ITここに歴史あり

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オフィスで情報を共有するグループウェア、普及までとこれから(前編)

90年代中頃からグループウェアが登場し、オフィスでの情報共有が始まりました。しかし使う側にも、管理する側にも敷居は高く、定着には高い壁が。そこにブラウザーから使えるシンプルなグループウェア「サイボウズ」が登場しました。

[2017年 8月23日公開]

行先掲示板をホワイトボードからブラウザーへ、シンプルさにこだわり

かつてオフィスで定番の備品に行先掲示板がありました。同僚がどこにいるかが分かるホワイトボードです。サイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏(写真1)がいたオフィスにもあったそうです。

(写真1)サイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏 *内容は取材当時のもの(写真:加山恵美)

「出社すると自分の名前プレートを白い方(出社の印)にめくり、外出するときには行き先を書き込みます。当時(90年代)携帯電話は共有でしたので、携帯電話を持ち出す人は番号のプレートを自分の行き先に貼ったりしていましたね」(青野氏)。

青野氏が入社した90年代中頃はクライアント・サーバー型のグループウェアが登場し、オフィスにおける情報共有の電子化の幕開けとなった時代でした。当初は各パソコンに専用のソフトウェアをインストールし、定型の文書を共有することが主でした。青野氏はこうしたグループウェア導入に携わるものの、「使えなかったんですよ。重くて。機能はリッチなのですが、作り込みが必要で」と苦戦していました。

少しするとインターネットが普及し始めました。ブラウザーを使ってWebページを見る。それは専用アプリケーションの操作よりずっとシンプルで、かつ簡単でした。リンクをクリックすれば別のページが開く、それだけ。「これなら簡単だから使える! 絶対にウケる!」と直感した青野氏はブラウザーから使えるグループウェアの開発に乗り出し、愛媛県松山市のマンションにて仲間3人でサイボウズを起業しました。

初期の「サイボウズ Office」に搭載された機能は共有スケジュール(カレンダー)、行先掲示板、掲示板、施設予約の四つ(写真2)。ほとんどが当時のオフィスに実在し、手書きで情報共有していたものをブラウザーから使えるように置き換えたものでした。例えば「施設予約」は会議室の前に貼られていた紙のカレンダーの代わり、といった具合です。

(写真2)Netscapeで動作していたスケジュール画面。懐かしく感じる方も多いのでは。

サイボウズの特徴は徹底したシンプルさにありました。ダウンロード販売をしていたこともありプログラムのデータサイズが軽いこと、インストールが簡単であること、ユーザーが手軽に使えることにこだわりました。

イントラネットで使うのが前提で、プログラムは社内Webサーバーにインストールします。社内Webサーバーがなければ社内で空いているパソコンにWebサーバー機能ごとインストールすることもできました。インストールするユーザーが悩むことがないように、環境を自動判別して必要な機能をインストールするなど、裏では高度な処理をしていました。

サイボウズを導入したあるオフィスでは、ホワイトボードの行先掲示板に「サイボウズ」と書かれるようになったそうです。それはつまり「ここではなく、サイボウズに書き込め」という指示でした。

機能はリッチではなくシンプルに、導入範囲は全社ではなく部門レベルに。この敷居の低さから、サイボウズは瞬く間にブラウザーベースのグループウェアとして急成長します。青野氏はこう振り返ります。「パソコンが1人1台、それぞれ社内ネットワークに接続するようになり、ブラウザーの機能も一気に進化するなど、いろんなことが重なりました。運が良かったと思います」(中編に続く)

執筆:加山恵美(フリーランスライター)
編集・文責:株式会社インプレス

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