役立つ! 総務マガジン

伸びる会社の総務と伸びない会社の総務

会社が順調に発展するためには、安定した基盤を築く必要があります

総務部門は営業や生産部門と違って業績を数値化しにくいので、実績が正しく評価されないことが多々あります。しかし、総務業務の取り組み次第で企業の成長は大きく変化するのです。

[2020年12月 7日公開]

企業の成長と総務の役割

企業は利益の獲得を前提に活動します。その中で総務部門は経営者の参謀役を果たしています。その役割とは、経営者の指示を社員に伝えるだけでなく、社員の意思を経営者に伝え、社員が安心して働ける環境を構築することです。

ここで重要なことは、対立構造を作り出すのではなく、双方が信頼し合い経営者が目指す目標に向かって全社一丸となり取り組んでいくことです。

社会の一員として、コンプライアンスを徹底する

企業は社会の中で活動しています。当然ながら、自社の利益追求と社会との連携を両立しながら事業展開を図ることになります。従って、社会のルールは守らなければなりません。
企業のコンプライアンス(法令順守)が厳しく問われるようになった今日、不祥事などが起きれば社会からの信頼を失うリスクの大きさは計り知れません。

一度不祥事や法令違反を起こすと、長期的な収益の悪化だけでなく社員の士気や帰属意識の低下などの副次的なリスクにつながる可能性があります。自然災害のリスクを避けることは困難ですが、組織的あるいは人的なトラブルは、大ごとになる前に対処することができます。

総務の基本的な役割は、目先のことだけでなく会社および社会全体のバランスを見渡しながら社内ルールを策定し、全社員に周知と理解を図り、毅然(きぜん)と運用することです。

安心して働ける環境の構築~ブラック企業からホワイト企業へ~

近年「ブラック企業」という言葉をよく耳にします。ブラック企業とは、長時間労働やハラスメント行為が横行するような労働環境で社員管理が行われ、離職率が高く次々と社員が入れ替わるような会社を意味します。

会社を創業してから経営が安定するまでの期間は資金的な余裕が乏しいため、どうしても社員に無理を強いる場合があります。このような状況を早く脱したいと考える経営者は、総務機能を強化し安定した会社にすべく努力します。それでも会社の環境整備は、結果が出るまでに長い時間がかかりますので、経営的には厳しい状況になることもあるでしょう。

しかし、働きやすい環境で仕事に集中すると、業務効率が向上し収益がアップする可能性が出てきます。また、社員や家族のモチベーションもアップするなど、いわゆる「善循環」と呼ばれる状態に転化していきます。これが「ホワイト企業化」へとつながるのです。

企業の成長に寄与するための総務の役割をまとめると、以下のようになります。

  • 経営者の理念・目標を社員に啓発し、共感を得る
  • 社内の課題をまとめ、その改善策を経営者に伝えて承認を得る
  • 具体的な改善計画を立案し、実施する

順風満帆に企業活動を展開できればよいのですが、さまざまなリスクは付きまといます。
安心して働ける環境づくりとは、こうした厳しい環境に打ち勝つ力(ノウハウ)を会社全体で共有することであり、その先頭に立つのが総務なのです。

伸びる会社に必要な総務の機能とは

総務部門は会社全体の経営資源に対してマネジメントを行っています。例えば、業務効率向上や収益の改善(コスト削減)は各部署でも行っていますが、全体でリンクさせないとその効果は微々たるものでしかありません。
そこで各事業部単位では完結しない、全社の経営資源を対象としたマネジメントを行うのが総務の機能になります。

経営資源と総務の機能

ヒト社員に対して、会社の目指す方向性への理解と共感を促進(人材教育・マネジメント)
モノ業務効率を向上させるための全社的な基幹システムを導入・運用
カネ徹底した無駄の排除、労務環境の向上など将来に備えた集中投資
情報情報共有、処理スピードとセキュリティの向上

総務業務の「見える化」を推進し、会社を伸ばす総務になる

総務部門は総合的な管理業務を行っています。スポーツに例えるならば「ディフェンス(守り)」の部門というイメージでしょうか。運用管理という役割から見れば、総務業務はディフェンスの要素が大きいのは間違いありません。しかし、「会社を伸ばす総務」という視点で見ると「オフェンス(攻め)」としての総務業務が期待されます。

例えば、一般的に攻めのイメージがある営業部門は、売り上げ目標が数値化されているため、その目標に対しての達成度がすぐに分かります。一方、多くの総務業務は数値化することが難しいため、指示されたことをやっていれば問題ないといった受け身の姿勢に陥りやすいリスクがあります。

しかし、一見数値化が難しいと思われる業務でも、発想を変えれば数値化できます。いわゆる仕事の「見える化」です。稟議(りんぎ)書の決裁に平均1週間かかっていたものを1日で処理できるようにする。あるいは、交通費の精算伝票作成に社員1人当たり30分/週かかっていたものをシステム化により10分/週に短縮するなど、時間と労力を数値化してみます。

現在ではこれらの業務もオンライン化が進んでいるので、業務を数値化し、客観的な評価を得ることが可能な時代です。

能動的な総務が企業を成長させる

コロナ禍で急きょテレワークへの対応をしなければならなくなった企業は多いと思います。しかし、テレワークの導入は、数年前から少子高齢化による労働人口の減少を見据えた施策として国も推奨してきました。攻めの総務であれば、このような状況を予測してその準備を怠ってはいけないのです。

新しい時代を乗り切るために

企業の成長という視点で総務業務を見てきましが、コロナ禍が収まっても、少子高齢化は今後も進み、自然災害のリスクも十分に予想されます。テレワークは働き方だけでなく、社員が同じ場所で一緒に仕事をするという、これまで当たり前だった社会的習慣も大きく変わるきっかけになりました。

社会全体が変わりつつある現在、企業の中枢、そして経営者の参謀役として、総務部門の果たす役割・機能の重要性はかつてないほど高まっています。
変化という大きな波に会社が飲み込まれてしまうのではなく、その大きな波を利用して成長するために「攻めの総務」で社員と会社を守っていきましょう。

参考

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著者紹介

マネジメントリーダーWEB編集部

企業を活性化する総合マネジメント情報サイト「マネジメントリーダーWEB(http://www.mng-ldr.com/)」を企画・運用。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。