

技術進化を追い風に攻勢に出ることはもちろん大事なことです。しかし、社内に残っている非生産的な作業の見直しを先送りにしたままでは、そこがボトルネックになって経営のスピードや品質、ひいては競争力を上げられないという問題に直面することになるでしょう。

巷間では、新時代に合わせてビジネスのあり方や組織体制を大変革すること、すなわち「デジタルトラスフォーメーション」の重要性が指摘されています。とかく、前述の「攻め」の領域ばかりに目が向きがちですが、それでは不十分なのです。旧態依然とした社内業務にメスを入れ、生産性の抜本的向上を図ることが大前提となることを忘れてはなりません。

システム横断的な業務を自動化。にわかに脚光を浴びるRPA

では、ムダが多いオフィス業務をどのように見直していけばよいのでしょうか。まず基本となるのは、市場に続々と登場する製品/サービスへの感度を磨き、「もし自社に適用すればどんな具体的効果が上がるか」という視点で常に評価する習慣を身に付けることです。

例えば、最新のクラウド型経費精算サービスなどは、従業員にとって煩わしい小口交通費精算業務を大幅に効率化するものとして注目されています。グループウェアのスケジューラーでここ1カ月の行動を振り返り、経路検索サービスで交通費を調べ、会社が定めるフォーマットにまとめて支払い申請をする──。企業によっては、まだまだ前時代的なやり方をしているケースが散見されますが、そこに特化したソリューションは実にスマートに“手間ひま”を一掃してくれます。

もっとも、社内の業務は幾つものシステムが絡み合って支えており、それらに横串を刺す形で進めるプロセスにおいて、人がやむなくデータを再入力したり、一定の手順に沿って対処したりしなければならない局面は多々あります。こうした領域を抜本から効率化する一助になるものとして、ここ最近、にわかに脚光を浴び始めた技術が「RPA(Robotic Process Automation)」です。

RPAはその名の通り、ロボットのような仕組みで業務プロセスを可能な限り自動化しようというテクノロジーのこと。人の形に似たロボットが業務を代行するのではなく、ルールエンジンなど広い意味でAI(人工知能)に属する技術を応用して、専用のソフトウェアが業務をこなします。

表計算ソフトにおいて、反復的な処理を自動化するために「マクロ」機能にお世話になっている人も多いことでしょう。現時点でのRPAは、このマクロ機能を一つのアプリケーションソフトにとどまらず、対象を複数のアプリケーションに広げて、横断的な自動化を実現するものとしてとらえることができます。まだ歴史の浅い分野ではあるものの、市場には具体的な製品が登場し始めました。

得意とするのは、おおよそのルールと手順が決まっている業務。すなわち、前述の「なぜいちいち人が対処しなければならないのか?」と疑問を感じる業務をRPAが担ってくれるわけです。ソフトウェアは疲れもしなければ、単純ミスも犯しません。うまく使えば、従業員を単純作業から解放し、より創造的な業務に充てる時間を捻出する効果を見込むことができます。

デジタル時代の成長戦略の礎は。「人の力をより創造的な業務へ」

調査会社大手の米Forrester Researchによるレポート「The Future Of Jobs, 2025: Working Side By Side With Robots」には、「2019年までに、さまざまな業種における業務の25%がロボティクス関連の技術によって自動化される」との予測に言及しています。同じく調査会社大手の米Occams Business Research & Consultingは、2016年のグローバルでのRPA市場は5億ドル程度であるものの、今後はCAGR(年平均成長率)62%程度と高水準で推移し、5年以内に10倍に拡大するとの見通しを示しています。

こうした数字を見ても、RPAは「やがてやってくる未来像」ではなく、確実に我々にとって身近になるテクノロジーであることを伺い知ることができます。しかも、AIの技術革新のスピードに照らせば、RPAはより複雑で高度な業務までもこなす方向に進化すると考えられます。一部のメディアでは、企業の四半期決算報告やスポーツゲームの試合結果など「事実に基づいた定型的な記事」をロボット(ソフトウェア)に書かせる試みが始まっており、こうしたアプローチは業種業務を問わず広がっていくのではないでしょうか。

RPAという技術トレンドをとらえるとき、ともすると「人の雇用機会を奪いかねない」との声も出てきがちです。しかし、日本の労働生産性の水準は決して誇れるものではないという事実も直視しなければなりません。日本生産性本部が公表している労働生産性(国民1人あたりのGDP)の国際比較を見ると、OECD加盟国の中でここ何年も18~19位あたりに甘んじています。また、世界経済フォーラム(WEF)の「Global Competitiveness Report 2016-2017(2016-2017 世界競争力レポート)」において日本は8位。当シリーズの「日本の『ICT発展度』は世界第何位?」では、我が国が11位であることを紹介しました。

もちろん色々な要因が絡んでいるので一概に評価することはできませんが、それでも日ごろの実務に照らして考えれば、改革の余地がまだまだ残されていることは否定できません。日本企業がグローバルでの熾烈な競争を戦い抜いていくには、より多くの労働力を、より生産的でより創造的な業務に集中させていかなければならない。RPAの登場は、そうした根本的課題を考える大きな契機となりそうです。

協力メディア

IT Leaders ( http://it.impressbm.co.jp/ )

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