メディアの回廊

国内有力メディアが大塚商会向けに書き起こしたオリジナル寄稿記事をまとめてご覧いただけます。

コンピューターへの依存度が高まっている今、もし自然災害などが発生したら

“もしものとき”に備えた対策は何が必要?

自然災害の多い国、日本。東日本大震災からの復旧・復興が進められる中、今年2017年も各地から自然災害の報告が届いています。確かに災害自体の発生を止めることは難しいかもしれません。しかしITにはその被害を軽減できるだけの力があります。BCP、冗長化、テレワーク、など。災害対策を考えるうえで役立つキーワードをひもといていきましょう。 (クラウドWatch特約)

[2017年10月20日公開]

自然災害と常に向き合ってきた日本

日本が自然災害の多い国であることは、誰もが自認するところでしょう。2011年の東日本大震災は言うに及ばず、ここ数年だけでも熊本地震、広島市の土砂災害など人的被害を伴う大規模災害が発生しています。そして今年2017年は台風による被害が非常に多くなっています。

自然災害が恐ろしいのは、その到来を完全には予知・予見できない点です。台風や豪雨であれば、天気予報を元に土のうを準備したり、外出を控えたりすることはできますが、地震・津波はある日突然発生します。

そして時に自然災害は、人命はもちろん、財貨、さらには社会システムにもダメージを与えます。2011年3月11日のあの日、東北地方の太平洋沿岸の方々は、地震の混乱の中、津波からも逃げなければなりませんでした。

一方の東京都心部では、地震の影響で電車の多くが運行中止となり、都心部では帰宅難民であふれ返っていました。命の危険性は東北地方に比べれば相対的に低かったかもしれませんが、余震が相次ぐ中、夜道を数時間歩き続ける息苦しさがあったのもまた事実です。

BCPって具体的にはどんなもの?

そして東日本大震災が契機となったのでしょうか、近年は「自然災害が発生した状態で、企業はいかに事業を継続させるか」が大きな課題としてクローズアップされています。それを体現するのが「BCP」です。

BCPとは「Business Continuity Planning」の略で、「事業継続計画」を意味します。災害などの緊急事態が発生した場合でも、本来の事業の継続や復旧を図るための計画案で、基本的には各企業がそれぞれ独自に策定します。

「BCPという言葉は聞いたことがあっても、どういう中身なのかはよく知らない」という方は、「中小企業庁のWebサイト」を一度のぞいてみるといいでしょう。広報冊子、BCPの取り組み具合を判断するためのYES・NOテストなどが用意されています。既定のフォームに従って書き込んでいくだけでBCPの書類を作成することもできます。

中小企業庁のWebサイト

BCPで具体的に考慮すべき内容は実に多岐にわたります。代表的なところでは、まず災害発生時の従業員連絡体制。勤務時間外でも円滑に安否確認できなければ、業務の分担もままなりません。

事業拠点の安全性確認も重要です。耐震性はどうなのか? 洪水や津波で浸水する可能性はないのか? はたまた、事業拠点は安全であっても仕入れや通勤のための経路はどうなのか? 考えることは多くあります。

そしてお金です。これまでの災害報道を見ていても、被災地では災害発生から1週間から1カ月程度は大きく混乱します。仮にこの間に事業が行えなかったとしても、従業員の給料、得意先への支払いのために、現金が必要になってきます。

サーバー運用の基本にして災害対策にもつながる、データセンターの重要性

もちろん、ITの観点からもBCPは極めて重要です。ビジネスにおけるインターネット活用はますます進んでいます。社内の連絡業務はもちろん、在庫管理、外部企業とのシステム連携のためにもインターネットは欠かせません。

しかし、その情報流通の中核となるサーバーは、それ単体では決して災害に強い機器ではありません。水を被ったり、火災に巻き込まれたりしてしまえばそれまで。社屋の一角にサーバーを設置している場合、オフィスや生産設備だけでなく、このサーバーも同時に守らなければ、顧客名簿や取引記録が失われてしまいます。

この防御策として、半ば必須となっているのがデータセンターです。耐震化された建物などに設けられ、防火・消火設備を充実させているのが一般的。また、自家発電設備を備え、ある程度の停電にも耐えられるようにするなど、データセンターの運営業者はその耐災害性の強化に努めています。

よって、企業にとってはデータセンターを利用することが、まず一つの災害対策となるでしょう。もちろん最近ではメールやウェブ用のサーバーをクラウドとして利用することが多くなっています。こういった場合は、自然にデータセンターを活用していることになります。

冗長化・バックアップでITインフラを守れ

とはいえ「データセンターを使えば99%安全かもしれないが、100%安全ではない」という点は十分認識しておかねばなりません。いつ・何が起こるか分からないのが災害。データセンターの隣のビルで起きた火災が延焼する、といった可能性もあるのです。

こういった不安に応えるのが冗長化、つまりバックアップ体制です。一つのサーバーのデータを、別のサーバーにも逐次コピーしておくことで、万一の事故・災害で障害が発生した場合でも問題なくシステムを運用し続けられようにします。

このサーバー冗長化については、さまざまなパターンがあります。最もオーソドックスなところでは、一つのデータセンター内で複数のサーバーを用意し、二重・三重のバックアップを取る方法があります。これはこれで大きな効果がありますが、未曾有の大災害でデータセンターがまるごと被害を受けるような場合、対策として十分ではないかもしれません。

そこでさらなる安全のために、複数のデータセンターを併用する例も近年増えていると言います。東京と大阪、あるいは東京と北海道といった具合にデータセンターを複数契約し、インターネット経由でデータをバックアップしあいます。

実際、こういったニーズを見越して、データセンターごとに業者側も立地に関する情報、それこそ地盤や周辺地域の河川の有無などを公開する例は多いようです。

ただ、冗長化・バックアップ体制については、安全性を追求すればするほど、システムが複雑化するだけでなく、コストにも跳ね返ってきます。おそらく全ての企業が東日本・西日本でバックアップを分ける必要はなく、あくまでも事業規模に応じた設計が大前提となってくるはずです。

災害対策と働き方改革で一石二鳥!? テレワーク

事業拠点での災害対策、データセンターでのサーバー保護などを積み重ねていくことで、災害のリスクは少しずつ減らしていけます。しかし、被災地域が広範に及ぶ場合は、交通網のまひの影響をモロに受けます。従業員が事業拠点まで出社できず、業務の停止を余儀なくされるケースは十分考えられます。

ここでテレワーク(在宅勤務)を想起する方は多いことでしょう。光ファイバー回線がこれだけ普及し、スマートフォンやタブレットといった安価かつ高性能なデバイスが身の回りにあふれています。ビジネスチャットやテレビ会議用ツールもますます身近にあっており、少なくとも事務職スタッフのテレワークは現実のものとなっています。

テレワークはBCPと関連付けて語られるケースは非常に多く、2011年の震災発生直後は特に顕著でした。しかし2017年の現時点では「働き方改革」を実現するためのインフラとしても期待を集めています。

人々の働き方のニーズは多様化しています。子育て・介護・病気・障害などを理由に平日週5日の出勤が難しい方であっても、週に1日在宅勤務ができるだけで状況が大きく変わりもします。

これに加え、人手不足の声も高まっています。せっかく雇用し、長年にわたって技能の熟練を積んだ従業員が離職することは、企業にとって深刻な問題です。そういった観点からも、企業の経営層は、働き方の多様化の重要性を認識しておくべきです。

BCPを立案するだけではダメ

企業が自然災害と向き合っていく中で、BCPの意義は今後も揺るぎないものとしてあり続けるでしょう。従業員を守り、会社を守り、そして社会に貢献する。そんな“当たり前”を実現するための理念が、その文書には詰まっています。

一方で、BCPの実効性については、常に注意を払うべきです。いつ起こるか分からない災害に備えるのは、心理的なストレスも大きく、ともすれば「本当にこの準備で大丈夫なのか」という疑念が付きまといがちです。

インターネットを巡っては、今後も数々の技術革新が進み、その中には災害対策に役立つものも数多く登場するはずです。過去を振り返ってみても、1995年の阪神大震災発生当時は固定電話中心の社会でしたが、その後電子メールや携帯電話が普及し、2011年の東日本大震災では安否確認にSNSが活躍したのは皆さんご記憶のとおりです。

こういった技術の変遷に合わせ、BCPの性格も少しずつ変わっていくでしょう。軌道修正を繰り返しながら、いわば“避難訓練”的な意識向上に向けた取り組みを続け、少しずつでもBCPの洗練度を高めていきましょう。

協力メディア

クラウド Watch ( http://cloud.watch.impress.co.jp/ )

「働く場改革」が創るビジネスの未来をもっと読む

記事と関連する製品・ソリューション

  • バックアップ・災害対策(BCP)の資料集

    バックアップ・災害対策(BCP)に関するダウンロード資料・動画などの一覧です。IT活用に関するヒントが満載ですので、ぜひご覧ください。

  • 災害時でも事業を継続したい

    災害が発生しても会社が事業を継続できるようにするには、日ごろから入念に対策を行う必要があります。お客様の会社に最適な対策方法をご提案します。

いまどきのIT活用のおすすめ記事