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オフィスで情報を共有するグループウェア、普及までとこれから(後編)

グループウェアの壁は技術的なものよりも、社風や考え方によるものが大きいものです。サイボウズがどれだけ技術的に進化しても、社会の働き方がグループウェアを必要とするには時間が必要でした。クラウドサービス開始から一気に流れが変わりました。

[2017年 9月 6日公開]

グループウェアの本当の普及期はこれから。シェアリングは情報からビジネスにも拡大

2000年以降に新規ユーザー数が伸び悩んだことについて、サイボウズ 青野氏(写真1)は「働き方を変えられなかった」と言います。

(写真1)サイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏 *内容は取材当時のもの(写真:加山恵美)

企業のデジタルな情報共有は段階を経て成熟していきます。かつてはメールからグループウェアという流れでした。メールは送信者が宛先を指定するため、一方通行で限られた範囲での情報共有となります。グループウェアになるとオープンな情報共有となり、チームのコラボレーションが進みます。

情報共有のやり方を変えるということは、働き方や意識を変えることにもつながります。企業がグループウェアを使いこなせないということは、働き方が変えられないからだとも言えます。例えば一匹狼的な営業が「なぜ自分の企画書を仲間に開示しなくてはならないのか。ライバルに出し抜かれるのは嫌だ」と抵抗すると、情報共有は進みません。グループウェアの活用とは、働き方を個人戦からチームプレーに変えることでもあるのです。

また上司などキーパーソンが「グループウェアに記入するのは面倒だ」と参加を放棄してしまうと、グループウェアが機能しません。全員が参加して情報をくまなく共有できる状態でないと情報共有は破綻してしまいます。社内で旗振り役がいるかどうかでグループウェア定着の成否が分かれることもあります。

転機となったのは2011年。サイボウズ Officeのクラウド版が登場すると、新規ユーザー数はぐんぐん伸びていきます。近年は2桁成長を続け、2016年は過去最高売上を記録しました。

クラウド版なら企業はユーザー数分だけ利用料金を支払えば使えます。初期投資が不要となり、導入の敷居がぐんと下がりました。それだけではなく、社会で働き方の意識が変わってきた影響もあるようです。青野氏は「人手不足などで効率を高めなくてはならないなか『チームで情報共有しよう(そうでないと勝てない)』という機運が高まってきた」と分析しています。

今やグループウェアの世界は、閉じられたものではありません。公開されたAPIを通じて、さまざまなアプリとの連携が可能です。将来的には自動入力の範囲が広がり、AIなどで仕事のアサインを最適化することも実現していきそうです。チームの仕事がより効率的になります。

「今は、メールだけでなく、メッセンジャーやビデオチャットなど、新しいコミュニケーションツールがビジネスでも使われるようになってきていますが、会社には仕事に来ていますから、情報は構造的に管理する必要があります。例えばタスクには期限やステータスがあるように。だから情報を再利用しやすく管理するにはグループウェアが必要です。当初からグループウェアの中心にあるのはシェアリング(共有)です。これまではオフィス内の情報共有でしたが、これからさまざまなパートナーとビジネスをシェアリングできるように進めていきます」(青野氏)

執筆:加山恵美(フリーランスライター)
編集・文責:株式会社インプレス

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