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検証! 働き方改革

働き方改革関連法施行から1年。働き方は変わっているのだろうか

2019年4月に働き方改革関連法が施行され、長時間労働の規制や有給休暇の取得・消化が強化されました。業務効率の向上とあわせて働き方改革の目標は達成されているのでしょうか。

[2020年 4月 6日公開]

働き方改革の現状はどうなっているか

内閣府が2020年2月に発表した「日本経済2019-2020」によると、長時間労働は減少傾向にあります。週当たりの労働時間が49時間を超える労働者の人数と割合を調べると、500人以上の事業所では、製造業は2018年の27.2%から2019年は23.4%(102万人から90万人)へと減少、非製造業は、19.4%から18.0%(264万人から245万人)へと減少しています。そのほかの事業所規模についても同様の傾向が見られます。

長時間労働者の割合や人数が減少している背景の一部には、働き方改革への取り組みが影響している可能性があります。厚生労働省による2019年11月時点の企業調査では、長時間労働の是正などのために効果があると見られる主な取り組みについて実施企業の割合が示され、以下のようになっています。

長時間労働の是正等のための取組を進めている企業の割合

出典:内閣府「日本経済2019-2020」令和2年2月 第2章 人口減少時代における働き方を巡る課題 第1節 働き方の変化と働き方改革P82 「(3)長時間労働の是正等のための取組を進めている企業の割合」を元に作成

時間外労働の事前申告制度や「ノー残業デー」の実施といった直接的な労働時間抑制への取り組みが効果を上げているようです。また、業務効率アップや省力化投資、あるいはアウトソーシングを利用するなど業務量そのものを抑制する企業も増えています。

では、働き方改革は順調に進んでいるといえるでしょうか。残業の抑制や有給休暇の取得についての意識は高まっていますが、まだまだ実現までの道のりは遠いというのが実情のようです。次に、その原因と解決方法を探ってみましょう。

業務の可視化と共有

働き方改革の目標は、以下の3点です。

  • 労働生産性の向上
  • 雇用格差の改善(正規・非正規)
  • 長時間労働の是正

特に労働生産性の向上と長時間労働の是正はセットで「業務効率向上」として捉えられています。
業務効率向上の第一歩は無駄をなくすことです。そのためには自分が行っている仕事を棚卸しし、細かく分析することから始めましょう。

業務の可視化

自身の大まかな行動は業務日報などを作成することで、だいたい把握できます。しかし、それだけでは無駄を省くことは困難です。

必要なのは詳細な行動の把握と分析です。例えばPC作業に2時間費やした場合、企画書作成なのか、伝票処理なのか、またはWeb調査なのか、その中身を分析します。これはセキュリティのためのログ解析ソフトを利用することで、簡単に把握することができます。個々に取り組むのではなく、セキュリティ強化も兼ねて会社全体で取り組むことをおすすめします。
例えば、結果として帳票の処理に時間がかかっている場合は、伝票入力を軽減したり、システムを見直したりすることで効率アップを図ることができます。

業務の可視化とは、業務をできるだけ数値化していくことです。数値は時間・金額・稼働率などさまざまですが、数値化することで実態を客観的に把握することが可能になり、簡単に削減目標や施策を設定することができます。感覚だけで進めようとしても、感覚は人それぞれ違うので、基準となる尺度が異なってきます。そうすると評価も異なり、改革がうまく進まない原因となります。何事も数値化して可視化することが業務効率向上の第一歩となるのです。
また、この情報を会社全体で共有することでダイナミックな改革が可能になります。

多様な働き方と企業風土改革

働き方改革=業務効率の向上は、中堅・中小企業に大きな影響をもたらしている、少子高齢化による人手不足を解消することにもつながります。しかし、それを実現するためには大幅な意識改革が必要です。

雇用形態の見直し

長時間労働や休日出勤を減少させるためには、勤務時間による管理を見直すことが必要になります。つまり、勤務時間を基準とした評価から成果を基準とした評価への移行です。

例えば短時間労働やフレックスタイムの推進、テレワークの実施など、勤務時間を基準とした賃金形態では評価が難しい働き方が増える傾向にあります。また残業抑制による労働者のデメリットとして大きな課題となっているのが、残業代の減少による収入減です。成果報酬に振り替えるなど、これまでとは別の評価軸を設定することが求められます。

さらに長時間労働や休日出勤など、寝る間を惜しんで働くことを美徳とする慣習を改めることも必要かもしれません。働き方改革では、これまで多くの企業で禁止されてきた「副業」も提唱されています。今後、育児や介護を目的とした休業や時短労働だけでなく、旅行などの余暇や趣味の充実を図るワークライフバランスの浸透なども想定して、終身雇用・時間拘束という雇用形態を根本から見直し、10年後20年後の自社を見据えた改革を検討してみましょう。

また、このように企業風土を改革していくうえで重要度が高まるのが「企業理念」といわれています。会社の目標と従業員の目標が一致することで「絆」が生まれ、帰属意識が高まります。会社の社屋という物理的空間から、人それぞれのワークスペースの集合体による働き方を模索していく必要があるのです。

ITの効果的な運用

働き方改革に欠かせないものは「ITツール」です。ITは仕組みさえできてしまえば、人間が手作業で行う業務を超短時間で正確に処理してくれます。この恩恵をさらに享受するためにはIT/ネットワークの情報インフラ整備が必要です。とはいっても既にPCやネット環境はどの企業でも当たり前のように導入されており、個人でもPC、タブレット、スマホを日常的に利用しているので、それほど困難なことではありません。
またビジネス用アプリの種類も豊富にあり、費用的にも低価格化が進んでいるので、自社に適したアプリを探して全社共通で導入することから始めましょう。

業務効率向上を妨げる要因の一つは、個人や部署でバラバラに利用しているアプリです。これらのアプリを統一して、データの蓄積・共有・再利用(加工)を推進します。属人化しているPC環境やシステムを排除していきましょう。そのためには情報システムに関する利用ルールの策定と厳格な運用が必要です。

また、業務で使用する提案書や仕様書のフォーマットも統一し会社全体で利用することで、書式を考えたりレイアウトで悩んだりする必要がなくなります。書類の内容に集中できるため、業務効率アップと、成果物のクオリティ向上につながります。また、それぞれが簡単な修正をするだけで使用することが可能になり、情報資産としての価値と利便性が向上します。

今後数年でAIを活用したサービスが本格化し、モバイル通信速度も5Gになるなど劇的に高速化します。この機会に企業存続の鍵を握るファクターとして、ITインフラの整備に取り組んでみてはいかがでしょうか。

業務効率向上のポイント=テレワークの実践

地震や台風などの自然災害による通勤対策も見据え、全社的にテレワークを実施してみてはいかがでしょうか。
全社的な実施はリスクが高いと判断される場合は、部署単位から始めてみるとよいでしょう。
PCの使い方、実際の勤務の仕方など、メリット・デメリットが体感・把握できると思います。

テレワーク実施の流れ

  • テレワークルールの設定(勤務の管理方法など)
  • 利用環境の整備・確認(会社・自宅)
  • テレワークの研修(PC・ネットワークの設定方法など)
  • テレワークの実施
  • テレワークの評価(アンケートなどで課題などを把握)
  • 課題の解決

働き方改革の助成金を利用しよう

政府が推進している働き方改革では、さまざまな助成金が用意されています。ここでは厚生労働省の助成金についてご紹介します。

1.業務改善助成金

「業務改善助成金」は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引き上げを図るための制度です。
生産性向上のための設備投資(機械設備、POSシステム等の導入)などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成します。

2.キャリアアップ助成金

「キャリアアップ助成金」は、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成する制度です。

3.時間外労働等改善助成金

「時間外労働等改善助成金」は、時間外労働の上限設定に取り組む中小企業事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成するものです。
長時間労働の見直しのため、働く時間の縮減に取り組む中小企業事業主を支援する制度です。

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働き方改革を推進するため、国や地方自治体などでは企業等へ助成金や補助金を支給していることがあります。助成金や補助金を活用して充実した「働き方」を目指してみませんか?

著者紹介

マネジメントリーダーWEB編集部

企業を活性化する総合マネジメント情報サイト「マネジメントリーダーWEB(http://www.mng-ldr.com/)」を企画・運用。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。