ITここに歴史あり

ITの歴史をそれぞれの製品やサービスごとに振り返ります。

パソコンから成長して、企業を支える存在になったPCサーバー(前編)

企業が使うサーバーといえば当初はメインフレーム、続いてUNIXサーバーが普及してきました。90年代後半ごろからはパソコンをベースとした「PCサーバー」も徐々にオフィスに浸透していきます。まずはPCサーバーの登場時から振り返りましょう。

[2017年 6月28日公開]

容易に手が届くパソコンをサーバーに転用

かつて企業の基幹業務システムといえば、メインフレームでCOBOLのプログラムを稼働させるのが定番でした。メインフレームのアーキテクチャはベンダー独自のものです。ベンダーが変わるとプロセッサーもOSも、データベースなどのソフトウェアも何もかも変わってしまうものでした。

その状況を変えたのが「オープン化」の流れであり、オープン化によって登場したのがUNIXサーバーです。プロセッサーなどのハードウェアも、OSもベンダー独自のものでしたが、OSはどれもUNIXの一種で、その上で動作するソフトウェアにはある程度の互換性がありました。

日本ヒューレット・パッカード データセンター・ハイブリッドクラウド事業統括 DCHC製品統括本部 エバンジェリストの山中伸吾氏(写真1)は、オープン化によって最も変わった点としてデータベースを挙げます。「どのUNIXサーバーでもOracle Databaseが動作した。業務アプリケーションはOracle Databaseと、Javaで記述したプログラムに変わっていった」と語ります。

(写真1)日本ヒューレット・パッカード データセンター・ハイブリッドクラウド事業統括 DCHC製品統括本部 エバンジェリストの山中伸吾氏 *内容は取材当時のもの(写真:加山恵美)

90年代後半からはいよいよ「PCサーバー」が普及してきます。インテルのプロセッサーとその互換プロセッサーを使っていることから「IA(Intel Architecture)サーバー」や「x86サーバー」と呼ぶこともありますね。

ちなみに、世界初のPCサーバーはCompaq Computer(当時:後にHewlett-Packardが買収)が1989年11月に発売した「Compaq SystemPro」(写真2)。プロセッサーは33MHz駆動のIntel386です。後にオプションとして33MHz駆動のIntel486を載せた拡張ボードが登場しました。この拡張ボードを取り付けることで、Intel386とIntel486の両方を利用できるという、少し変わった作りのサーバーでした。しかしPCサーバーの本格的な普及は、Windowsが普及する90年代後半まで待たなければなりません。

(写真2)世界初のPCサーバー「Compaq SystemPro」

Windowsが本格的に普及し始めたのは、パソコンの性能向上のペースが上がり始めた頃です。性能が上がったので、サーバーに転用するという発想がようやく出てきたのでしょう。しかし、パソコンとサーバーは設計がまるで違います。例えば、パソコンはサーバーのように24時間動き続けることを想定した作りにはなっていません。そこで連続稼働に耐えられるように耐久性のあるハードディスクを搭載したり、電源を二重化したりするなどの改良を加えて、信頼性を強化してサーバーとして稼働できるようにしたのです。

ハードウェアが登場した流れとしてはメインフレーム、UNIX、PCサーバーの順ですが、山中氏は反対の方向から経験したそうです。山中氏はこう述懐します。「新人時代は疑問でした。PCを使っていた身からすると、UNIXワークステーションを基にしたUNIXサーバーと、PCを基にしたPCサーバーには大して違いがないように思えました。しかし実際に使ってみるとUNIXサーバーとPCサーバーは全くの別物でした」

PCサーバーが普及し始めた頃はファイルサーバー、プリントサーバーのほか、グループウェアや会計のアプリケーションサーバーなど、企業の部門レベルで利用するケースが多くありました。性能の良いパソコンをサーバーとして使うため、見た目はデスクトップ型やタワー型など、パソコンそのままでした。

今考えると驚きですが、サーバーなのに設置場所はサーバールームではなく、オフィスの片隅ということもしばしばでした。終業時に担当者が電源を落として帰ることも。山中氏は「オフィスで稼働するので『ファンがうるさい』と言われてしまったりね」と苦笑い。

PCサーバー普及を後押しした要因として山中氏はMicrosoftのサーバーソフトウェア群を挙げます。Microsoft Windows Server(IISも含めて)にMicrosoft SQL Server、Microsoft Exchange Server。WindowsのGUIで操作できるので、サーバー導入の敷居を下げました。山中氏は「Compaq ProLiant DL 760が出た頃は、Windowsで何でもできるということで、いろんなアプリケーションを稼働させるデモをしました」と述懐します。(中編に続く)

執筆:加山恵美(フリーランスライター)
編集・文責:株式会社インプレス

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