ITここに歴史あり

ITの歴史をそれぞれの製品やサービスごとに振り返ります。

オフィスで情報を共有するグループウェア、普及までとこれから(中編)

ブラウザーから使えるグループウェアはシンプルで、チームのスケジュール共有に大いに役立ちました。熱烈なファンも増え、顧客満足度では高い評価を得て急速にユーザー数も伸びていきます。しかしその勢いは突然ぴたっと止まってしまいました。

[2017年 8月30日公開]

サイボウズ、瀕死の時代、「メールとExcelには勝てなかった」

サイボウズの起業は1997年。「サイボウズ Office」は瞬く間に普及しました。クライアント・サーバー型のグループウェアが全社導入など大規模で使うことを想定していたのに対し、初期のサイボウズは部門で手軽に使えるようにした戦略も功を奏しました。当初は50ユーザー版が多く売れていたそうです。

(写真1)初期の「サイボウズ Office」

サイボウズには「まず自分のチームから始めましょう」と、身近なところから情報共有を習慣づけようとする狙いがありました。

その分かりやすさと敷居の低さから「サイボウズ Office」はグループウェアに関する各種顧客満足度調査(注)では常に高い評価を獲得し、確実な支持を得ていました。ユーザー数も急速に伸びていきます。

  • (注)「日経コンピュータ」誌 顧客満足度調査 グループウェア部門など

ところが、新規ユーザー数は2000年をピークに急速に落ち込んでいきます。高い人気と評価があるにも関わらず、です。サイボウズ 青野氏(写真2)は「大敗でした。メールと表計算には勝てなかった」と悔しさをにじませながら言います。

(写真2)サイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏 *内容は取材当時のもの(写真:加山恵美)

新規ユーザー数が2000年で頭打ちになったのは、競合グループウェアに人気が流れたわけではありません。グループウェアを使おうとするユーザーが飽和したと考えられます。

90年代からパソコンとインターネットが普及し、先進的な企業ではメールに加えてグループウェアを導入しました。しかしそれは一定数までで、ほかはメールで事足りてしまっていたのです。文書はWord文書、スケジュールはExcelファイルで作成し、メール添付で情報共有という会社が多かったのです。

一度グループウェアを使えば、メールでの情報共有は非効率だと分かります。ファイルに更新があれば再送信が必要となりますし、個人の受信ボックスに雑多に情報が積み上がっていくため、必要な情報を探すのが困難になります。グループウェアなら共有の場所に最新の情報があるので、必要な情報にたどり着きやすくなります。メンバーの増減があったとしても、適切な範囲で情報共有ができます。にもかかわらず、多くの企業にとって「メールがあれば十分」という時代が長く続いたのです。

2000年以降のサイボウズは新規ユーザー数が伸び悩むなか、既存顧客へのバージョンアップや保守を続けました。時代に合わせた機能を地道に増やし、使い勝手を向上するなどしてグループウェアとして愚直に改良を続けたのです。

例えば2000年以降は各種モバイル端末にも対応しました。フィーチャーフォンから共有のスケジュールを閲覧できるようにしたり、PDAをクレードルに挿すとデータが自動的に同期されるようにしたりするなど便利な機能を増やしました。しかし喜んだのは一部のユーザーのみ。モバイル端末でグループウェアが本格的に普及したのはiPhoneによってスマートフォンが登場して以降でした。(後編に続く)

執筆:加山恵美(フリーランスライター)
編集・文責:株式会社インプレス

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