役立つ! 総務マガジン

ニューノーマル時代の総務業務

総務部門は社会の変化を察知し素早く対応する役割を担う

IT技術の進化やコロナ禍などで社会は急激に変化しています。総務部門はその変化を読み取り、経営課題として分析し、問題解決を図ります。そのためには総務業務の変革が必要です。

[2021年11月 1日公開]

社会の変化と総務業務

刻々と変化する社会状況を読み取り、その変化に対応することは企業間の競争に勝ち抜くための重要な要素となります。営業や開発などの現業部門では、マーケティング調査や技術開発情報の調査など、さまざまな方法で情報を入手し、製品・サービスの改善や新技術の開発を行っています。

企業全体で見ると、総務部門は企業と社会をリンクさせる役割を担っています。そこで得られた情報を企業課題として分析し、経営層と社員に周知し課題解決を図ります。総務部門は、企業コンプライアンスの管理など保守的なイメージが強いですが、実は企業変革を推進する際のリーダー的な役割があるのです。

それは、現在の総務部門がどのようにして形成されてきたのかを見れば一目瞭然です。製品を作る工場やそれを販売する店舗・販売担当者といった、いわゆる現業をサポートする部門として総務は生まれました。この役割が大きく変化していったのは、1955年からおよそ20年続いた高度成長期でした。

終戦後まで、日本の企業の多くは小規模商店や工場が会社組織に変化したものでした。やがて大量生産・大量消費の時代になり、売り上げが拡大し社員も急増していく中で、企業の体質改善を推進するために総務部門の役割が大きく見直されました。つまり、個人経営的な会社から脱却して、大きな売り上げと多くの社員を維持するための基幹部署としての総務が必要になったのです。会社の事務部門としての総務から、企業の発展拡大に合わせて専門部署として分離が始まり、経理、人事、広報、経営企画、法務、購買、IR、情報システムなど総務部門を母体として多くの部署が生まれています。

そして高度成長の時代が終わり、バブル崩壊やリーマンショックなどの経済停滞期を経て、時代はIT技術の進化によるデジタル時代を迎えています。さらにコロナ禍によって、経済だけでなく人々の生活様式や意識が変わる「ニューノーマル時代」へと急速に変化が進んでいます。

総務業務の変化

総務部門は、企業の基幹となるセクションであり基本的な役割が大きく変わることはありません。この基本的な役割とは以下の4点です。

総務部門の基本的な役割は働きやすい環境を整備することです。そのために、経営者が行動しやすいようにサポートしたり、経営者の意思や従業員の声を相互に届けたりするといった全社コミュニケーション推進の役割があります。これらの基本的な役割は企業が存続していく限り変わることはありませんが、方法は大きく変わります。現段階で見られるのは、デジタル化による社会環境の変化です。まだパソコンが一般に普及していなかった高度成長期のアナログ的な総務業務はデジタル化によって大きく変化してきました。

社会のデジタル化と総務業務の変化

デジタル化の最大の特長は省力化とスピードです。パソコンは人間が多大な時間を費やさなければできない複雑な処理を瞬時に正確にやってくれます。ひと昔前は、導入に多額のコストがかかることや、業務処理のプログラム構築や利用が難しいこともあり、利便性は理解できても導入をためらう企業も多くありました。

しかし、コストが徐々に下がりソフトウェアも充実して大きな手間をかけずに自社の業務に利用できるものが増えてきますと、一挙にITが普及しました。その結果、近年では自宅などのオフィス以外でも仕事ができるテレワークが当たり前になりつつあります。コロナ禍による影響で、なかなか普及しなかった働き方改革が急激に進んできました。

日本では、テレワークで効果を上げる企業が欧米諸国と比較して少ないといわれていますが、これは企業体質の改善がITによる環境の変化に追いついていないためと思われます。例えば、普段の生活の中で利用するキャッシュレス決済やインターネット通販などのデジタル系のサービスは、最初は不安もありますが慣れてくると「より有利に活用するノウハウ」が自然と身に付いてきます。これは、関連する情報の多さも含めてポイントやランキングといったデジタル系サービスの評価が分かりやすいことも影響していると思われます。

企業においても、デジタル化へのスムーズな移行と収益も含めた業務効率向上、デジタルを基本とした業務環境の整備を進めなくてはなりません。総務部門はこれを推進していく立場となり、これからは従来のアナログ的な業務に加えて、デジタル的な業務がより増えていくこととなります。

例えば、テレワークでは業務の仕方や労務管理の方法が整備されていない場合が多くあります。パソコンとネットワークを使って自分が担当する業務はできても、書類の受け渡しやハンコを押すために出社しなければならない、といった会社の業務システムの問題です。これは、パソコンの導入と同じく必要な部署は積極的に導入するがそうでない部署は経費や運用の手間を考えて消極的という社内の温度差に経営者が気付かない(あるいは気付いていても放置する)ことに起因しているケースが多々ありました。企業全体の視点で調整し環境を整備する立場の人がいなければ、そのうち社内格差が広がり社員のモチベーションにも影響してきます。また、特定部署だけ業務効率が上がっても、全社的に変わっていかなければ大きな効果は期待できません。このような全体最適化を推進することが、これからの総務部門の大きな役割となります。一方、事務用品の補充などの「庶務」といわれる業務の多くはシステム化(自動化)され省力化が進むため、システムを運用管理することも新たな業務となります。
このように、総務業務の基本的な役割は変わりませんが、手法は人的なアナログ管理からデジタル管理へ移行していきます。

DX成功のポイントは総務部門にあり

今、DX(Digital Transformation)時代の到来が話題となっています。DXとは、部分的なITツールの導入ではなく、企業全体がデジタル化に対応することです。そのためには、総務部門が先頭に立って全社的な変革をリードしていく必要があります。

そのためには、総務業務自体をデジタル化して担当者自身がそのメリットとデメリットを把握しましょう。例えば、庶務業務といわれる各部門の事務用品などの備品管理をオンライン化して、不足する備品の受発注を自動化するなど、デジタル化=省力化をテーマにトライしてみるのもおすすめです。テレワークでは事務用品の管理を個人単位で行えるようにする必要もでてきます。アナログ的に人の手で管理することは困難ですし、デジタル化することで大幅に手間が省けるでしょう。

ぜひ、日々行っている総務業務のデジタル化を検討してみてください。全社のデジタル化を推進するために、まず総務部門から変えていきましょう。会社全体のサポートを行う総務部門の変化は全社に波及しやすいのです。

ニューノーマル時代の総務とは

ニューノーマルとは、コロナ禍におけるマスクの着用や感染防止のための社会的な間隔の設定、オンライン授業やテレワークなどが行われる日常が、一時的な変化ではなく、コロナ禍が収束しても続く習慣や意識変化となることを意味するといわれています。マスクの常時着用や人との間隔を意識して空けることは、コロナ禍以前は季節性の感染症の流行期や風邪などに罹患(りかん)したときのみ行うことでした。

コロナ禍が収束しても新しい習慣がこのまま続くのかは分かりませんが、IT技術の進化による生活の変化は確実に起きているといえます。例えば、無人運転や無人販売店舗など、これまで人がいなければ成り立たないといわれていたサービスの無人化も始まっています。

テレワークの浸透で、企業の在り方や働く意識の変化も顕在化してきました。特に働き方については、実績評価や労務管理など、就業規則の変更だけでは処理できない課題が多く存在します。また、デジタル化により業務処理のスピードはアップしますが、人の能力は瞬時に向上しません。そのようなギャップや、対面での作業が減ることによる疎外感などメンタルの課題も増えています。

新たな業務環境を構築し全社的に整備していくことが総務の喫緊の課題であり、働きやすいデジタル業務環境の実現が総務の大きな目標となるのではないでしょうか。今、企業が変化する大きな節目になっていることを意識して、新たな時代の新たな総務業務を開拓していきましょう。

参考資料

アフターコロナ時代の総務業務とは

初めての総務【第4回】IT時代の総務業務

DX推進の基盤づくりを支援

SMILE V | DX統合パッケージ

ニューノーマル時代において、ITを活用した生産性向上、ビジネスシーンにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性はより一層高まっています。大塚商会では、コンサルティングとサポートと共に「DX統合パッケージ」として従来個別に販売していた基幹系システムと情報系システムとを統合して提供することで、企業のDX推進の基盤作りを支援します。

著者紹介

マネジメントリーダーWEB編集部

企業を活性化する総合マネジメント情報サイト「マネジメントリーダーWEB(http://www.mng-ldr.com/)」を企画・運用。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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