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ワークライフバランスの推進で人材の定着と活性化を

働き方改革の先にあるのは「ワークライフバランス」

ワークライフバランスは「仕事と生活の調和」です。自分のライフスタイルが仕事だけに偏っていませんか? 適度なバランスを保つことが効率良く生産性の高い業務の遂行につながるのです。

[2018年 7月 2日公開]

ワークライフバランスと働き方改革

働き方改革で同じ意味として語られることが多い「ワークライフバランス」。ワークライフバランスは、生活がしっかりすることで仕事も充実し、仕事が充実すると生活も充実するので仕事と生活のバランスを保つ(調和する)ことが大事という意味を持っています。

このバランスを保つためには、長時間労働や休日出勤という仕事だけに偏ることは避けなければなりません。そのため、効率良く仕事をこなし過重労働を抑制することを主な目的として「働き方改革」が提唱・推進されています。

つまり働き方改革は、ワークライフバランスを実践するうえでの第一歩となるのです。

ワークライフバランスと企業のメリット

ワークライフバランスが注目される要因には、人口が増加し経済も成長を遂げるといった伸び盛りから、人口が減少傾向に入り経済も急激に拡大する余地がなくなってきたという社会的な構造変化があります。この傾向は今後ますます強まっていくといわれています。

例えば、人口構造の変化(将来予測)は以下の表のようになっています。

  • * 出典:国立社会保障・人口問題研究所、日本の将来推計人口 平成29年推計、p36(死亡中位推計)を元に作成。

国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口(平成29年推計)によると、2040年には生産に携わることが可能な生産年齢人口(15歳~64歳)が約1,700万人減少し、65歳以上の老年人口の占める割合が約10%増加します。さらに2065年には、総人口が約8,800万人となり、老年人口の占める割合が約4割の予測となっています。

これはあくまで推計なので、この数値どおり推移するかは分かりませんが、大まかな傾向としては全体的な労働者不足と高齢者の増加という、人口構造では最もバランスが悪い(危機的状況)といわれる逆ピラミッド状態となりそうです。

このように深刻な労働者不足と老年人口の増加を考えると、仕事と余暇を充実させて元気に末永く働ける環境を作ることは、企業の発展・継続のために避けては通れない必須課題といえます。

また、ワークライフバランスの実践は仕事だけでなく、家族や友人、社会とのつながりを密にすることとなります。会社も社会の中で収益を得る1組織ですので、プライベートでの行動が仕事にも還元される可能性が多々あります。趣味や地域社会のつながりで生まれる人間関係や知識・発想が、仕事の幅を広げ推進する大きな要因となることもあります。ワークライフバランスを企業が率先して推進することで、活力のある人材が定着し、企業風土も活性化するのです。

ワークライフバランスの導入状況

ワークライフバランスは企業にどの程度導入されているのでしょうか。
内閣府が2018年3月に公表した調査報告書によりますと、社員が働き続けやすいような多様な勤務制度の導入については、回答した企業の9割以上で導入が進んでいます。

1.介護休暇・介護休業
166社
2.法廷を上回る育児短時間制度
122社
3.職種・雇用形態転換制度
85社
  • * 有効回答企業:182社

また、2015年以降に導入した制度で最も多かったのは、テレワーク制度による「在宅勤務制度」で、2位の育児短時間制度や雇用形態転換制度の11社の倍となる22社が導入していました。

  • * 出典:内閣府、仕事と生活の調和推進のための時間等に制約のある社員に対するキャリア形成支援の在り方に関する調査研究報告書、p22を元に作成。

気になる導入効果ですが、介護や育児など生活面から時間と場所に制約のある社員の定着と意欲の向上が多く、次いで入社希望者の増加や若手社員の意欲向上などの成果を上げています。少子高齢化時代の人材確保策として参考になるのではないでしょうか。

  • * 出典:内閣府、仕事と生活の調和推進のための時間等に制約のある社員に対するキャリア形成支援の在り方に関する調査研究報告書、p25を元に作成。

参考

ワークライフバランスを推進するには

ワークライフバランスの導入・推進は、企業の根幹となる勤務形態を変更することになるため、時間と労力がかかります。そのため、一気に着手するよりはできるところから進めていきましょう。

ワークライフバランスの導入手順

1.導入方針の決定

経営意思としてワークライフバランスの導入方針を明確にします。

  • 自社の将来ビジョン(導入目的の明確化)
  • 大まかな方向性とスケジュール

2.自社の勤務形態の把握

方針に沿って社員のアンケートやヒアリングにより、現状の課題と意識を把握します。

3.経営層・管理職の意識改革、推進プロジェクトの設置

推進のポイントとなるのは、第一に経営層の強い意志です。また、実施に当たっては、会社の方針を社員に正しく周知し、社員の声を吸い上げる「管理職」が大きな役割を果たします。管理職の動きが導入・推進の鍵を握るといっても過言ではありません。
導入・推進に向けた具体的な計画を細部にわたって話し合うことが大切です。

全社一体となって展開するための核となるのが推進プロジェクトとなります。
推進プロジェクトは、経営層・管理職・社員で構成します。推進するのは経営層・管理職ですが、ワークライフバランスは社員個々の生活スタイルを充実することが第一となりますので、社員も能動的に取り組むことが求められます。社員それぞれの生活課題(本人の希望・育児・介護・暮らし・地域社会での役割など)をできるだけ把握します。この際、個人情報の保護にはくれぐれも注意しましょう。

4.優先順位の検討

プロジェクトを中心に具体的な導入計画を検討します。
計画立案に当たっては、以下の施策から優先して取り組むことをおすすめします。

  • 導入効果の高い施策(大きな障害となっているものを解決)
  • 導入の容易な施策
  • 低コストで運用できる施策

また、トライアルでテスト導入して効果を実際に体感するのもリスクの少ない導入方法です。

5.導入ポイント

新しい環境ややり方で混乱が生じないように、導入の周知や想定マニュアルの用意をし、問題があれば迅速に対応する手順(連絡・担当者・対処方法)を明確にしましょう。
また、導入後は社員の感想・意見を基にさらなる改善を行います。

ワークライフバランス導入の具体策

ワークライフバランスを導入するためには、勤務形態の見直しとそれに対応した設備の導入・運用がポイントとなります。

1.勤務・給与体系の見直し

休暇の取得がしやすい環境・制度を整備します。介護・育児休暇・休業だけでなく、旅行や趣味などの余暇を満喫するための休暇や時短勤務もできるようにするのが理想です。また勤務体系の見直しで生じる大きな課題は「昇格・昇給」です。社員のモチベーションをさらにアップするための給与体系もあわせて見直します。

2.働き方の見直し

効率の良い仕事の仕方を検討します。これは現状の勤務状況を詳細に把握しないとできません。
特に営業や事務系の仕事は、実務以外に、会議・打ち合わせ、資料作成、メール作成、電話など実態(効果)の把握が困難ないわゆる「雑務」が多くあります。効率的な業務を目指すためにはこの「雑務」をできるだけ正確に分析する必要があります。必要な業務と不必要な業務、ほかの人に任せる業務などに分類します。

最近ではこの見直しにより、「社内メール禁止」「資料は1ページ以上不可」などの施策を打ち出して業務効率に効果を上げている企業が多くなっています。中には、効率的な業務を行うために仕事をしない自由時間をあえて設定し、社員の集中力を高めている企業もあります。
ポイントはこれまで「当たり前と思っていることを当たり前と思わない」ことです。

3.設備の見直し

ワークライフバランスの推進では、IT設備の導入運用がポイントとなります。ネットワークやPCをはじめとするIT機器は、社内の運用だけでなくテレワークなど外出先や自宅を始めとした社外での活用を前提として構築するなど、少し先の業務環境変化を予測しながらできるだけ無駄のないシステムや運用方法を検討します。

  • 業務効率に役立つ設備の検討
  • 働き方を軽減する設備の利用方法
  • 情報漏えい・セキュリティの徹底と適切な管理運用
  • スマホ・タブレットの効果的な利用法の検討

時間や場所にとらわれず、会社と同じ環境で社外でも仕事ができる設備については、低価格で簡単に運用できるサービスが多くあります。また、試してから導入できるサービスも多いので実際に利用してから決定するのが失敗の少ない方法です。

ワークライフバランスのまとめ

ワークライフバランスの推進は、会社が第一という意識から社員の生活が第一という意識の転換が重要です。これまでは会社に対しての直接的な貢献が求められていましたが、社員の生活を通して社会に対しての貢献が求められることになります。会社が社員の生活を大事にすることが、社員が会社・仕事に対してモチベーションを上げ、結果として生産性を高める効果を発揮します。

また、調査結果にあるように離職率の低下や、求人応募の増加という効果も表れます。
企業のワークライフバランス導入に当たっては、企業の存在意義と将来像を、経営層・社員問わず全社が一体となって推進する土壌を作ることが大きなポイントとなります。
社員ファーストの企業風土ができれば、ワークライフバランスの導入は成功したといえるでしょう。

「テレワーク」でワークライフバランスを実現

今だからできる、ITを活用した新しいワークスタイル

働き方改革の一環として熱い視線が注がれる「テレワーク」。在宅勤務など時間や場所にとらわれない柔軟なワークスタイルは、ITの進歩によりもっと身近に、もっと手軽になってきています。

大塚商会ではさまざまな視点で「テレワーク」に関する情報をご紹介していますので、ぜひご覧ください。

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「テレワーク」など、働き方改革に関する導入事例

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著者紹介

マネジメントリーダーWEB編集部

企業を活性化する総合マネジメント情報サイト「マネジメントリーダーWEB(http://www.mng-ldr.com/)」を企画・運用。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。