どこでも働けるテレワーク環境で業務の効率化を実現するコツ

在宅勤務、長期出張でもオフィスにいるかのように!

働き方改革は社会全体として実現すべき大きな課題であり、このコラムでも取り上げてきた。ここではさらに具体的に、在宅勤務や長期出張でもオフィスと同様に働けるようなテレワーク環境を整え、業務の効率化を実現するにはどうしたら良いのかを考えていきたい。(DIAMOND online/JBpress特約)

[2017年 9月22日公開]

仕事内容に合わせてデバイスを選択する

働き方改革の最終的な目標は労働生産性の向上であり、その実現のためには「時間・場所・個人やハンディキャップを問わず、それぞれの従業員が持てる能力を最大限に発揮できる環境を企業が提供する」ことが重要なカギとなる。その典型的な形がテレワークだろう。子育てや家事などに手をとられる、介護に時間がとられる、といった従業員の能力を活用しようとすれば、在宅勤務ができる環境が必要になる。

では「テレワークができる」とはどんな環境だろうか。まず思い浮かぶのはそこにあるデバイスである。何らかのデバイスがなければオフィスの外で仕事はできない。このデバイスについても多様化が進んでいる。代表的なものはノートPC、タブレット、そしてスマートフォンだ。ノートPCの中には持ち運びやすさを追求した「モバイルPC」と呼ばれるものもある。

会社として社員向けにデバイスを用意する場合に、実は最もやってはいけないのが、一律でデバイスを用意することだ。それぞれのデバイスには一長一短があり、万能なものは存在しないと考えるべきだ。

デバイスを選択する際の基準となるのは、それぞれの職種や仕事内容、ワークスタイルだ。経営企画や財務など大きなエクセルシートを使う仕事であれば、多少重くても大画面ノートPCが合うだろうし、営業のように外回りが多ければモバイルPCが最適だろう。

PCにするかタブレットにするかは、文字や数字を入力する仕事が多いかどうかが分岐点になる。入力する項目が多くても、特定のアプリケーションに選択式で入力するのであれば、キーボードがなくても対応できる。

マニュアルを読み、写真確認などもしながら保守やメンテナンスを担当する社員には、持ち運びやすくて画面の大きなタブレットが適しているし、決まったアプリケーションに選択式でデータを入力するような業務ならスマートフォンでできるかもしれない。

社員が個人で所有しているデバイスを利用するというのも一つの方法だが、セキュリティ面を考慮する必要もある。仕事をしてもらう社員の立場に立って広い視野からデバイスを選択するのが、効果的なテレワークへの第一歩だ。

セキュアな環境でシステムを活用する

次に考えておかなければならないのが、ネットワーク環境だ。まずそれぞれのデバイスに対応した通信手段を提供したい。基本となるのはWi-Fiルーターだ。タブレットやスマートフォンであれば通信機能を備えたデバイスを選択できるが、Wi-Fiルーターを使うことで通信コストを安く抑えられる場合がある。

通信手段が提供できてデバイスがインターネットに接続できる環境が整っても、使いたいシステムにログインできなければ、オフィスにいるように仕事ができない。会社で使っているシステムを外部からのネットワーク越し接続に対応させる必要がある。

このときに考えておいておかなければならないのが、セキュリティである。サーバーをインターネットに接続するということは、サイバー攻撃の対象になるということとイコールだからだ。

ここでは深くは触れないが、自社のシステムのどの部分をインターネットに接続するのか、そのためにどんなセキュリティ対策を導入するのか、専門家の意見を聞きながら体制を整えていくべきだろう。

こうした懸念を持たずにテレワークのメリットを享受できるのが、クラウドの活用である。クラウドでサービスが利用できるSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)では、月額固定料金や従量制課金が基本で、大きな初期投資が不要だ。すぐ利用できるというメリットも大きい。

何よりも安心なのが、セキュリティ面だ。データはクラウド側のサーバーにだけ残っていって、端末には残す必要はない。データをダウンロードしたり、IDやパスワードが盗まれたりしない限りは、デバイスを紛失しても、情報が漏えいするリスクは避けられる。

さらに導入しておきたいのが、グループウェアやWeb会議などのコミュニケーション環境だ。グループウェアのスケジュールをタイムカードがわりに使うこともできるし、Web会議があれば社員が会社に来なくても会議などに参加できるだけでなく、自宅で働く社員のメンタル面でのフォローのためにも活用できるだろう。

シームレスな働き方を普段から取り入れる

持ち運びできるデバイスやどこからでも使えるシステム環境は、社外だけでの使用に限定する必要はない。社内でも使うことで、業務効率を向上させ、働き方を変えることにつながる。むしろ考え方としては、社内における「場所にとらわれない働き方」の延長にテレワークがあると考えるべきだろう。

実際に多くの外資系のIT企業では、こうした働き方が浸透している。オフィスでもデスクの場所を固定しないフリーアドレスを導入し、自分のノートPCを持って、好きな場所や今かかわっているプロジェクトのメンバーの近くに座り、社内のLANにログインする。

日ごろの情報交換はメールや社内SNSなどを使って行い、必要があれば会議室に集まって討議する。この会議への招集はグループウェアで行われ、会議室にはノートPCを持って参加する。遠隔地にいるメンバーは、Web会議のシステムで会議に参加するといった具合だ。

一人で集中して仕事をしたい場合は、会議スペースを予約して一人で使ったり、窓際に用意されたカウンター席を使ったりする。Wi-Fiルーターを持って外に出てカフェなどで仕事をする社員もいる。まさにテレワークと同じ働き方を日常的に行っている。

社内でも社外でもシームレスに働くことができるようになっているので、在宅勤務をする場合にも特に変わったことをすることなく、日常業務の延長線上で仕事ができる。オフィスに出社するのは月に数回という人もいて、移動にかかる時間を最小限に抑えられているので、業務効率という面でも無駄がない。

最後に重要なことを付け加えると、こうした働き方を実現する際、デバイスやネットワーク、クラウドは必要条件にすぎない。最も大事なのが、オフィスに来なくても仕事を公平に「評価」できる仕組みだ。さすがに「いつまでも職場に残っている社員が良い」と考える経営者はもはや少ないだろうが、見えない場所での仕事をいかに正当に評価するかを会社として検討する必要がある。

ある企業ではテレワークを導入する前提として、誰もが納得して受け入れられる指標を設定し、達成度合いを反映させられる人事評価制度を構築した。同時に、シームレスな働き方を許容することを就業規則で宣言したという。

こうした取り組みを続けることで、社員のマインドセットも変化し、やがてシームレスな働き方が当たり前になっていく。そのときこそ、テレワークの本来の大きなメリットを享受することができるようになるはずだ。

協力メディア

DIAMOND online/JBPress

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