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情報共有はチームワーク成功のバロメーター

情報共有の浸透は、全社の一体感を持つことが成功のカギとなる

情報共有は社内のノウハウを伝達し、会社を強くする重要な資産となりますが、スムーズに共有できている企業はまだ少ないようです。情報共有を阻む課題、推進するための方法をご紹介します。

[2018年11月 5日公開]

企業の情報共有は情報資産を形成する

PC・ネットワークの発達により、膨大な情報が利用できるような社会になりました。もちろん仕事でもさまざまな形で情報は利用されています。企業の情報共有とは、個々の社員が持つ知識・経験・ノウハウという情報を全社レベルで蓄積し、それを全社員が活用していくことです。

例えば、取引先のA社の日常的な課題は営業担当者が一番よく知っていますし、活用もしています。担当者以外でも売り上げ情報は経理部門が、企業情報は総務部門が契約などに必要な顧客管理情報として活用しています。
さらに、この会社と契約に至った経緯、提案のプロセス、受注から納品までのプロセス、A社の人材情報など過去の営業担当による人脈などが全て「ノウハウ」という形で一つの情報資産を形成していきます。

企業における情報共有のポイントはこの「情報資産」の形成、蓄積と活用です。
この資産は、新たな取引先を開拓する際に活用でき、提案の成功や失敗事例は新たな提案の精度を高めるのに役立ちます。

情報資産を社員がバックボーンとして活用することで、競合他社より優位な立場で活動できるようになります。また、成功事例や失敗事例を共有することで時間や費用の無駄がない効率的なビジネス活動が可能になるでしょう。さらに、データ利用の際に補完的な情報を担当者や上司に聞くことで情報の精度が高まり、コミュニケーションも活性化していくのです。

反対に情報共有ができないとどうなるのでしょうか。その場合、ノウハウが特定の社員に偏るリスクが生じます。仕事のできる社員に仕事が集中し、個人のキャパシティが会社のキャパシティとなってしまいます。

また、社員の仕事やノウハウの集中は、個人の独善的な行動と不正が発生する温床ともなりかねません。会社のバックボーンを持たないと帰属意識も薄れるため、優秀な社員が何のノウハウも残さず次々と離職していく恐れも出てきます。情報不足は疑心暗鬼を招き、結果として個人頼みの閉鎖的な会社となってしまいます。

会社の構成4要素である「人・モノ・金・情報」のどれか一つでも欠けると会社は存続できません。
情報共有は会社として健全に発展していくための重要な要素なのです。

情報共有がなぜできないのか

PCやスマホ・タブレットを使うのが当たり前の世の中では、情報共有はさほど難しくないと思いがちですが、実はその情報共有すらできていない企業が多いのです。

その原因は、個別の情報を蓄積・活用できないことです。とはいっても情報を全く持たない企業は存在しません。情報の蓄積と活用のルールがあいまい、もしくは徹底されていない場合が多いのです。

IT環境が整っていないという理由もあるかもしれません。しかし、ITがないアナログの時代でも「口伝えや資料」という形の蓄積で情報共有は行われていました。極論すると、さまざまな担当者や部署から情報を集め、的確に要旨をまとめ、社員が共有するという流れはIT技術を使わなくても十分可能です。ただ、IT技術を利用すれば手間のかかる資料蓄積や検索などが簡易かつ低予算で実現できるだけなのです。

情報共有が進まない原因の多くは、情報を蓄積・活用する環境作りにあります。これは単にITシステムを導入しただけではできません。情報共有の意義を伝え、利用者視点で運用ルールを作り徹底することです。これを実行するには経営層と社員が一体となって企業風土を変えていく熱意と、継続した努力が必要となります。

情報を的確に分類して、蓄積する仕組み(ルール)を作る

企業が必要とする情報には大別して定量的情報と定性的情報という2種類のタイプがあります。
定量と定性という言葉は、調査で使われている用語です。
定量とは選択式アンケートに代表されるように数値化される情報です。売り上げやスペックなど客観的で数値化や可視化されている情報も定量データです。企業情報といわれる企業名や住所・連絡先・資本金・役員構成などの属性といわれる情報もこれに含まれます。定性は、定量と対になっている用語で、数値化できない考え方や意識を意味します。経験やノウハウ、感想など、個人の主観などがベースとなり、さまざまな形を取る情報が「定性的な情報」と呼ばれます。

定量的情報

定量的情報は売り上げなどの経理情報をはじめ名刺データに含まれる住所、連絡先、担当者名や企業の資本金、役員構成、組織、決算データなどの客観的で定型な基本情報です。この情報は会社運営では欠かせないため書類やデータという形で蓄積されています。

定量的情報は客観情報なので一見単純に見えますが、どこまで詳細な情報なのか(深度)、間違いがないか(正確性・信頼性)、売り上げの変化や人事異動など動きのある情報変化をすばやく反映する(速報性)が求められます。活用する際は必要な情報がすぐに取り出せる「検索」がポイントとなります。

定性的情報

定性的情報は前述した定量的情報とは違い、ノウハウなど決められた形のない情報です。この情報は人によっても大きく変化します。そのため、社内のサーバーに提案書などをアップして作成した担当者や担当部署でしか分からない形で蓄積されるケースが散見されます。ほかの担当者や部署ではその存在すら気が付かないということもあります。また、結果も重要ですがそれに至るプロセスも重要な情報であり、日々の報告を積み重ねることで把握できますが、習慣として浸透するには時間がかかります。しかし、この定性的情報を共有し活用することが情報共有の最大のメリットであり、共有効果を発揮する原動力となるのです。

企業に必要な情報はスペック的な定量的情報が全体を形作るフレーム(骨格)となり、定性的情報がそのフレームの中に反映される内容となります。情報の質を高めるためにはこの二つの情報をバランスよく充実することが大切です。

情報共有を推進するためのポイント「One for all, all for one」の浸透

情報共有は業務をこなすのにとても便利です。その反面、日々の動きを文書化して入力するのはとても面倒な作業となります。情報共有と活用が進まない原因の多くはこの手間が負担となり、せっかくのデータベースも個々の資料保管庫と化してしまうことにあります。

全社の風土改革

情報共有の話からいきなり飛躍していると思う方も多いかもしれません。情報共有が効果を発揮している企業の共通点は「コミュニケーションが活発に行われている」風通しの良い会社なのです。
情報を入力してほかの社員に役立つ、ほかの社員が入力した情報を自分が利用する。つまり、ラグビーで有名な「One for all, all for one (個人は皆のために、皆は個人のために)」というお互いに助け合う風土の醸成です。社員個々の持つ知識や経験などのノウハウを社員全員で共有して活用することが重要だという意識を浸透させることが情報共有の土台となります。

情報共有は全社公開が原則

蓄積された情報は簡単に利用できることも必要です。当然個人情報や製品開発の機密情報の扱いや提案書など社外秘の情報を社内公開することで情報流出のリスクが出てきます。
しかし、このリスクを回避するために複雑な認証ステップや、担当者別・社外からの利用制限を必要以上に施すと利便性を損ない、稼働率を下げる原因となります。

社内公開を原則に情報の公開と取り扱いルールを定め、機密性が高いもの(閲覧制限)は最小限に絞り、それ以外は自由に利用できるようにすることがポイントです。

また、失敗したプロジェクトやトラブルは担当者からするとできるだけ公開したくない事項でしょう。しかし、失敗は成功のもとといわれるように、きちんとした原因究明・分析・対策をすれば大きなノウハウにつながる重要な情報となります。トラブルを批判するのではなく、共に乗り越えて次のステップに進むという意識を全社員が持つことが大切です。

全社一丸となってお互いに補完しながら情報共有を図り、業務効率を上げることは「働き方改革」にもつながります。そして、包み隠さず「全て公開を原則」に情報構築することは、テレワークなどの多様な働き方を推進するベースとなります。

情報共有を実践するために必要なこと

情報共有を実践するための方法をご紹介します。いずれも利用者の負担を軽減した仕組みを作ることが原則となります。

情報の基本は5W2H

ビジネス情報は5W2Hが網羅されていることが基本です。学校で習った5W1Hに加え、ビジネスで大変重要なHow muchの視点を忘れないようにしましょう。

Why(なぜ)
作業の目的
What(何を)
内容(概要)
When(いつ)
展開(実施)期間
Who(誰)
対象者(ターゲット)
Where(どこで)
展開(作業)場所
How(どのように)
方法・手段
How much(いくら)
予算・費用

この5W2Hのいずれかが欠けるとビジネス情報としては不完全なものとなります。
書類はこれらの項目を漏らさずに簡潔に記載するのが基本です。

情報入力の簡易化:まとめるテクニックの向上

情報入力はできるだけ手間をかけずに入力できるようにします。その際必要事項に漏れが生じないようにフォーム化すると手間を大幅に省くことができます。これは企業情報などの定型情報の入力に適しています。また、基幹データベースとの連動はハードルが高くなりますが、売り上げなどの経理的な情報が入力=見積り・請求書・納品書の発行と連動するなど一石二鳥の要素を加味するとさらに便利かもしれません。

情報入力の習慣化:業務日報

ノウハウなどの定性的情報は日々の行動を記録していくことで、試行錯誤などのプロセスが分かります。そのため業務報告という形のレポートを全社員に義務付けることが有効になります。
これは、自分の状況を客観的に見直すことになるだけでなく、ほかの担当者や部署の活動状況が分かることで、参考となる情報を提供したり、手伝ったりするきっかけにもなります。

ここでのポイントは、担当者による内容のバラつきを防ぐことと報告の手間をかけないことです。そのためにできるだけ簡素化した記入フォームによって入力するようにします。
また記入フォームは、100文字以内など入力文字数を制限することで要点のみ書くようにします。

例えば、社内の企画書をA4サイズ1ページに限定したところ、要点がしっかり伝わり、会議時間も資料作成時間も短縮できたという例があります。最初はうまくまとめられなくても毎日書くことでまとめる技術が向上します。このまとめる技術は仕事においても業務効率向上の大きなポイントとなります。

さらに、会社のPCを使用しなくても、スマホやタブレットで帰宅時の電車からでも入力できるようにするなど、社員の負担をできるだけ軽減しましょう。

情報の共有と活用:タグ付け

企画書やマニュアルなどの成果物は、データアップロードの際に5W2Hを入力して、成果物の目的や概要、スケジュール、予算、結果などが一目で分かるようにします。
また、消費者向け、業務用、新技術など内容のポイントをタグとして登録できると、検索・活用に役立ちます。

例えば、「新製品の販促イベント企画書」の場合は以下のようになります。

オレンジエリアが5W2Hで、青エリアが資料の属性になります。
資料の内容が一目瞭然となるように過不足なく簡潔に記入することがポイントです。
検索項目として利用できるように、記載項目の大まかな分類をして選択方式にすると、入力の手間が軽減され分類表記の統一も図れます(目的:販売促進・製品開発・生産管理・人事・福利厚生…など)。

またダウンロードの際は、資料利用者が「○○に使わせていただきます」などの一言コメントを入力することで作成者との簡易なコミュニケーションが取れるようにすると、作成者の意識も高まるかもしれません。

情報共有の今後

IT化と働き方改革が進む現在、情報共有とその活用は企業発展のカギを握るといっても過言ではありません。今後の方向性をまとめると以下のようなことが可能となります。

  • いつでも、どこでも情報を活用できることで、テレワークなどの多様な働き方と業務効率向上が図れる。
  • 社外のビッグデータと連携することで、より精度の高い情報として活用が可能となる。
  • AI導入の際、日々蓄積されるデータが有効活用でき省力化が促進される。

情報共有は社員の結束力を高めるツールともなります。費用をかけずに簡単に利用できる仕組みもありますので、最初はスモールスタートで始めてみてはいかがでしょうか。

情報共有を円滑にするためには

社内の情報共有を円滑にするためには、さまざまなアプローチがあります。大塚商会では、以下のような目的の解決策をご用意していますので、お気軽にお問い合わせください。

  • 社内のファイルを共有したい
  • 社員同士の業務連絡をもっと簡単にしたい
  • 社外と安全にデータをやりとりしたい など

「情報共有」に関する資料・動画

情報共有に関するダウンロード資料・動画などの一覧です。IT活用に関するヒントが満載ですので、ぜひご覧ください。

「情報共有」に関する導入事例

数ある情報共有の手段の中から自社の目的・用途にあわせて導入されたお客様事例をご紹介します。

著者紹介

マネジメントリーダーWEB編集部

企業を活性化する総合マネジメント情報サイト「マネジメントリーダーWEB(http://www.mng-ldr.com/)」を企画・運用。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。