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【緊急解説】照明の2020年問題を探る

なぜ2020年に蛍光灯や水銀灯が生産終了になるのか

照明のLED化が省エネにつながるのは周知のことですが、蛍光灯の生産終了が既に始まるなどLED化は急速に進んでいます。特に2019年は、LED照明導入のラストチャンスとなりそうです。なぜ「ラスト」なのでしょうか。

[2019年 5月 7日公開]

2020年問題 蛍光灯・水銀灯・蛍光灯器具が生産終了へ

照明の2020年問題は、省エネと水銀汚染防止の二つが大きなポイントとなっています。
対象となっている主な照明製品は、「蛍光灯」「水銀灯」「蛍光灯器具」です。
本当に蛍光灯や水銀灯などが無くなってしまうのでしょうか。早速調べてみると、オフィス照明を取り巻く環境は以下のようになっていました。

省エネ推進

政府は省エネを推進する立場から、新成長戦略やエネルギー基本計画でLEDなどの次世代照明の導入を推進しています。2020年までにLEDをはじめとする次世代照明をフロー(出荷)で100%達成し、その後2030年までにストック(設置)100%達成を図ることを目標としています。

LEDをはじめとする次世代照明の普及目標

2020年
フロー(出荷)100%
2030年
ストック(設置)100%

これによると、2020年には市場に出回る照明は全てLEDとなり、2030年では蛍光灯や水銀灯の交換もできなくなります。2020年に蛍光灯が全く無くなるわけではありませんが、入手しにくい傾向になるのは間違いないでしょう。

蛍光灯の生産終了の動向

一般社団法人日本照明工業会によると、LED照明の普及推進を踏まえて大手メーカーが次々と生産終了を発表しています。

[参考]生産終了を発表しているメーカー

メーカー名・製品発表内容
岩崎電気蛍光灯器具2018年9月に全製品生産終了
蛍光灯2019年9月に全製品生産終了
三菱電機蛍光灯器具2019年3月に全製品生産終了
蛍光灯直管形蛍光ランプ(普通型)・殺菌ランプ:2019年3月に生産終了
上記以外の蛍光ランプ:2021年3月に生産終了
パナソニック蛍光灯器具2019年3月に全製品生産終了
蛍光灯生産終了時期は未発表

2020年を待たずに蛍光灯と蛍光灯器具の生産を終了するメーカーが多いようです。

水銀灯は2020年12月で製造禁止へ

2013年10月に水銀汚染防止のための国際条約「水銀に関する水俣条約」が締結され、2015年3月に「水銀による環境汚染の防止に関する法律」が閣議決定されました。これにより、2020年には水銀を使用することが大幅に規制されることになりました。具体的には、規制基準以上の水銀を使用している蛍光灯と水銀灯については、2020年12月31日以降製造が原則として禁止され、製品の輸出入も原則として禁止されます。

水銀灯
2020年12月31日以降製造・輸出入禁止

水銀灯は製造禁止となり、LED照明への移行が待ったなしの状況です。
蛍光灯も微量の水銀を使用していますが、一般社団法人日本照明工業会によると加盟しているメーカーが製造する蛍光灯の水銀使用量は規制値よりも低いため、製造禁止や輸出入の規制は受けないそうです。

PCB廃棄物の処分

1977年3月までに建築・改修された建物、工場やオフィス・学校の古い照明器具(蛍光灯器具、水銀灯器具、低圧ナトリウム灯器具など)には、PCBが使用されている可能性があります。

「PCB(ポリ塩化ビフェニル)」は、毒性があるため人体に健康被害を及ぼします。そのため、1972年には製造が中止されました。しかし、安価な絶縁体でもあったPCBは電気製品に広範囲に使用されていたため、違法な廃棄や放置によって漏えいするという環境汚染が問題となったのです。そこで、PCBの無害化処理を推進するために2001年6月に通称PCB特措法が公布され、同年7月から施行されました。PCBの処理を推進するために、PCBが含まれる照明器具などの安定器および汚染物質の処分可能期限が定められています。処分可能期限はPCB廃棄物の種類と全国5カ所(北海道・東京・豊田・大阪・北九州)に設置されているPCB処理施設によって異なります。

PCB処理期限例(安定器および汚染物など)

北海道・東京事業エリア
2023年3月31日まで
北九州・大阪・豊田事業エリア
2021年3月31日まで

PCB廃棄物は処分期間を過ぎると処分することができなくなります。自社で毒性物質を永久保管するような事態にならないように注意しましょう。

照明の2020年問題にどのように対応するか

蛍光灯や水銀灯および蛍光灯器具がすぐに無くなるわけではありませんが、LEDなどの次世代照明に移行していくのは時間の問題と思われます。

照明のLED化が省エネ・コスト削減につながるのは以前からも周知されていたことですが、以下の理由で導入を先送りしていた企業もあるようです。

  • 月額単位で見ると電気代の削減効果(費用)がそれほど大きくない
  • LED化の工事コストやLED照明自体が高価

しかし、省エネや環境汚染を防止する流れは今後さらに加速する傾向にあり、オフィス照明のLED化は避けられない状況となっているようです。

オフィス照明をLED化するための効果的な導入方法とは

このように、現在利用している室内の蛍光灯や屋外の水銀灯のLED化が必須となる状況の中で、できるだけ効率よく導入するためにはどのようにしたらよいのでしょうか。

既存の蛍光灯や水銀灯の生産終了は既に始まっていますので、できるだけ早く導入計画を立案し、費用と効果を「見える化」することが重要です。そして、工事依頼が殺到する前に発注を済ませることです。

効率の良い導入のポイント

1.導入計画の策定(オフィス照明)

できるだけ早く導入計画を立案し、予算化と発注を行います。
その際に、現状の照明に関する費用と削減目標を設定します。電気代は年間単位で計算するとかなり大きな金額になります。消費電力が少なく長持ちするLED照明ですがどれくらいの削減になるのかを把握することは、設備投資を行ううえで重要なことです。

またLED照明を導入しても、広いオフィスの照明が消し忘れ等により勤務時間外もつけっぱなしではあまり意味がありません。自動的に照明をオンオフするタイマー機能や人感センサーを組み合わせることで容易に照明管理ができ、オフィスの消灯時間を設定することで残業を抑制する効果も生まれます。単純に蛍光灯からLED照明に切り替えるだけでなく、運用管理ができるようになることでさらなるコスト削減と利便性向上の波及効果を得ることができます。

2.導入計画の策定(屋外照明)

屋外照明は特に明るい水銀灯が利用されていました。水銀灯は消費電力が大きいため、LED化による節電効果も大きくなります。

[参考]大塚商会、1年間の電気代削減効果(試算例)図表(https://www.otsuka-shokai.co.jp/products/lp/led/2020/)

屋外照明は駐車場や屋外通路に設置されています。これは夜間の視認性を向上させるだけでなく、防犯効果を狙ってのことでもあります。電気代のコスト削減分は設置数を増やしてより明るくする、防犯カメラの設置に充てる、めったに通行しない場所などはセンサーとの連動で必要なときだけ自動点灯する、などの改善に振り向けるのも一手でしょう。特に防犯カメラとの組み合わせは、会社のセキュリティ対策に大いに役立ちます。

LED導入のステップ

初めてLEDを導入する場合は、以下のステップに従って現状の照明を把握するところから始めましょう。

1.現在の照明をリストアップ

使用している照明と照明器具を詳細にリストアップします。

  • オフィス・会議室(フロア別)
  • 工場
  • 倉庫
  • エントランス・受付・通路などの共用スペース
  • 非常用照明
  • 屋外照明  など

2.リストを基に現状の光熱費を算出

「使用照明機器の消費電力×点灯時間×電力料金=照明ランニング費用」で算出します。

3.照明管理方針の策定

  • 照明コスト削減目標の設定
  • 点灯・消灯の管理とコントロール、運用規定(誰がどのように管理するか)
  • 導入計画の設定、運用マニュアルなどの整備

4.見積り依頼

管理方針に従ってLED機器とコントロール機器+工事費の見積りを依頼します。

5.発注と社内周知

社内周知は、特に工事期間の周知を徹底します。

6.工事の進捗管理

業務に影響が出ないように工事スケジュールを調整します。照明器具やスイッチ、配線などが業務に支障がなく、使いやすい状態になっているかを十分に確認しましょう。

7.運用管理、器具のメンテナンス

照明器具のメンテナンスはおおむね10年単位で行います。

照明の2020年問題まとめ

これまでお伝えしたように、オフィス照明のLED化は2020年に向けて加速していきます。
新しいシステムに移行する直前は工事依頼が殺到し工賃が高騰する、手ごろな価格の製品が欠品してトータルの費用が当初の予算を上回る、工事日程が選べないなどの影響を受ける可能性が大きくなります。

オフィス照明は、社員が働く環境の基本となる重要な要素です。できるだけ早くLED化の道筋を立てて、早めの導入でコスト削減効果を享受しましょう。

【無料】照明の2020年問題が分かる資料

照明のLED化を含む、2020年までに準備が必要なビジネス上の課題についてまとめた資料を無料でダウンロードいただけます。
意外な理由から対策が必要になっているものも多数ありますので、抜け漏れ防止チェックリストとしてもぜひご活用ください。

「LED化」に関する導入事例

2020年の水銀灯製造禁止を前に、余裕を持ってLED化!

市ヶ谷フィッシュセンター(三京水産株式会社) 導入事例

2020年に水銀灯が製造禁止となることがLED化を推進するキッカケになった。冬場に向かい点灯時間が増えることから、まだLED化できていなかった屋外の水銀灯、ダウンライト、街路灯をLED化することにした。

著者紹介

マネジメントリーダーWEB編集部

企業を活性化する総合マネジメント情報サイト「マネジメントリーダーWEB(http://www.mng-ldr.com/)」を企画・運用。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。