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スピード経営の屋台骨となる「統合業務ソフト」

業務実態を可視化して最適な意思決定を導く

し烈さを増す市場競争に打ち勝っていくために、何よりも重要となるのは「スピード」です。迅速かつ精緻な意思決定を可能とする礎となるのは、自社が取り組んでいるビジネスの実状を可視化すること。そこに欠かせないのがコンピューターの活用ですが、部署や業務ごとに個別最適化されたシステムが乱立している状況では、なかなか対処しきれません。世の中では、どんな方策が模索されているのでしょうか。 (IT Leaders特約)

[2017年 8月 3日公開]

「社に持ち帰り後日あらためて回答します」が許されない時代に

「現在、数社から相見積りを取っているんです。納期を予定より2日ほど早められて、価格ももう少し“勉強”してくれるなら、御社に発注する可能性がぐっと高まるんですが、どうでしょう? 数がまとまっているから悪くない話だとは思います」──。得意先を訪問したところ、先方の購買担当者からこんな相談を持ちかけられました。

「宿題として社に持ち帰り、上長や現場に確認して回答します。なるべくご意向に沿うようにするので、少々お待ちいただけますか?」。かつてなら、こうした対応で許されたかもしれませんが、何よりもスピード感が求められるこの世の中、前時代的で悠長なことをしていては、せっかくの商機を逸することにもなりかねません。

例えば、ライバルの一社はというと…。担当営業員はすぐさまスマートフォンを取り出して社のシステムにアクセスし「初回発注分の8割は3日早めて納入できますし残りも翌日には可能です」と回答。さらに、自身に認められている割引率に照らして「一両日中にご決断いただけるなら価格は“ここ”までいけますし、もし今後、定期発注ということであれば、貴社特別割引も検討させていただきます」とたたみかけます。──いつも正確な情報を交えたクイックレスポンスがあるとなると、先方からの信頼は増し、必然的に商談をものにすることにもつながっていくでしょう。

“自社ビジネスの今”を可視化したいというニーズが高まる

大量のデータを正確に記録すると共に計算処理を高速にこなすことのできるコンピューターは、人手に頼っていては手間も時間もかかる業務を大幅に効率化することを可能にしました。お金をかけても、十分なメリットが得られる──。企業が、業容拡大に伴ってコンピューターを積極的に導入することになったのは知ってのとおりです。会計管理システム、顧客管理システム、生産管理システム…。いまやさまざまな業務システムが稼働しています。企業経営とITは密接に絡み、もはや不可分な存在になったといっても過言ではないでしょう。

人手では正確かつ迅速に対処しきれない業務を肩代わりさせることから始まったコンピューター導入でしたが、やがて、そこに蓄積され続けるデータをうまく活用することで、次の一手に役立てられるのではという考えが出てきました。つまり、収益の予実管理をしっかりやっていこう、地域ごとの売れ筋を見極めよう、在庫負担を抑制する生産計画を立てよう、といったものです。財務会計など、特定の業務にひも付いたシステムにおいて、それがカバーする範囲であれば相応の効果を発揮し始めました。

さまざまな業務システムを導入した延長線上で、さらに「もっと業務横断的にデータを活用したい」というニーズが出てくるのは自然の流れです。現場での日々の動きは何らかの形でコンピューターに記録されている。つまり、社内にある業務システムのデータを集約し、それらを俯瞰したり、一部を横串で抜き出してみたりすることで、自社のビジネスの「今」(=人・もの・金の動きなど)が可視化されるはず。だとすれば、実状に即して適正な意思決定もできるし、より合理的な資源配分も可能になるという考えです。

会社が小さければ、社長が隅々まで把握するのは比較的容易であり、いつでも自ら判断を下せます。多少大きくなっても、現場の長に一言聞いて即答が返ってくる状況であれば、まだ機動力は失われません。ところが、ビジネスが成長し、幹部層から見て従業員の顔と名前がなかなか一致しない規模になってくると、“即断即決”が怪しくなってきます。現場の動きを見通すことが難しくなってくるからです。そこで、社内に行き渡ったコンピューターの力を借りて、自社の今の実状を「見える化」しようというアイデアが出てきたわけです。ICT(情報通信技術)があってこそ可能となる経営スタイルといってもよいでしょうか。

個別最適化されたシステムの乱立が理想を遠ざける

そんな理想とは裏腹に、現実にはそう簡単にことは運びませんでした。一般的に、会計管理や販売管理といった業務を支えるソフトウェアは、その分野に造詣が深いメーカーが、独自の設計思想を基に開発しています。操作体系にしてもデータの持ち方にしても、それぞれの思いを貫いているのが通例であり、他社製の業務ソフトと密に統合・連携することを想定したものは決して多くありません。企業が必要に応じて、さまざまなシステムをつど導入してきた結果として、いざデータを集約して業務横断的に見てみようとしても、一筋縄ではいかないという現実に直面することになったのです。

冒頭のような例では、工場での仕掛かり状況や流通在庫の実数を把握し、顧客ごとの取引実績から優先すべき案件であるかを吟味し、ロジスティクス周りの計画見直しの可能性を判断し、値決めが収益にどう影響するかを検討するなどして、最終的な決断を下すことが求められます。その材料となるデータを参照しようとしても、すぐさま手元に集めることは難しく、個別のシステムから逐一取り出したり、表計算ソフトなどに人手で再入力して資料を作ったりといった手間や時間が発生。速やかな意思決定を阻んでしまいます。

このように、各種の業務システムが分断された状況は、しばしば「サイロ化」と呼ばれます。サイロ(=Silo)とは、もともと「周囲とは隔離された場所」を意味する言葉で、牧草などを貯蔵する倉庫や、ミサイルの格納庫を指し示すものとして常用されています。業務や部門を対象に個別最適化された“縦割り型”のシステムが乱立する様子がまさしくサイロに映ることから、コンピューター業界でも使われるようになりました。コンピューターを早期から活用している大手企業ほど、この悩みを抱えているともいわれています。

戦い方が明確であればこそ生きる「統合業務ソフト」の真価

さて、サイロ化という問題をどのように解決していくのか。データウェアハウス(DWH)のように各システムからデータを収集・統合して実状を把握するための仕組みを別途作り込む、企業の主要業務を幅広くカバーし当初から全体把握に主眼をおいたシステム(=ソフトウェア)に順次移行する、といったアプローチが代表例として挙げられるでしょうか。とりわけ後者は、業務の可視化やリアルタイム経営といった観点で注目を浴びているもので「統合業務ソフト」などと呼ばれています。

統合業務ソフトは、会計管理や販売管理、顧客管理、購買管理など一般的な企業における主要業務を一社の製品でカバーし、全てを密に連携させ、データも一元化して処理するように設計されているのが特徴です。経営学や組織論といった分野で、人・もの・金・情報などの経営資源を最適配分して持続的成長や競争力強化につなげる「Enterprise Resources Planning=企業資源計画」という考え方があり、この具現化に寄与することを狙ったものであることから「ERPソフト」との呼称も広く使われています。

多くの場合、目的別の機能をひとまとまりにしたモジュール単位で構成しており、企業のニーズに沿って必要なものを取捨選択して導入することができます。かつては自社でサーバーなどのハードウェアを設置し、そこにインストールするタイプのものが主流でしたが、昨今はクラウド型のサービスも増えてきました。操作端末としてはPCのみならず、モバイル対応も急速に進んでいます。

統合業務ソフトを使えば、全社横断的に実状を把握しやすくなりKPI(重要業績指標)に基づいてスピーディーに意思決定できるようになる──。ただし、その理想に近づくには留意点も少なからずあります。まず念頭におくべきは、提供される機能はあくまで多くの企業に適用できるであろう“最大公約数”であるということ。以前からの自社のやり方がピッタリはまるわけではなく、場合によっては業務の見直しが迫られたり、ソフトに手を入れてなじむようにカスタマイズしたりする場面も出てきます。その分、本稼働するまでに時間がかかることになりがちです。

かつて大手企業を中心に、海外製の統合業務ソフトを導入することが活発化した時期がありましたが、多くの企業が“自社流”に固執して多くのカスタマイズを施したため、後々のメンテナンスの負荷が高まり、プロセスの可視化や最適化という“そもそもの利点”を享受しにくい状況に陥ってしまいました。最も、全てソフトに合わせればよいという短絡的なことでもなく、こだわりがあって競争優位性もある領域はうまく生かさなければなりません。時として、そのバランスをどうとるかに悩むことになります。

よくいわれることですが、コンピューター(各種の業務システム)はあくまで経営を高度化するための道具であり、その導入が目的になってしまっては本末転倒です。ますます市場競争が激しくなるこの時代、自社は何を強みとして戦っていくのか。そのためには、社内の何をどんなタイミングで可視化しておかなければならないのか。そこを突き詰めるのが最も大事なことであり、その礎がしっかりとしていれば道具の選び方や使い方もおのずと見えてくるはずです。そんな視点で自社の実状をあらためて見直せば、業務改革=働く場改革のヒントが見つかるのではないでしょうか。

協力メディア

IT Leaders ( http://it.impressbm.co.jp/ )

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