組織的な営業スタイルの確立がデジタル時代の売上増加につながる

営業スキルが属人化している。“組織”としてアクションを最適化したい!

売り上げを増やすには営業力の強化が必須要件だ。しかし、市場全体が伸び悩み、顧客のニーズが多様化する中で、どう営業力を強化していくのか。そこで鍵となるのは、「データの分析と活用」である。具体的にはどんなアプローチがあるのか。デジタル時代の営業のあり方を考えてみたい。 (東洋経済オンライン/JBpress特約)

[2017年 9月 8日公開]

データを分析することで理想的な姿が見えてくる

営業スタイルは人それぞれだといわれ、伝説的な営業マンといわれる人たちも存在した。しかし、厳しい経営環境の中で企業が継続的に売り上げを増やしていくには、こうした個人技に頼ることはできない。

ではどうすれば企業としての営業力を強化することができるのか。基本となるのは、顧客管理と営業プロセスだ。顧客が誰なのか、誰がその顧客と向き合っているのか。顧客に対して適切なタイミングで、適切な提案ができているのか。企業としての営業力はこの二つの課題にどうアプローチするかにかかっている。

しかし、現実はそう簡単ではない。既存顧客ならば既に取引があり、営業担当も決まっている。これなら比較的把握しやすいはずが、大きな企業で部門ごとの取引があるようなケースでは、部門横断で顧客情報を管理できていないケースはまだまだ多いのだ。

一方、新規顧客になるとさらに話は複雑になる。そもそも誰が顧客に接していて、その情報はどう管理されているのか。小さな営業部隊であれば、ミーティングなどで営業状況を確認する中で、情報が共有できる。しかし、いくつかの営業部隊に分かれていたり、異なる製品を扱う営業部隊があったりすると、情報共有は一気に難しくなる。

こうした課題に対応するためになんらかのシステムやエクセル表を利用している企業も多いだろう。

ただし、ここでも問題がある。例えば、営業日報システムを利用している場合、そこに蓄積されている顧客データをどう名寄せし、活用しているのか、という点だ。営業日報システムやエクセル表のデータは、営業力を強化するための宝の山であり、営業プロセスの効用を考えるうえで貴重な情報源となる。営業数字の管理のためではなく、顧客視点で分析することから、適切な営業プロセスが見えてくる。どの顧客とどう接触し、どのタイミングでどんな提案をし、受注のためにどんな働き掛けをしたのか。受注金額の大きさや、受注に至る期間など、企業の求める成果によって、優先されるべき指標は変わってくるが、データの中から求める理想的な営業事例を見つけることができるだろう。

そのうえで個別の成功事例について営業担当者にヒアリングして、さらに詳細を明らかにすることで、最も効果的な営業プロセスが浮かび上がる。

現場の負担にならないシステム導入を考える

次のステップは、その営業プロセスを取り込んだ仕組みを確立し、組織的な営業活動を実現することだ。具体的には顧客管理システム(CRM)や営業支援システム(SFA)などを導入して、その仕組みを実現することになる。

これらのシステムには多くの種類がある。例えばSFAの中には、ルートセールス向けやインサイドセールス向けといった営業スタイルごと、あるいは細かな業種ごとにテンプレートを用意しているものがあり、自社の業種業態、営業スタイル、規模などを勘案して最適なものを選択していく。その選択結果をベースに自社の理想の営業プロセスを取り込んで、システムを実装するという方法もあるだろう。

いずれにしろ重要なことは、現場担当者への負荷になることなく、メリットを感じてもらえるシステムを導入することだ。「より簡単に成果が上げられるようになった」と営業担当者に実感してもらうことである。

そのためには、組み込まれた効果的な営業プロセスをたどることで、受注につながる可能性が上がり、その過程で自然な形でデータが入力されていかなければならない。

さらに、将来に向けて留意しておきたいのが、顧客データベースの統合化だ。既存顧客と新規顧客、見込み顧客などのデータベースがバラバラな状態のケースは多い。また、前述したように部門ごとに異なるデータベースを保有しているケースもある。

当面の営業活動だけを見ると、その状態でもよいと思えるかもしれないが、データを駆使した営業活動を行うには、不都合な点が想定されるだけでなく、よくチェックして見ると、アタックリストの作成など、営業現場では既に非効率な部分が発生していることは多い。

物理的に一つのデータベースに統合していくことが理想だが、せめて顧客名や社名、メールアドレス、電話番号などをキーに、データのひも付けができるようにしておくべきだろう。特に重要なポイントは、顧客とのファーストコンタクトの時点でデータベースに登録しておくことだ。

実際の営業活動では名刺交換の時点で登録されていることが望ましい。ここでも現場の負荷を減らすために、クラウドベースの名刺管理ソフトの活用も考えるべきだろう。

さらに、現場の負担を減らすという意味で重要なのが、どんなデバイスを供給するかだ。営業担当者であれば、タブレット、ノートPC、スマートフォンなど、持ち運びできるモバイルデバイスから選ぶことになる。選定する際は、どんなスタイルで仕事をしてほしいかという経営者目線からの判断が大事になる。

営業とマーケティング、連動させる鍵は指標の設定

今後の展開として視野に入れておきたいのが、マーケティングと営業活動の連携である。現在は、ホームページやSNSからの見込み顧客の流入も増えている。この情報を効果的に営業活動に結びつければ、売り上げの拡大につながる。

しかし、実際にはうまく連動していないケースが多い。特にそれは、営業は営業、マーケティングはマーケティングと組織的に活動が分断されてしまっている場合に顕著だ。

そうなっている原因は、指標の設定にある。進むべきベクトルが一つになっていないことが多いのだ。例えば、営業は商談件数、マーケティングはリード(見込み客)獲得件数と別々の目標を立てると、マーケティングはリードさえ獲得すればよくなり、営業はリードを無視して商談数の拡大に走る、ということになりかねない。売り上げに対する貢献度のようなものを作り、一体化を目指すのが効果的だ。

システム的にも営業とマーケティングは連動していくべきだろう。マーケティングの領域では、マーケティングオートメーション(Marketing Automation)という取り組みが注目されている。見込み顧客から受注を獲得するためのプロセスを明確化して、マーケティングでそのプロセスを自動的に支援するという取り組みだ。

まず、どんな検索ワードでサイトを訪問した顧客が多いのか、その顧客がどのコンテンツを読んでメールアドレスを登録するのか、どんなメール広告に反応して資料請求をするのか、といったマーケティングのデータを分析して、プロセスをパターン化する。

そのうえでパターンごとにシナリオを作成し、提供するコンテンツを用意し、自動的にアプローチをかける。例えば、メール広告を開封した見込み顧客には、翌日にアンケートを送付して、回答者には役に立つハンドブックを提供し、その数日後には営業担当者から連絡してもよいかという問い合わせをする。

MAによって得られた見込み客情報は、単なるサイトを訪問しただけの見込み客情報とはレベルが違う。商談に結びつく可能性が高いため、営業担当者も積極的に情報を活用するようになる。結果として、企業全体の売り上げは伸びていく。

既にこうした取り組みに着手し結果を出している企業も多い。デジタル時代において、営業とマーケティングの連動は当然の姿だ。顧客データを統合し、営業プロセスをシステム化することが、組織的な営業スタイルを確立する第一歩である。

協力メディア

東洋経済オンライン/JBpress

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