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経営再建と総務の役割

経営の立て直しは、総務が全社調整を行いながら展開します

コロナ禍以降、業績不振に陥り倒産する企業が後を絶ちません。一方、何とか倒産を回避して経営再建に着手している企業も急増しています。そこで経営再建のカギを握るのは、総務部門といっても過言ではありません。

[2020年10月 5日公開]

経営再建とは

市場環境の変化などで売り上げや収益が低迷した状態が長期化すると、会社は倒産や破産の危機を迎えます。経営者はそれを回避するため、売り上げや収益性を高めて経営再建を図ることになります。経営再建は経営者の力量や資質によるところが大きいのですが、経営者個人の力だけで経営再建を果たすことは極めて困難です。このため経営者を力強くサポートする体制が必要となります。

総務部門の大きな役割は、経営者の参謀役として経営者の意思を社員に伝えたり、または社員の要望を経営者に伝えたりして、経営層と社員をつなぐことです。経営再建においても、総務部門が中心となって社内調整し、改善に向けたさまざまな取り組みを行うことになります。

経営再建のステップ

1.経営再建の可能性を判断

経営者は売り上げ、収益改善の可能性を探ります。並行して取引先を中心に関係する企業と折衝し、経営再建の判断を行います。

判断を行うために

  • 売り上げ低迷の原因究明と改善の可能性/方法
  • 収益低迷の原因究明と改善の可能性/方法

まずは経営不振に陥った原因を正確に分析します。例えば商品が顧客ニーズに合っているか、販売価格は適正か、販売体制は適切だったか、社内体制に問題はなかったかなど、あらゆる可能性を洗い出します。
次に浮かび上がったそれらの原因について解決可能か否かを探ります。解決可能と判断した場合、解決にかかる手間とコストを精査します。そして着手する優先順位を決定し、経営再建計画書を作成します。

2.資金繰りの調整

経営再建には社内体制の改革や商品開発など費用も多くかかります。従って、融資を依頼する金融機関の判断も経営再建に大きく影響します。総務部門で再建計画をまとめ、経営者と一緒に金融機関との調整を行います。

3.売り上げの確保

再建計画に動き出したら、売り上げの確保を行います。営業部門を中心に販売する製品やサービスの改善を提案し、売り上げの確保につなげます。
また、新たな販売方法や販売先も開拓します。例えばこれまで対面販売のみだったものをネット販売併用に変えていくなど、できるだけ宣伝費等のコストをかけずにマーケットを拡大する方法を考えて即行動します。

4.収益の確保

収益の確保とは無駄なコストを省き利益を向上させることです。業務効率を向上させコストを削減することは、後述する全社調整と並んで総務部門の基本的な役割の一つです。
経営再建中の状況であれば既に無駄なコストは削減されている場合が多いですが、支出している経費を細かくチェックします。

支出経費の基準

  1. 存続のために必要不可欠な支出
  2. 一時的に凍結可能な支出
  3. 投資のための支出
  4. なくても影響しない(無駄な)支出

また、経費削減は金額の大きいものほど削減効果が高くなります。支出金額の大きな項目から詳細をチェックして、コスト削減の可能性を検証しましょう。

5.経営層と社員の一体化

コスト削減と同様に、総務部門の大きな役割として全社における調整機能があります。縦割り組織において、総務部門は各部門間で横断的かつスムーズに連絡が取れるように潤滑油的な役割を果たします。

再建計画を策定する際、各部門へ具体的な目標や実施内容の提出を要請しますが、全体的に見た場合、必ずしも整合性のある内容とならない可能性があります。
例えば営業部門が10,000個/月の販売目標を設定する一方で、生産部門が8,000個/月の生産目標を掲げているような場合です。

この差異を見過ごして計画を実施した場合、大きな問題が生じます。対外的にも信用を失い、経営再建どころではなくなるに違いありません。このため総務部門が各部門の意見をヒアリングしながら内容の修正を行い、全社的に不具合のないように整合性を図ります。これが総務部門の調整機能です。

もう一つの大きな役割として伝達機能があります。これは経営再建に向けた経営者の意思を各部門と全社員に正確に伝え、大きな経営課題に対して全社一丸となって取り組めるよう組織全体で意志統一を図るものです。

経営者が再建に向けてどのような決意(覚悟)を固めているのか、どのような方向に向かって再建を進めるのかなどを明確にし、全社員に経営者の意思を浸透させることが総務部門の伝達機能になります。

再建計画の推進に当たっては、上記二つの機能に加えて「計画通りに再建業務が進行しているか」、「各部門間や社員同士で軋轢(あつれき)は生じていないか」といったチェック機能も果たせるようにしましょう。

経営再建活動の推進・運営

再建計画が立案・承認され経営再建に向けて動き出したら、目標を達成できるよう全社員の士気を鼓舞し、行動を促します。そのためには全社員に対して再建のための活動への理解と啓蒙(けいもう)を図り、社員一人一人が積極的に行動することが必要です。

さらに経営再建活動の推進に当たっては、総務部門が中心となり計画的・組織的な活動を行います。具体的には全社推進体制を構築します。

  • 各部門から担当者を選定し、経営再建プロジェクトを立ち上げる
  • 具体的な再建スケジュールと目標・実施内容を決定
  • 再建計画の実施項目の周知徹底を図る
  • 社内メール等でアナウンスし、進捗(しんちょく)状況の報告を行う

総務担当者は再建プロジェクトの事務局員として各部門の交渉・協議の場にも参加し、アドバイスや調整を行います。また調整役を担ううえでは経営者との密接なコミュニケーションも欠かせません。経営再建は、時に閉塞(へいそく)感が漂ったり、人間関係が悪化したりするなど、困難な状況を乗り越えなければならないこともあります。総務担当者は会社を守り、社員の生活を守るという強い使命感を持って再建活動を推進していくことが望まれます。

経営再建と総務部門~まとめ~

今回は経営再建という視点から総務部門の役割を解説しました。ほとんどの内容は総務部門の役割として平時においても大切な機能です。言い換えると普段から総務部門が正しく機能していれば、不振に陥りにくく、また経営再建も成功しやすいということになります。

会社の基盤を形成し守ることは総務部門の原点ともいうべき機能です。総務が果たすべき機能を正しく理解し運用していくことが、経営不振から再生するための大きな要素となるのです。

参考

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著者紹介

マネジメントリーダーWEB編集部

企業を活性化する総合マネジメント情報サイト「マネジメントリーダーWEB(http://www.mng-ldr.com/)」を企画・運用。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。