役立つ! 総務マガジン

企業広報は社会、そして人々をつなぐ窓口

ソーシャルメディア時代の広報キーワードは「エンゲージメント」

企業の活動を社会に伝え、社内外の多くの人々の理解や共感を得るのが企業広報です。広報はメディア対応が主な業務となりますが、ソーシャルメディアの発達で広報業務も多様化しています。

[2018年12月 3日公開]

広報の基本

広報(PR=Public Relations)は、企業の方針・理念や商品・サービスなどの企業情報を発信することです。これは太平洋戦争終結後、当時日本を占領していたアメリカ軍が民主政策の啓発普及活動の手段として用い、日本の行政や企業に広まったといわれています。その後、高度成長期には、販売促進を目的とした「広告・宣伝」が広報活動の中心となっていた時期もあります。

企業活動を円滑に行うためには、社会の多くの人々へ理解を広めることが必要です。そのため、双方向のコミュニケーションにより、企業に対しての信頼を得ることが広報活動の大きな役割です。
これは社会といった企業の外を取り巻く環境だけでなく、会社で働く社員に対しても「社内広報」という形で行われます。ソーシャルメディアが発達した現在では、企業の内外および直接関係しない人々も含めた広い社会との双方向コミュニケーションにより「エンゲージメント(注)」を高めることが、広報活動の主な目的となっています。

  • (注)エンゲージメント:婚約指輪をエンゲージリングといいますが、同様に企業・製品・商品・ブランドに対して「愛着を持っている状態」を表す用語です。企業と消費者の「強い絆」としての指標で用いられています。

主な広報業務

広報部門の業務は大きく分けると、マスコミに対して情報発信を行う「広報」と、社内に情報伝達を行う「社内広報」の二つがあります。現在では広報目的や利用するメディアの増加によって広報業務は多岐にわたっています。

報道対応
プレスリリースの作成・配信、記者会見設定、新聞・テレビなどのマスコミ対応。
社内広報
社内報(印刷・Web・サイネージ・社内SNSなど)の制作・運営・管理
危機管理
クライシスマネジメント、不祥事・事故などの対応。
広告・宣伝
製品・商品、企業広告などのメディア出稿。
社外情報の収集
自社、同業・競合企業などのメディア露出動向調査(クリッピング)。
ブランド周知
ブランド戦略の推進やブランド管理。
IR活動
IR=Investor Relations。投資家向けの財務情報の発信。
社会貢献活動
文化活動や慈善事業など公共的に役立つ活動。
地域活動
地域のイベントやお祭りへの参加、清掃活動などの地域貢献活動。
CSR
CSR=Corporate Social Responsibility。環境問題など社会的な課題に対して自社の強みを生かした貢献をするなど、企業の社会的責任を果たすための活動。
ソーシャルメディア
Web、SNSの制作・運営・管理。
消費者対応
見学会・イベントの企画・運営。
行政対応
政府や自治体に対しての渉外活動。

広報と宣伝の違い

上記のとおり、広報業務の中に宣伝が含まれます。どちらも企業情報の発信となりますので「広報・宣伝」が一つの部署として存在する企業も多くあります。一般的にはマスメディアに有料で情報発信することが「宣伝」、無料で発信することが「広報」といわれています。

宣伝は販売促進を主目的としてテレビ・新聞などの広告スペースを有料で買い取り、コマーシャルとして情報発信を行います。該当商品の売り上げの向上が結果として問われます。通常は商品の売り上げ目標に応じて、販売促進費として予算を計上します。商品広告以外にも、企業そのもののイメージを高め、社員やその家族の信頼を得るための「企業広告」や、求人のための「リクルート広告」などがあります。

広報は企業活動に関する情報発信(組織改編、決算発表、新事業・新製品など)が中心となり、プレスリリースという形で端的に情報をまとめてマスコミ各社に配信します。
マスコミへの記事掲載は極めて難しいため、リリースの書き方や記者発表に工夫を凝らしたり、記者とのコミュニケーションを図ったりするなど、編集部による取捨選択に勝ち残り、記事として取り上げられやすいような取り組みを行います。
広報担当者がテレビに出演して説明する姿をよく目にするのはこのためです。

働き方改革で再認識される「社内広報」

企業が成長して社員数が増えてくると、誰がどのような仕事をしているか分からない状況が発生します。また、経営者の意思伝達が複数の管理職を経由するため、経営方針やビジョンなどの基幹情報が部門によって差異が生じるリスクも出てきます。

このような社内情報の格差をなくし、会社に対しての帰属意識を高める目的で「社内報」は機能しています。社内報の編集・制作業務は経営トップとの意思疎通や社内全部署の業務内容・人材を把握していることが望まれるため、総務・人事部門で行う企業が多くなっています。

社員にとっては、自分の生活基盤である会社がどんな動きをして、誰がどんな働きをしているか、どんな人柄かを知る重要な伝達手段となっています。

社内報は印刷物として配布されますが、社内に限定したイントラネット上のWebサイトや電子掲示板としてのサイネージ、社内SNSなどさまざまなメディアやツールが利用されています。

社内広報メディアの種類

社内報
編集による客観情報として信頼性・保存性に優れ、家族や関係者も閲覧することが可能。
社内Web
印刷の社内報に比べて、速報性の高い情報や変動する情報伝達に優れている。また、社史や社内イベントの写真などアーカイブ的な見せ方をする場合に最適。
サイネージ
映像によるリアルタイムな情報伝達に最適。社内テレビとして認知度も高い。地震・災害情報伝達ツールとしても活用されている。
社内SNS
社員専用のコミュニティー形成に利用。社員が発信した情報に対して「いいね」などの分かりやすいリアクションが簡単に行える。

これらの社内広報メディアはいずれか一つを選択するだけではなく、目的や内容ごとに組み合わせて利用することで、情報伝達効果の高い施策となります。

働き方改革やワークライフバランスで自宅作業を行っているなど、会社と別の環境で働く人にとって、社内広報は会社へのロイヤルティーや帰属意識を高める重要な要素です。

SNS時代の広報=全社員が広報担当者

TwitterなどのSNSは、誰もが一瞬にして世界中に情報発信できるメディアです。広報業務はメディアに対して企業情報を発信することですが、今ではこれが広報担当者だけでなく、社員の誰もが行える環境になっています。

実はテレビ局などのマスコミでは20年ほど前からこの状況を予測して、そのための準備をしていました。放送局や新聞社では記者が事件の取材をしてニュースとしてまとめます。しかし、世の中で発生する事件・事故・災害はいつどこで起きるか分かりません。その一方でカメラ付き携帯電話/スマートフォンの爆発的な普及などにより、誰もが事件や事故の現場映像を撮影することが可能となりました。

そのような環境変化を踏まえてマスコミ各社では、取材・レポートは記者だけが行うのではなく全社員が行う前提で、記者としての緊急連絡方法、撮影・インタビューの仕方、真偽の確認、周辺協力者の映像提供などの社員講習・訓練を行いました。そして、取材とは無関係の社員でも通勤やプライベート活動中に事件・事故に遭遇した場合は取材活動が行えるようにしたのです。

企業のSNS利用は「炎上」というネガティブなイメージがありますが、全社員が企業情報をそれぞれの役割や視点で発信する仕組みや研修を行うことで、広報活動を誰でも行うことができ、広報効果がさらに高まる可能性があります。自身の会社や仕事をアピールすることはモチベーションアップや帰属意識の高まりにも寄与します。SNSの制限ではなく、効果的・積極的な活用を検討されてはいかがでしょうか。

参考サイト

社員のSNS対策を行うには

eラーニングを活用して、基礎知識を学ぶ

SNS投稿に関して基礎知識を無料で学べるeラーニングをご用意しました。ほかにもビジネスマナーやセキュリティなど、総務担当者から若手社員などに受講をおすすめしていただきたいコースをご用意していますので、ぜひご活用ください。

炎上対策には教育と管理が大切

個人のSNSアカウントは、あくまで社員のプライベートなものである以上、完全に管理することはできません。そのため社用の端末を管理するなど、できる範囲での対策が必要になります。また、そもそものSNSの使い方に対して指針を示したり、危険性を周知したりする教育も有効です。

「社内広報」に利用できるツールをご紹介

デジタルサイネージ

オフィスや店舗のバックヤード・工場など、社内で共有すべき情報を、デジタルサイネージで配信できます。

作成した資料を人数分印刷して配る手間が省けるため、経費削減になるほか、緊急で通知したい情報もすぐに共有することができます。

LINE WORKS

管理機能・セキュリティ機能を備えたLINE WORKS。LINEの使いやすさと楽しさはそのままに、企業でも安心して使えるビジネスコミュニケーションツールです。

著者紹介

マネジメントリーダーWEB編集部

企業を活性化する総合マネジメント情報サイト「マネジメントリーダーWEB(http://www.mng-ldr.com/)」を企画・運用。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。