紙から紙に複写するコピー機がたどった道(後編)

コピー機はデジタル化のほかにもネットワーク化やカラー化を果たし、性能向上なども同時並行に進めていきました。紙から紙へ複写するために登場したコピー機は機能を増やして複合機として発展して現在に至ります。今後どのような方向へと進むのでしょうか。

[2016年12月14日公開]

コピー機は複合機となり機能は取捨選択され、将来は情報管理の一翼を

前回紹介したようにコピー機がデジタル化すると一気に機能が広がり、FAXやプリンターなどの機能を搭載した複合機の道へと進みます。パソコンが普及する前なら好評だったコピー機の機能もパソコン普及とともに不要となるものも出てきます。デジタル化で一時爆発的に増えたコピー機の機能はパソコン普及の影響を受けて淘汰されていったのです。

一方、コピー機が複合機となる過程でオフィスにあるFAXの多くは「FAXモジュール」となり、複合機の一部へと吸収されていきました。ただしFAXは契約書や発注書など重要書類の送受信に使われており、ビジネスの重要な役割を担っていました。重要な書類であればFAX送信後に「届いていますか?」と電話で確認をすることもあったそうです。FAXは今ならミッションクリティカルなサーバーに近い存在だったといえるかもしれません。

「新しいものは競合他社と一緒にやるからいいのです」と轡田氏は言います。コピー機という新しい機械が機能や役割を広げていくなかで、競合他社と互いに切磋琢磨することで洗練されてきました。

(写真1)株式会社リコー テクノロジーセンター 画像システム開発本部 副本部長 轡田正郷理事 *内容は取材当時のもの(写真:加山恵美)

デジタル化のほかにもコピー機ではネットワーク化やカラー化も大きな進展をもたらしました。ネットワーク化で複合機が社内ネットワークに接続されると、利便性は大きく高まります。例えばそれまではパソコンからプリントアウトするために複合機に直接パソコンを接続していたところ、ネットワーク経由でプリントアウトできるようになるからです。

リコーでカラー化を実現したのは1990年に発売された「ARTAGE 8000」です。これは世界初4ドラムカラーのデジタル複写機であり、翌年にはグッドデザイン賞を受賞しています。斉藤氏は「カラーだとドラムが四つになるのです」と言います。トナーのドラムはそれなりの容積があるため、カラー化で黒一つから四つに増えると大きく場所を必要とします。設計的には大きなインパクトでした。

(写真2)リコーは1990年に発売された「ARTAGE 8000」でカラー化を実現した。世界初の4ドラムカラーのデジタル複写機で、翌年にグッドデザイン賞を受賞した

ふと斉藤氏は「いまオフィスではほとんどコピーしなくなりましたよね」と指摘します。オフィスで複合機を使うことはあっても、ほとんどがパソコンからのプリントアウトで紙から紙へコピーする機会はなくなったからです。言われてみれば確かにそうです。

(写真3)株式会社リコー テクノロジーセンター 画像システム開発本部 開発支援センター センター長 斉藤穣氏(写真:加山恵美)

轡田氏は将来についてこう話しています。「これまではコピー機から複合機まで、『紙に出力する』という大きな目的へと一直線に進んできました。しかしこれからは違います。ペーパーレスを進め、オフィスの情報管理という広いテーマに目を向けていかなくてはなりません。大きく発想を変えていく必要があります」。

紙から紙へと複写するために生まれたコピー機は複合機を経て、オフィスの情報管理を担う存在の一つへと役割を変えていきそうです。次はどのような技術革新でオフィスに影響をもたらすのでしょうか。

執筆:加山恵美(フリーランスライター)
編集・文責:株式会社インプレス

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