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内部監査で不祥事を防止し業務効率もアップ

企業活動の評価が厳しくなり、内部監査の重要度が増しています

経営目標達成を確認する「内部監査」を行うことで、不祥事や目標未達などのリスクを発見・回避することができます。今、法的義務のない中堅・中小企業でも内部監査が注目されています。

[2019年10月 7日公開]

内部統制と内部監査・外部監査

企業活動を健全に行うための行動規範の中で「内部統制」「内部監査」「外部監査」という言葉がよく出てきます。いずれも不正防止のための手段として同じような意味で使われますが、会社経営の用語としては覚えておきたい基本的な言葉ですので、正しい意味を理解しておきましょう。

内部統制

まず「内部統制」ですが、これは経営目標を達成するために業務として全社員が遂行するプロセスを示します。言い換えると、目標達成のためのシステムやルールです。

内部統制の目的は以下の4点が挙げられます。

業務の有効性と効率性
業務効率を向上させ、より多くの収益を得るために、IT化の推進やコスト削減などの施策を行うことです。
財務報告の信頼性
財務情報に不正や虚偽があった場合、ステークホルダーからの信用を失い、企業活動に大きなダメージをもたらします。そのため、内部統制によって「正確なものである」ことを証明します。
法令の遵守
健全な企業活動は、法律を守ることが大前提です。法令遵守=コンプライアンスとして違法行為がないかをチェックし、法令違反につながる行為を未然に防止します。
資産の保全
企業資産である「ヒト・モノ・カネ・情報」を管理し、有効活用を図るのも内部統制の目的の一つとなります。

内部統制では、これらの目的を達成するために、以下の活動を継続的に行います。

  • 全社の意識共有(経営目標達成のための全従業員情報共有)
  • リスクの評価(リスクマネジメント機能の発揮)
  • 統制活動(ルールや仕組みが守られているかを確認)
  • 情報の活性化(情報を適切に管理し、迅速に伝達する)
  • モニタリング(内部統制が機能しているかを確認=内部監査)

内部監査

続いて「内部監査」です。内部監査とは、経営の健全な状態を維持・管理する目的で、内部監査部門が企業活動と会計状況を調査・分析し、経営者に監査結果の報告と改善活動を提言することです。つまり、企業活動が間違った方向や不正などを起こさないようチェックを行うことです。

内部統制
企業(全従業員)が守るべきルールや仕組み
内部監査
内部統制が機能しているかを確認すること

日本では資本金が5億円以上、または負債の合計が200億円以上の会社では、会社法と金融商品取引法で内部統制報告書の作成が義務付けられています。

内部監査は業務に精通した担当者が行うため、外部からは見えにくい、分かりにくいリスクの発見に効果を発揮します。また、不正の防止・発見だけでなく、経営目標が計画どおりに進行しているかを監査、進行が遅れている場合はその原因を究明し、改善方法を具体的に提示します。そのため、内部監査は内部統制の推進に欠かせない機能として、法的義務のない中堅・中小企業でも注目を浴びていて、導入を検討・実施する企業が増える傾向にあるようです。

外部監査

最後に「外部監査」です。外部監査を専門的に行う組織を「監査法人」といいます。中立の立場で、財務状況を客観的に調査する第三者機関です。監査法人は依頼企業の会計監査を実施し、その結果を「監査意見」としてまとめ、公表します。内部統制報告書の確認も外部監査で行います。外部監査は、内部監査の結果を精査し虚偽がないことを多角的に監査し、公的なチェック機能を果たすものです。外部監査には主に財務諸表の有効性を監査する財務諸表監査と、内部統制の有効性を監査する内部統制監査があり、金融商品取引法によって定められる法定監査となっています。外部監査は、内部監査スタッフと連携しながら業務内容の詳細についての情報をやりとりして行います。監査の結果、問題がなければ企業が公表する決算報告書が正しいものとして公表されます。

内部監査
業務内容を熟知している立場から監査を行う
外部監査
会計監査をメインに客観的な立場から監査を行う

内部監査の流れ

1.監査計画

まず監査計画を立てていきます。監査の対象は全ての部署・担当となります。部署の規模や業務内容、繁忙期などを考慮し、監査対象の範囲や内容を定めます。それぞれ、部門の目標、目標達成のための方法・システム、リスクマネジメントの視点で監査します。特に過去に改善指導などが行われている場合は、それが改善されているのか、ほかに問題はないのかなど、幅広い視点で詳細にチェックする必要があります。監査部門の担当者は、業務に精通し社内人脈が豊富であることが望まれます。監査という業務上、不公平感がなく中立な立場で調査・アドバイスすることが求められます。

2.監査実施の告知

本調査の4~8週間前に実施します。監査対象部門へ監査の実施予定日と監査内容、責任者の立ち合いを求める旨を連絡します。内部告発など不正が疑われる点があれば、予定の有無にかかわらず迅速に対応します。また、確認する方法として抜き打ち監査を行う場合もあります。ただし、抜き打ち監査は対象部門が調査に対しての不信感を抱くリスクもありますので、必要最小限にとどめるようにしましょう。

3.本調査

事前に告知したスケジュールに沿って内部監査を実施します。監査のポイントは、業務手順書(マニュアル)が存在し、手順書のとおりに業務が実行されているかなどを調査します。また、受発注の管理や在庫の適正数量、交通費や出張費などが正しく計上されているかなど、幅広い視点で調査・分析します。

4.評価・報告

本調査でヒアリングした内容と書類などの情報から、総合的な判断と評価を行います。その結果は報告書としてまとめ、経営者と外部監査法人に提出します。

5.改善の提案

改善の提案については、該当の部門責任者と担当者を交えて行います。内部監査を通じて改善すべき点が浮き彫りになったら、いつ(までに)・どこで・だれが・何を・なぜ・どのように・など5W1Hを具体的にし、対象部門に伝えます。部門責任者は、改善点について改善計画書や回答書を提出します。改善が実際に行われたか、また行われた場合、改善効果などの確認は次回の内部監査時に実施します。

内部監査とIT化の推進

内部監査を行う際の課題はデジタル化です。企業が持つ情報は紙として保存されている書類が多くを占めます。紙の書類は保管や閲覧に手間がかかり、監査などの調査にも時間がかかります。会社資産となる重要な書類はできるだけデジタル化し、素早い検索が行え、利用履歴などを残せるようデータベース化することで、監査だけでなく業務効率の向上に寄与します。

また、ネットワークセキュリティでもログ管理など、ネットワークの利用状況を監視できるシステムと併用することで、デジタル化された文書をどこに送信したかを追跡・把握することも可能となります。社内の情報を一元管理・活用することは、多くの企業が内部統制で目指す「業務効率アップによる収益増」に直結します。また、IT設備の費用も数年前に比較して性能の良いシステムが低価格で導入できるようになりました。内部監査で改善の指摘を受ける前に、効率・効果の高い「IT化の推進」を具体的に検討してみてはいかがでしょうか。

参考サイト

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著者紹介

マネジメントリーダーWEB編集部

企業を活性化する総合マネジメント情報サイト「マネジメントリーダーWEB(http://www.mng-ldr.com/)」を企画・運用。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。