パソコンから成長して、企業を支える存在になったPCサーバー(中編)

コンピューターにおける消費電力の増加は、運用費を増加させる要因として問題視されるようになりました。省電力化が進んだいまでもサーバーの台数が増え続けており、全体で見ると消費電力が下げ止まることに。加えて管理工数はどんどん積み上がっていきます。

[2017年 7月 5日公開]

消費電力と管理工数という課題と向き合いながら

日本ヒューレット・パッカード データセンター・ハイブリッドクラウド事業統括 DCHC製品統括本部 エバンジェリストの山中伸吾氏(写真1)は「Opteronプロセッサーは一つの転機でした」と振り返ります。プロセッサーが性能を向上させながら消費電力も増加させていた頃、AMD(Advanced Micro Devices)が発売したサーバー向けプロセッサーが「Opteron」です。

(写真1)日本ヒューレット・パッカード データセンター・ハイブリッドクラウド事業統括 DCHC製品統括本部 エバンジェリストの山中伸吾氏 *内容は取材当時のもの(写真:加山恵美)

Opteronはインテル互換のアーキテクチャで64ビットと32ビットの両方のプログラムが動くプロセッサーという大きな特徴がありますが、消費電力を抑えたプロセッサーであることも見逃せない特徴でした。プロセッサーの消費電力が低いため、データセンターで使えば顕著な節電につながるとして注目を集めました。「Opteronの登場は、プロセッサーで消費電力を抑えようという動きにつながりました。サーバーの消費電力を考える転機になったと思います」(山中氏)

PCサーバーの消費電力量が上がっていくと、サーバーの置き場所も変わっていきました。前回述べたように、PCサーバーが普及し始めた頃は、オフィスに設置するケースが多くありました。しかしPCサーバーの性能向上とともに消費電力も上がり、200V電源を必要とするサーバーも登場しました。一般的なオフィスには100V電源しかありませんので、特別に200V電源を引き込んだ部屋(サーバールーム)を用意して、そこに置くようになっていきました。さらにサーバーの台数が増えていくと、サーバーはオフィスから離れて、データセンターに預けて運用するようになります。

サーバーの台数が増えると、もう一つの課題である管理工数が大きな問題としてのしかかってきます。よく指摘されることですが、ITシステムの導入から運用、廃棄までにかかる費用を見ると、新規導入コストが占める割合は意外に低いものです。新規導入よりも、保守や維持管理により多くのコストがかかるのが普通であり、このコストも消費電力と同様に増加の一途をたどっています。さまざまな工夫で抑制する動きはありますが、管理台数の増加や多様化もありトータルではなかなか減らせていません。

PCサーバーは当初デスクトップPCに似たタワー型が主流でした。しかし2000年を過ぎたころからラックマウントサーバーが増えてきました。厚さがわずか1U(44.45mm)の薄型ラックマウントサーバーが登場したのもこの時期です(写真2)。ほかにもキューブ型などの省スペースサーバーも登場しましたが、最終的にPCサーバーの主流はブレード型やラックマウント型で落ち着きます。

(写真2)2000年代になると、厚さが5cmにも満たない薄型ラックマウントサーバーが登場する。写真はCompaq Computer(当時)が2001年9月に発売した「ProLiant DL360」。世界初の1Uラックマウントサーバーとなった製品だ

ブレード型サーバーは、部品交換などの保守管理を容易にし、ケーブル配線や冷却の効率も上げてくれます。管理工数を抑えるだけでなく、電力消費はじめトータルの維持費の抑制につながります。オフィスのサーバーはホスティングサービスを利用して外部に設置されるようになり、集中管理されていきます。

サーバーの設置場所がデータセンターへと向かう過程では、ネットワーク通信速度の向上とリモート管理ツールの充実が進みました。どちらもサーバーをオフィスの外に設置するなら欠かせない要素です。(後編に続く)

執筆:加山恵美(フリーランスライター)
編集・文責:株式会社インプレス

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